読書記録

2013年08月18日(日) 残月 みおつくし料理帖           高田 郁


 シリーズ第8作目

○残月━かのひとの面影膳
吉原の火事で死んだ又次のことはつる屋の人々の心にも、あさひ太夫の胸にも深く残った。

種市の申し出で澪は又次の初盆に相応しい膳を作ることになった。
飯は白飯ではなく、もち米に戻した黒豆を混ぜて蒸したもの。
焼き麩と結び干瓢の澄まし汁には、青柚子の吸い口。
煮物は隠元を添えて干し椎茸と冬瓜の含め煮。
そして氷豆腐の揚げ物。
これは戻した氷豆腐に下味をつけてぎゅっと絞ったあと、さらに卸し金で卸した氷豆腐を衣にして胡麻油で揚げたもの。

○彼岸まで━慰め海苔巻
あさひ太夫と同じ翁屋にいて、藤代屋に身請けされたしのぶから芳の息子である佐兵衛の消息が知れた。
天満一兆庵の江戸店を潰してしまった若旦那佐兵衛はこれまでの人生を捨てるかのように、捨吉と名前を変えて植木職人となっていて妻と幼い娘もいた。
天満一兆庵を江戸一番の店にしたい気持ちが強すぎて料理を争いの道具にしてしまったことを深く悔いていた。

○みくじは吉━麗し鼈甲珠
吉原の火事で焼けた登龍楼の再建に登龍楼の主は澪を料理人として迎えたいと指名してきた。
料理であさひ太夫を身請けしたい澪は自分の腕を試すためにも四千両という金額を口にした。
その帰り道、澪は化け物稲荷に似た小さな神社で御籤を引いた。
細長い紙面には、上段に「吉」の文字、そして下段には
<凍てる道を標なく行くが如し、ただ寒中の麦を思え>とあった。
べっこう玉とは、玉子の黄身だけをこぼれ梅で漬けこんだもの。
○寒中の麦━心ゆるす葛湯
日本橋の旅籠『よし房』の店主が後添えを貰った披露の膳を坂村堂に頼まれて澪が調える。
それは一柳の主えある龍吾と息子である坂村堂との仲を取り持つ場ともなった。
だがその席で龍吾は倒れ、その介護に芳が通いで世話することになった。
その甲斐甲斐しい世話は天満一兆庵の女将であった芳の人柄を見抜いた龍吾にあなたは得難い人だと言わせることとなった。


火事で死んだ又次のことは仕方ないとしても、小松原のことまでもが登場人物のリストから抜けてしまったことは寂しくてならない。
若い澪ではなく、御寮さんの恋が登場するとは思いもかけなかった面白い展開に驚いた。















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