読書記録

2019年09月17日(火) 日の出 / 佐川 光晴


 物語は、明治41年石川県の小松市。
 十三歳の中学生・馬橋清作は生来の気の弱さに加え、父親が日露戦争から帰還直後に急死したこともあり、徴兵逃れを画策する。町の有力者の息子で三つ上の先輩・浅間幸三郎の助けを借り、出奔。岡山県美作の鍛冶屋に匿われ、そこで鍜治職人となるべく修業に励んだ。

そして明治から大正にかけての清作の物語と並行して、清作の曾孫であるあさひの物語が語られる。こちらは現代が舞台だ。
 社会科教師を目指す大学生のあさひは、母の伯母が浪曲の曲師だったと知って興味を持つ。その大伯母のことを調べる過程で知り合った浪曲好きの男性と恋をしたり、教師として就職し生徒と向き合ったりという日々が描かれる。

主人公の清作は勤勉、正直、実直という努力家で、周りの人にも恵まれ成功していく。

清作の人生の途中での朝鮮の人と残り関わり合いや、曾孫のあさひが社会科教師を目指した中学2年生の時の体験などが、この物語を面白くしている。
いまの日韓の関係にも深い思いをはせることができる。






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