ヒルカニヤの虎



 焼け落ちた夢のカケラがメシの種

5月2日昼前、大阪から東京まで空の旅。
浅草公会堂は京急1本&スーパー早割は8,900円也でとにかく早い安いうまい。ありがたいことです。GWは今年も東京でお笑いざんまい。去年はライセンス単独があったんだよねえ。そう思うと1年は短いようで長い。

3日の「ムネリンピック」前に神保町のワゴンセールにて夢中で本を漁っていると、バタイユ「非−知」が二束三文で叩き売られていました。ぱらぱら立ち読んでたらこんな一文。
「笑いの中にある最も不可解な謎は、生の均衡を危険にさらすような何かを人が喜ぶという事態に関係しています。そんな場合に人は最も強烈に喜びさえするのです」
これは「非−知」のメインテーマ「涙」につなぐ導入ですが、「笑いと同じように涙も未知のものの侵入に関連している」とバタイユは続けて書く。その前段階としてバタイユは、笑いをふつうの愉快な笑いと、未知のものの侵入・生の均衡を危険にさらす笑いとに大別している。
ラ・ゴリスターズと東京シュール5とキュートンを5時間見てずっと悶々していたわたくしは、なるほどなるほどと膝を打ったのでした。そう、そういうことなんだよね。所詮わたしはしんじの「人間が喰いたーい!」に何がしかの喜びを覚えてしまうほうの人間なんだよ。
たまには本読まないとだめだな。


■ラ・ゴリスターズvs東京シュール5vsキュートン キュートン参入2010/05/02/Sun_14:00-@浅草公会堂

OPはかたつむり林の影マイク、例によって客席大盛り上がり。1階席−2階席−3階席の1000人超が即完売だったそうですが、拍手の感じではシュール5:ラゴリ4:キュートン1ぐらい?でもシュールの7割はしずる枠。なぜか女王様口調のかたつむり林「浅草公会堂まで歩いてきたら人が多くてびっくりしたねえ…ゴールデンウィークだからね!」M-1決勝のフットのSMタクシーみたいだ(笑)そして衝撃の告知「2階席・3階席からは見えない企画があります!」ええー!まあ1階なんでよかったですけど。
それぞれの紹介映像のあと、ラゴリ→シュール→キュートンの順で登場。ピンクTシャツでポップなラゴリチーム。音楽が鳴るとなんとなくリズムに乗って踊る人たち。主将のハイウォー松田さんは撲滅Tシャツだったのかな。次いでシュール5、ポイズン阿部ちゃんとライス関町がすさまじくシャツイン&ハイウェスト。「さっきまで舞台袖で相撲とってたから」なんなの。ユニット内で収入格差が拡大している紺Tのシュールチーム、しずるだけ名前を呼ばれず。ベタにコケる池田と村上「ちょっとおー!」。綾部「どこがシュールだよ!」まったくです。主将の林さんは参入Tシャツにスーツ。なんだろう、ワイシャツじゃないだけでものすごい違和感!人数が多いうえに基本だらだら慣れ合っているシュールの文化系度は時に目にあまる。キュートンのほうがよほどピシッとしていた。
そんなキュートンの登場は客席うしろからの乱入スタイル。全身ピンクタイツの増谷キートンの首は2つ生えており(双頭の額に「愛」の鉢巻き)、椿鬼奴はチャイナドレスに3本刀(暴れて何度も客の顔を切りつけてしまう)、しんじはパソコンおたく(足の骨折治ってよかったです)、アホマイルドとくまだまさしはふんどしとブリーフケツ出し。
舞台でおなじみキュートン演舞により倒されていくラゴリとシュール。やっぱり演舞は盛り上がるね!要するに殴りこみで、対決です。
OPの映像、全共闘の映像とか使ってたけどよかったのかなあ。あとワイプで爆笑してる浜ちょんは何だったんだろ(本映像は猪木の闘魂注入)(ワールドダウンタウン??)。

ラゴリ企画「触って触ってなんでしょね?」にあらかじめイグアナが入っています。巨大に育ってしまったイグアナの名前は綾部さんの名前「ユウジ」。MCなのに綾部はイグアナを異常に恐れている。キュートンは奴ねえさんとキートンさんでこんにゃくを当て、シュールは関町ひとりでかまぼこを当てる。どっちも不正解で引き分け。しかし無駄にイグアナを触りまくってしまっていた関町、捨て身で箱の中に顔面をつっこんだのにズルッと滑る。
ハイライトはなぜかイグアナを恐れないノブコブ吉村がユウジを鷲掴み、パニックになる芸人を舞台上で追い回し。2階・3階へのサービスかな?ユウジ胴体をうねらせて大暴れ。しずる村上に逃げ際おもいっきり手の指を踏まれたうえ逃げ遅れた押見さんが舞台上で吉村に全力土下座していました。おいしい。MC綾部はありえないほど舞台袖まで逃げ伸びていた。あいつへタレだぜ。

