読書記録

2020年12月11日(金) 震える天秤 / 染井 為人


 福井県のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。86歳男性の運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したのだ。アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者の老人は認知症を疑われている。事故に違和感を覚えたライターの俊藤律は、加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に
「この村はおかしい。必死で何かを隠している」。何かを感じて取材に乗り出した律は、目撃者というかそのコンビニでバイトしていた少女の態度から、続々と予想外の事実を知る
…。

 主人公の俊藤律は、37歳のフリーライター。離婚した元妻里美との間に実里(みのり)という7歳の娘がいて、親権は職業が裁判官である里美が持っているが、律は月に二度のペースで実里と会っている。というか、別居はしているが、今でも律と里美は頻繁にメールの交換をしており、お互いに仕事の悩みなどを打ち明け合い意見を言い合っている。離婚の原因は、価値観の相違ということだったが、律は、今の2人の距離感が一番自分たちに合っているように感じていた。

 
事件の真相を知った律はライターと社会正義の間で逡巡する。






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