読書記録

2019年05月07日(火) 白い夏の墓標 / 帚木 蓬生


昭和58年に初版が出ていて、私が読んだのは14刷。
それだけでもすごいのだが、内容がミステリーのようでもあり、現代に通じるような医療のテーマ。
遺伝子組み換えとか、主人公黒田(死亡している・・・?)が足を踏み入れてしまった米国の微生物研究所を、『逆さまの医療』という表現で書いている。

パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る見知らぬ老紳士の訪問を受けた。かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が、実はフランスで自殺したことを告げられたのだ。細菌学者となっていた黒田の墓へ行くため、佐伯は真夏のパリから残雪のピレネーへ向かう。

そして黒田の死の真相を知る。

登場人物は結果、みんないい人なのだ。
そんな人物描写がすごく上手い。

この作者は医師という肩書をもちながら、こんなスゴイ小説を書かれる。
読みごたえがあって、中盤からは一気読み。








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fuu [MAIL]