| 2014年08月09日(土) |
泥(こひ)ぞつもりて 宮木 あや子 |
〇泥ぞつもりて
貞明親王(後の陽成天皇)と乳母である紀全子、そして乳母子の益の物語。
貞明親王は母の高子より乳母の全子のほうが好きだった、だからなのか乳母と同じ匂いのする益と男色関係へと発展していく(これは作者の考えたストーリーなのか?) だから貞明親王は自分といるよりも女との逢瀬を選んだ益を殺してしまう。
そして貞明親王の素行の悪さとか、高子・貞明親子の感情劇がとても面白く描かれていた。
高子・貞明親子の感情劇が凄かったです。
〇凍れる涙
順番が違うのにも意味があるのだろうが舞台は少し前になり、惟仁親王(清和天皇)の時代の物語。
この時代 藤原良房・基経親子などの公卿によって、清和の後宮には沢山の女がおくりこまれ、清和は数々の女を抱き、疲れ果て政務に支障が出ていたと書かれていることが多い。 女をあてがってわざと政務から遠ざけていたという物語もあったなぁ。
そして何より天皇はお世継ぎを残すことが大事な政務の一つ。 だから権力者は天皇の外戚となるべくこぞって天皇へ女(娘や姪)を送り込み、子を成せば皇子へとさせる。 そんな情勢の中、わずか9歳という年齢で即位し幼帝としてたつことになる清和天皇。 幼いながらも女をおくりこまれ、その一人が藤原多美子(藤原良相の女)であった。
また、良房親子によっておくりこまれた藤原高子。今でいう駆け落ちまでして本当に愛していた業平とは引き離され、清和天皇のもとに入内させられる。
〇東風吹かば
題名から察せられるように菅原道真の登場。 『東風吹かば匂いおこせよ〜…』で有名な菅原道真と源定省(宇多天皇)、藤原基経の物語。 でも… この物語では、基経は伯父の良房のように権力を欲っしていたわけではなかった。
それにしても 天皇、女、権力者、平安時代特有の貴族社会の恋愛が見えてくるように思う。 私たちが思っているより、遥かに、当時は身分に縛られ、自由のきかない環境だったのだと……当事者としては抗えない立場でかなり苦しんでいたのだろうと、思えてならない。
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