| 2013年03月14日(木) |
月の輪草子 瀬戸内 寂聴 |
枕草子を書いた清少納言は生年月日が不詳とある。
そして この月の輪草子を書いた寂聴さんは90歳を越えられて、 いつしか年老いて草庵暮らしをする清少納言が乗り移ったかのようだ。 寂聴さんはとっぷりと源氏物語の現代語訳に浸っておられた時期があった。 その重荷を下ろして90歳を越えたからこその老いた清少納言を抱えられたのだろうか。 清少納言が心身ともに仕えた中宮定子の幸薄い人生を、無我夢中で書き下ろしされたのがこの本だ。 物語風にはなっていないが、時折 清少納言と寂聴さんが一心同体かのような進め方だった。 あの時はあぁだった、こうだったというような回顧録のような感じ。
「いやなことは忘れなさい すんだことは捨てなさい」
わたしもいつか忘れるほどの昔、尼になっている。どんな死に方をするやら、すべては仏まかせ、もし、それでも仏が願いをお聞き下さるなら、地の涯まで芒のたなびく野の中で、ひとり行き倒れ、その死体を銀色にそよぐ芒の波でおおい包んでほしいものだ。 あの世とやらで、今更誰に逢いたいとも思わない。生も死も一度きりですましたい。なみあむだぶ…… なみあむだぶ……なみあむだぶつ……
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