コミュニケーション。
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| 2008年04月03日(木) |
#2 ねぇ、お願い。 |
嬉しいとは、思えなかった。 優ちゃんの矛盾を、知っていたから。
「俺の子どもを産め」
と言われたことはここでも書いた。 あれからも何度も言われている。 身長はお前から、顔は俺から受け継げば最強だから、 なんて笑って、 地球の終わりに生き抜ける子どもを作ろう、って。 うん、嬉しい、とあたしが頷いて、 キスをするのが、時たま現れたパターンだった。
でも、対照的に、 一緒に暮らそうとか、暮らしたら、とか、 結婚したら、とか、 そんなセリフはまったく、 「もし」をつけたものさえ、会話には上らなかった。 「いつか」もなかった。
あたしが時々入り込む優ちゃんの生活は、 完全にリズムが出来上がっていて、 あたしがいるからと変わることはほとんどなかった。 優ちゃんはあたしに何もさせない。
料理も洗濯も掃除も、やるのは自分で、 あたしに頼むのはサポート。 料理なら、食べたあとの片付け、 洗濯は、合間にやるお風呂掃除、 掃除は、掃除機の進行に邪魔な家具どけ。
あたしはまったく楽なもんだった。 それで優ちゃんは満足しているのだから。
そのかわり、あたしは、
「この人は、あたしと結婚は考えていない」
と、日頃から思わされることになるわけだけど、 自分の結婚願望なんてよくわからなかったし、 だいたい、20も違う自分達の結婚はいろいろ面倒だろうし、 優ちゃんが十分あたしを大事にしてるのはわかっていたから、 あたしも、優ちゃんを大事にすることだけを考えていた。
その繰り返しだった、優ちゃんとの毎日は。 そんなさなかに降ってきた、妊娠だった。
優ちゃんに言ったらきっと…結婚すると言うだろう。 いくら独身貴族とはいえ、元来は子ども好きだし、 俺の責任だから、とか言うんだろう。
避妊をしなかった俺のせいだから、と、 一切合財受け入れようとする。絶対にする。
優ちゃんに言って、いいものなのか。 産んで、いいものなのか。 迷いながら、 病院からもらった写真を、何度も見ていた。
***
桜の季節ですね。 毎日楽しいです。
以前、こんな日記を書いていたんですけど、
今年は、同じ道を、 優ちゃんの運転する車で、優ちゃんのご両親と、 キャッキャキャッキャ騒いで通りました…(笑)
あたしってばなぁ、と思ったことでした。 しかし、1年後こうしてるなんて夢にも思ってなかった…。
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