Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1ニュースフラッシュ!
2006年07月12日(水)

 F1界ではこのところ興味深いニュースが続いていますが、Voiceでも「SA06はドイツデビュー」「鈴鹿来季開催絶望的」「モントーヤ引退」などといった僕的に大きなニュースを取り上げましたが、今日はその他の気になるニュースをいくつか取り上げてみましょう。



■スーパーアグリ、ドイツから山本左近を起用
 スーパーアグリが第12戦ドイツグランプリから、セカンドドライバーを現在のフランク・モンターニュから山本左近に交代させることを正式に発表しました。逆を言えばモンターニュは今週末におこなわれる第11戦フランスグランプリが最後のレースとなり、以後は再びサードドライバーとしてチームのサポートに廻ることになります。
 フランク・モンターニュは、当初前戦アメリカグランプリまでの契約だったそうですが、彼がフランス出身ということで、「ぜひとも地元フランス人ドライバーを」というバーニー・エクレストンの要請をチーム代表の鈴木亜久里が受けたもの。

 かつてはアラン・プロストらを輩出しF1ドライバー王国を誇ったフランスですが、2004年の日本グランプリのオリビエ・パニス以来、フランス人F1ドライバーは不在でした。また、新興チームであるスーパーアグリがF1という政治色の強い世界で上手くやっていくためにも、鈴木亜久里のこの判断は、非常に良い判断だと思いますし、評価できます。
 ただし、僕的にはこれまでにも何度か言っていますが、“日本人ドライバーコンビ”“オールジャパン体制”ということにこだわっているようですが、山本左近のレギュラードライバー起用は時期尚早だと思わずにはいられません。今シーズンはチーム自体が“勉強の年”でもあるわけですから、今シーズンはこのままフランク・モンターニュを最終戦まで起用し、山本左近にはその間十分な経験を積ませて、晴れて来年から万全の体制でデビューさせた方が良かったのではないかと思います。

 この僕の不安が取り越し苦労になればいいんですがね……。



■BMWザウバー、奇抜な新ウィングを実戦投入
 先週のヘレス合同テストで、BMWザウバーがコクピットの前部分に迫り立つ2枚の新ウィングを持ち込み、関係者の目を丸くさせました。こちらがその新ウィングなんですが、何なんでしょうねこれは!何だかATMの両側にある衝立のようです!

 この新ウィングを装着したマシンをテストしたテストドライバーのロバート・クビカは、「全然意味がわからないよ。走っても何が違うのか、まったく感じられないし……。もちろんこんなものレースでは使わないだろう」とコメントしていましたが、何とBMWザウバーはこの奇抜なウィングを本気で実戦に投入する構えのようです!チーム側はこのウィングがレギュレーションに合致するかどうかをFIAのテクニカル・オフィサーに確認したとのことですが、これが認められれば、早ければドイツグランプリにも実戦で使用される見通しです。

 いや〜しかし、BMWザウバーはこのウィングにどのような効果を期待しているのでしょうか。あれだけ細いものが進行方向に対して垂直に迫り立っているわけですから、直線では空気の流れにはほとんど影響しないと思われるので意味がないし、逆に緩やかな高速コーナーでのコーナリング時には、横からの空気抵抗が増して、返ってマシンの挙動に支障をきたすような気がします。そもそもドライバーにしてみたら、自分の視線の先にあんなものがあったら邪魔でしょうがないと思うのですが……。

 これが本当に実戦で投入されたら、間違いなくビルヌーヴが酷評するでしょうな。



■金曜日のサードドライバー制廃止へ
 現在のレギュレーションでは、前年のコンストラクターズ・ランキング5位以下のチームは金曜日に行われる2回のフリー走行で、2人のレギュラードライバー以外にサードドライバーも走らせることができることになっていますが、これに関して「該当するチームが不当にアドバンテージを得ている」という上位チームからの不満があったようです。FIAはこれを受けて、ここでも“コスト削減”という名目で、このルールを今シーズン限りで廃止することを提案し、今月6日の世界モータースポーツ評議会で正式決定されました。

