読書記録

2019年10月24日(木) 骨を弔う / 宇佐美 まこと

 四国の山深い田舎町である替出町。その赤根川近くの土手から、人骨と思しき骨が見つかる。だが、捜査の結果、それはプラスチックで作成された人体標本であることが判明した。
その一件は新聞記事となり、替出町に現在も住む本多豊は愕然とする。そして、小学生時代に同級生4人と「人体標本の骨を埋めに行った」という記憶がよみがえり、自分たちが埋めたのは「本物の人骨ではなかったのか」と考え始めるのだった。

豊は真実を探るため、かつての同級生を訪ねた。

哲平、正一、京香、そして琴美。
標本を埋めようと言い出した真美子は骨髄異形成症候群と診断されて、亡くなったと聞かされていた。

懐かしい同級生を訪ねるうち、各人の思い出したことなどからひとつの結論が生まれてくる。
そしてミステリー小説好きな哲平の妻・朱里が、真美子の諳んじた「骨を弔う詩」を知っていると明かす。その詩は、宇佐美まことというミステリー作家の小説に登場するのだという。
豊たちは、宇佐美まことの正体が真美子なのではないか、と考える。さらには、宇佐美まこと(うさみまこと)は佐藤真美子(さとうまみこ)のアナグラムであると判明する。そこで、編集者である朱里のつてで宇佐美本人に電話をかけると、彼女は真美子本人であると認めるのだった。

自身の小説に著者・本人を登場させるという展開で楽しく読んだ。
それにして事件当時、11歳だった真美子の処置には驚かされる。
小学生、侮りがたし。




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fuu [MAIL]