| 2013年08月02日(金) |
心星ひとつ みおつくし料理帖 高田 郁 |
シリーズ第6作目
○ 青葉闇━しくじり生麩 雨の乏しい梅雨から、大暑を過ぎても水に恵まれない炎暑は青物が思わしくなく料理人泣かせの日々が続いていた。 澪は何かさっぱりしたものをと、天満一兆庵にいたころ食べたことのある生麩を作りたいと思った。 うどん粉をいくら工夫してもぐにゃぐにゃした得体のしれないものしが出来ないでいたが、版元の坂村堂にもち粉を使うのだと教えられた。 それを明かすことは坂村堂の父である一柳の主、柳吾を裏切ることだった。 「子は結局、親の思いを踏みにじるように出来ているのかも知れません。そして親は、たとえそうされても、じっと堪えて揺るがずに居るよりないのでしょう。我が身を振り返れば、若い日、親に対して同じことをしてきたように思います」
○ 天つ瑞風━賄い三方よし 吉原翁屋の楼主から澪は、手を貸すので吉原で天満一兆庵を再建しないかと持掛けられた。 折しも登龍楼の主采女宗馬からは、神田須田町の登龍楼を居抜きで売るのでつる屋として移ってこないかという話だった。 吉原で成功すれば天満一兆庵を再建できてご寮はんを喜ばせられるし、女ながらもあさひ太夫を身請けすることもできる。 が、つる屋を繁盛させられれば種市への恩に報いることができる。 それぞれの思いの中で料理人として澪は岐路に立たされていた。
○ 時ならぬ花━お手軽割籠 どちらの話も断った澪は自分で自分の器を大きくして料理人として精進していこうと決意した。 つる屋の店がある元飯田町で火事が相次ぎ、町年寄から火の扱いを朝五つ(午前八時)から四つ(午前十時)までの間に限るようにという申し渡しをした。 昼と夜の食事を目当てに来る客への商売を制限されて、澪は割籠に入れた弁当を売ることにした。
○ 心星ひとつ━あたり苧環 小野寺数馬の妹、早帆が澪に料理を習いに来て、兄と澪を添わせようと心を砕く。 二年くらい早帆の家で武家奉公しながら武家の嫁に相応しい行儀作法を覚え、時期をみて何処かの旗本の養女となって小野寺家に嫁ぐという心つもりをした。 みんなが澪の幸せを願い、澪が抜けたあとのつる屋の料理人も決まったのだが、武家に嫁にいけば想い人と添うことはできても、いままでのように料理ができないのではと思案するのだった。
賄三方よしでは豆腐丼 塩を入れた鍋で豆腐の芯まで火を通す。 丼に冷や飯をよそい、水気を切った熱々の豆腐を大き目の匙で掬って入れる。 薬味にネギ、鰹節をたっぷり載せて、卸ししょうがも入れて醤油を回しかける。
お手軽割籠の中で紹介されていた 大根の油焼き 大根(4人分で6センチくらい)を1センチくらいの半月切りにして、笊などで一日天日に干す。 熱した鉄鍋に胡麻油を入れて大根を焼く。 焦げ目がついたらひっくり返し、弱火で中までしっかり焼く。 味醂・醤油各小さじ1を合わせたものを回しかける。 粉山椒をぱらりとかけて出来上がり。
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