 このルールによって、2004年2位のBAR・ホンダ(前年5位)、2005年2位のマクラーレン(前年5位)、4位のトヨタ(前年8位)が恩恵を受けたとされますが、別に元々下位チームに対する救済措置というかハンディキャップでこのルールを新設したわけで、それによって前年下位に沈んだチームが躍進してもいいと思うんですけどねえ。それがおかしいというのなら、何のためのルールなんだと言いたいです。

 しかし、このルールが廃止されるとなると、スーパーアグリにとっては非常に厳しいですね。スーパーアグリとしては来季もレギュラードライバーの他にサードドライバーを走らせて、より多くのデータを収集したいでしょうし、何と言っても合同テストと違い、実際にレースで走るサーキットでテストできるわけですから、若いドライバーを育成する格好の機会でもあったわけです。スーパーアグリに限らず、今のF1では若手ドライバーの育成が急務となっていますから、F1にとってもこのルールの廃止は、あまり良いことではないような気がします。



■ホンダ、新風洞施設完成
 ホンダがこのほど、拠点であるイギリス・ノーザンプトン州ブラックリーの敷地内に、新しい風洞施設を建設し、その完成セレモニーをおこないました。
 今回新しく完成した新風洞は、フルスケールのマシンで実験ができ、マシン開発を進めるために、マシンに16枚の回転翼と27枚の固定翼から成る直径5mにも及ぶ巨大ファンで起こした秒速80mの風を当て、マシンの空力性能や特性を測定し、同時にマシン下の秒速80mで動くローリングロードを動かすことで、走行中の状態を模擬できるそうです。

 こちらがその新風洞施設なんですが、凄い!過ごすぎる!何だかメン・イン・ブラックの秘密基地のようです!!今のこの写真の状態でファンを回してみてええええ!

 この新風洞施設の完成によって、来シーズンのマシン開発能力は大きく飛躍すると思われます。この施設で良いシャシーを作れば、あとはエンジンさえ壊れなければ、ついでにピット作業でもたつかなければ、来シーズンは悲願のホンダ初優勝が期待できそうですね!今年はおそらく無理だと思うので、来年こそ、ポディウムで「君が代」を響かせて欲しいものです!



■クルサード、レッドブルとの契約を更新
 個人的には非常に嬉しいニュースです。ベテランドライバーのデビッド・クルサードが、レッドブルとの契約を更新しました。レッドブルのスポーティング・ディレクター、クリスチャン・ホーナーは、「クルサードは明らかに卓越した優秀なドライバーだ。彼が真にその能力を発揮した時には間違いなく世界トップクラスの一人だよ。みんなは彼の歳のことを言うが、マンセルやヒルがタイトルを獲った時にはもっと歳がいっていたよ。」とクルサードを高く買っているようです。

 デビッド・クルサードは現在35歳のイギリス人ドライバーで、1994年サンマリノグランプリでのアイルトン・セナの事故死を受け、その代役としてウィリアムズからF1デビューを果たしました。96年からはマクラーレンに移籍し、2004年まで在籍しました。翌2005年からは新チームレッドブルに移籍し、今に至ります。

 彼はウィリアムズ時代とマクラーレン時代に通算13勝を挙げており、ウィリアムズ時代はデーモン・ヒル、マクラーレン時代はミカ・ハッキネンとキミ・ライコネンの活躍の陰に隠れてしまう形となりましたが、昨年新チームレッドブルに移籍して念願のエースドライバーの座を射止めてからは生き返り、ベテランらしいまろやかな走りで堅実に入賞を重ね、今年のモナコグランプリでは見事に3位表彰台に登り、チームの牽引役として大活躍しています。

 クルサードは一発の速さはそれほどないですが、その堅実で安定した走りはもはや職人の域に達しており、F1ではレースを最後まで走りきることで結果がついてくると言うことを証明してくれています。もちろんバトルするところでは積極に仕掛けていきますし、レッドブルに移籍してからのクルサードは、トップチームに在籍していた頃のプレッシャーから解き放たれたかのように、見違えるような走りを見せてくれます。

 彼には今後も頑張って欲しいですね、モントーヤの分まで……。



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