| 2013年08月07日(水) |
夏天の虹 みおつくし料理帖 高田 郁 |
シリーズ第7作目
○ 冬の雲雀━滋味重湯 想いびとと添う幸せ。 料理人として生きる幸せ。 決して交わることのないふたつの道の前で悩み苦しんだ結果、 つる屋の料理人としての道を選んだ澪は化け物稲荷で小松原に自分の思いを伝えた。 小松原は 「その道を行くと決めた以上、もはや迷うな、全て俺に任せておけ」 と、その時に舞い込んでいた縁談を決めた。 澪に「お前は何も言わずともよい」と言ったようにすべては小松原が澪との話を袖にしたようになってしまった。 澪は誰にも何も話せない苦しみから寝込んでしまうのだった。
○ 忘れ貝━牡蠣の宝船 回りの誰にも小松原のほんとうの優しさを伝えられないでいた澪だったが、同じ名前の美緒にだけは事の経過というか真実を話した。 そんな中で 澪は牡蠣を何とか美味しく食べてほしいと、奉書焼にヒントを得て日高昆布で牡蠣をくるんで焼くという料理を考えた。
○ 一陽来復━鯛の福探し 今でいう色々なストレスが原因なのか、澪は嗅覚と味覚が失われていた。 料理人としては味も匂いも分からないでは仕事にならないし、澪も辛いだろうと種市は翁屋の楼主に直談判に行き、又次を三か月という約束でつる屋に寄越してもらうことにした。 味覚を失った澪は食べ物が美味しいと感じられないという体験から、 病気の人が自分から進んで箸を持とうと思うような料理はないかと考える。 そんな折、伊佐三の親方が卒中で療養していたが、不自由な手で鯛の粗炊きを食べた。 賄に回される鯛の身をほぐしたものから『鯛中鯛』を見つけて、粗炊きを病気の人に限って提供しようと思った。 鯛には九つ道具という骨が隠されているそうだ。 太一の描いた絵をつけて、持ち帰りもできるようにした鯛の粗炊きは数量限定ながら縁起かつぎでよく売れた。
○ 夏天の虹━哀し柚べし 伊佐三の親方の家で取れた大量の柚子から、又次は五つだけ柚べしを作ってつる屋の軒先に吊るした。 又次はつる屋の人々と暮らして穏やかな気持ちになっていたが、三か月という期限は容赦なくやってきた。 澪の味覚が戻ったら食べるようにとひとつだけを残して、清左衛門やみんなで柚べしを食べた。 皆に別れを告げて吉原に帰り着いたとき、ちょうど吉原が火事にあっていて又次は自分のことも顧みずにあさひ太夫を助けに走った。 種市と澪は背中一面焼けただれて、それでも太夫をしっかり抱えた瀕死の又次を見た。
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