読書記録

2019年01月19日(土) 母の教え / 姜 尚中


 著者、私と同じ年 もうじき 古希・70歳。

生まれた年は朝鮮戦争が起こった年。
韓ドラをよく見ているからそれは知っていた。
著者は在日二世で両親の故郷である韓国と、不遇に生きた一世たちへの想い。

愛する息子を失って、これまでの生活をリセットして妻と東京近郊の高原へと移住した。
土いじりや野菜作りに汗を流していると、今までの人生や亡くなった人たちとの思い出が、やさしい風や やわらかな雨のように心を撫でていく。

還暦を過ぎ、古希も近い歳になってから、私は、自分の心身の土台を母が形づくってくれたことを、深く体感するようになった。
「人は食べんとダメばい。食べんと死ぬとだけんね。偉か人も、そうでなか人も、金持ちも、貧乏人も、みんな口から入れて尻から出すと。そがんせんと生きていけんとだけん。だけん、三度三度、しっかり食べんと」


現在、私は母の教えをふたたび噛みしめながら、「高原好日」のなか、白秋の終わりを迎えている。




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