読書記録

2019年11月19日(火) 渦 妹背山婦女庭訓 魂結び / 大島 真寿美

 
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章。末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、芝居小屋に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。近松門左衛門の硯を父からもらって、物書きの道へ進むことに。弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった半二。著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した長編小説。(文藝春秋 HPより)

第16回直木賞受賞作。

私は浄瑠璃(文楽)を一度だけ生で見た。
今は大衆芸能ではなく、伝統文化としての位置付けだろうか。
文中にもあったが、歌舞伎に完全に水をあけられている。
お人形より、生身の歌舞伎俳優が話題になる時代なのだ。

物語は語り口が多く、とても読みやすかった。
主人公の半二はもとより、妻になったお佐久と娘のおきみがいい。

吉野の妹背山も入鹿塚も、そして道頓堀や三輪など、そうそう詳しくはないけれど多少とも土地勘のある場所が物語にでてくるというのもなかなかいいものだ。







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