2020年07月07日(火) |
70歳のたしなみ / 坂東 眞理子 |
この『70歳のたしなみ』は書き始めてから二年と私としてはかなり長い時間をかけて完成した本である。 当初は「70歳、遊んでいる場合か!」と叱咤激励調で書くつもりだった。人生は百年時代、寿命が延び体力のある高齢者がこれだけ増えているというのに、終活だの断捨離だの墓じまいだの「残された人に迷惑をかけないで世を去る」準備をすることばかりに関心を向けるのはいかがなものか。残り時間がこれだけ長いのに六十代や七十代で終活するには少し早すぎる。そうかといって旅行、趣味、グルメ、お出かけなど遊ぶことばっかりなのももったいない。もっと仕事でもボランティアでもやるべきことがいっぱいあるだろう。というのが私の思いだった。これだけ高齢化と人口減少がすすむ日本で高齢者が旅行と散歩とサプリメントだけにうつつを抜かしていいのか、そうせざるを得ない社会に義憤を感じていた。 ━自署を語る から ━
この著者のベストセラーである『女性の品格』は読んでいないが、人間生まれた限りは生病老死はついてまわるとしても、精一杯生きよ、という風に私は読んだ。 悲観的になりがちな老年期を自分の心の持ちようと行いで社会のために生きよと。 私は希死念慮があって、毎日死を思っているけれど、それこそ足腰が丈夫で自由に生きられるなら何か他人様の役に立ちたいという儚い夢もある。 そういう意味でこの本は何気にバイブルのように思った。 正に次の誕生日には70歳になる。 死に病でないだけに、できるだけ上機嫌にふるまうのが自分のためなのだろうと思ったことだ。
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