読書記録

2014年06月05日(木) 忘我の記               中里 恒子

 
 大正12年9月1日の関東大震災は、箱根湯元に住む辻村伊助一家5人を直撃した。丘の上の貯水池が地震振動により決壊、山崩れを誘発し、一家全員土石流の下に埋没。
この時、伊助は37歳、スイス人のローザ夫人との間に授かった3人の子供たちも・・・一瞬の出来事で逃げ出す事もできなかったのであろう。
スイスから持ち帰った植物も試行錯誤して移植し、5千坪の農園というかロックガーデンに姿を変えつつあったというのに何と哀れな現実であろうか。

この物語は
生前、辻村伊助が大正11年8月に刊行した「スイス日記」をもとに、著者なりの想いで伊助の私生活のほうに重きをおいて書いたもののようだ。
この頃では珍しい国際結婚であるローザ夫人とのロマンスはさらりと流されているが、それは伊助が「スイス日記」にほとんどプライバシーなことは記さなかったことによる。

が、ひとりの女性の波乱に満ちた人生の物語が好きな私としては遠く離れた日本に来たローザ夫人の想いを、それこそ物語として文を進めてほしかったなぁ、と やじうま精神旺盛なおばちゃんはちょっと物足りない気がした。













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