2020年12月16日(水) |
女絵かきの誕生 / 丸木 俊 |
原爆を描いた愛の自叙伝
『ひろしまのピカ』という絵本はもっている。
この本は絵かきになりたいと思ったころから、『原爆の図』という大作を仕上げて、丸木位里と世界を回ったお話。 語り部のような本。 ひろしま、長崎に落とされた原爆の被害者は日本人だけではないのだ。 戦争がある限りはすべての人間の悲しみである。
子どもがいないのが、もっけの幸いと思っている。一人生れて一人死んでゆく。何のわだかまりもこだわりもない。ただ一つ「原爆の図」を描いたことがよかったか悪かったか、ちっとばかり気がかりだ。恥を末代まで残したかもしれない。私は何度か焼いてしまおうかと思ったことがある。しかしこれは俊との共同制作だ。私と俊が夫婦にならなかったら、おそらく「原爆の図」も「南京大虐殺」も「アウシュビッツの図」もなかったろう。
−丸木位里 あとがきより −
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