コンビ&ピンネタ。企画とネタが交互になるみたいです。出囃子はTMGEのブラックタンバリンとかCANDY HOUSEとか。
・イシバシハザマ:冒険がしたい漫才。気持ちいいくらいタイミング合うねえ。掴みに最適の間口の広い漫才。
・くまだまさし:おもろかった!なんだあれ超たのしい。浅草から世界にまで通用するすばらしいピン演芸。
・犬の心:ガムテープコント。大阪でやった19の犬のOP/EDコントとはオチが違ってた。押見さんが池谷さんにごろごろ転がされるこっちのほうが好き。

シュール企画「裏切り者クイズ」シュール5田所プロデュース名物の裏切り系。○×クイズをプレイヤーと裏切り者の半々に分けてやる利根川のアレ。「ゴミめら」は相変わらず言えてない。これはもうラゴリの驚くべきポップさ・素直さに唖然といたしました。誰も裏切り者を特定しようとせず、おのおの正解を主張するだけ!!いやもちろんラゴリが悪いんじゃない、むしろラゴリは皆いい人たちです。ハナから正解が何かなど考えようともしない腹黒シュールの面々じゃないとおもしろくなりようがないクイズルールだと痛感する。シュールの面々が裏切りクイズをやる場合、謀略知略が張り巡らされ、すさまじい腹の探り合いが展開され、仲間の思わぬ裏切り、信じたいという祈り、さらなる裏切り、心理戦のすえやがてあらわれる心の深淵、最後にはおのおのが人間不信に陥っていく。そのさまに客席は阿鼻叫喚するのです。あんな壮絶な心理ドラマはなかなかないのに…。シュール5の裏切りクイズを愛する人たちはみな、心に闇を抱えているのだと再確認した一幕でした。キュートンメンバーはまだしも心理戦を繰り広げていましたが、なぜか宗教じみてくるアホマイルドのクニさんとしんじがおもろい(笑)

ネタ
・しずる:怖い話コント。バナナマンの古典「Scare Story」とまったく同じセッティング。バナナマン好きのしずるがあのネタ知らないわけないと思うけどなあ。そこを度外視すればしずるらしいひねった切り口でしたが、客席の「キャー!」が半端なかった。おおお…シュールの本ネタ公演ではクスリとも湧かないのに…!客席は青春コントをこそ求めているのだろうなあ、と思う。
・アホマイルド:小技をいろいろと、スタンディングコメディ風。アホマイルドすごくおもしろいのに、どうして会場受けしないんだろう…?見た目?次の単独に行きたいぐらい好きだ。セロリとマヨネーズの相性。
・ピース:山姥と町役場役人の恋。コント、いや新喜劇かな?ピースのネタは初めてちゃんと見たけど、おもしろかった。ピースには物語へのつよい欲求があるので、もっと長い時間のネタならベタを超えて抒情に辿りつくと思う。

キュートン企画「鳥人間コンテスト」お客様が風になり、その動力で芸人が飛ぶ。抽象度が高すぎてようわかりませんが、要は家城さん着用のブリーフ局部にプロペラがついていたり、吉村さん着用のブリーフ局部にゴムパッチンがついていたりする。これを1階席の客が回したり引っ張ってはじいたりすることで芸人が前へ進み、リレーするわけです。他にポイズン阿部ちゃんの腹殴り、ハイウォー松田さんのキスなど。ああ家城さんのプロペラ回したかったなあ!席の位置によっては通路の芸人さんまで遠かったりするのですが、誰にもプロペラを回してもらえず泣いている家城さんのためにものすごい遠くから走って行った人がいて、その勇気に感動した。シュール5ファンにもあんな熱い人が…!

ED後、暗闇の中ややこしいところにややこしいものをくっつけたままの家城さんと吉村さんが踊り狂う姿がありました。何なんだろうあの人たちは。「参入」は随所にしんじ暴走→奴ねえさんによる捕獲&おぼつかない折檻などあり、とっちらかりつつも楽しく終了。

2010年05月01日(土)
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