主人公は視覚障がい者である 村上和久。中国残留孤児として帰国した兄は偽物ではないのか、という疑惑を抱いた主人公が文字どおり手探りの孤独な捜査を始めるや、不穏な出来事が彼の身辺で続く。重い腎臓病を患って透析を続ける孫のため、移植手術の検査を兄に拒否されて湧き上がった疑問。どんでん返しのような主人公の出生の秘密。視覚障がい者の闇の日常が怖かったけれど、とても面白い物語。点字の俳句もユニークでよかった。