Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 モントーヤ急転直下の引退!代役はデ・ラ・ロサ!
2006年07月11日(火)

 昨日お伝えしたF1マクラーレンチームのコロンビア人ドライバー、ファン・パブロ・モントーヤの来季NASCAR転向のニュースですが、今日は一転して、モントーヤがF1から即時引退することが明らかになりました!マクラーレンは今週末におこなわれるF1第11戦フランスグランプリから、モントーヤに代わってサードドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサをセカンドドライバーに起用することを発表しており、事実上モントーヤは前戦アメリカグランプリがF1での最後のレースとなるようです。

 マクラーレンのロン・デニス代表は「モントーヤは間違いなくエキサイティングなドライバーで、とてもナイスな人間。彼がNASCARでも成功を収めることは間違いないものと確信している。今彼の周囲には様々なことが起こっており、彼自身のために、将来に向けて準備する時間を持ったほうがいいとの結論に達した」と、モントーヤの即時引退は“解雇”という形ではなく、両者の合意であることを強調しました。

 このロン・デニスのコメントによれば、あくまでモントーヤがNASCARという新天地でチャレンジするということで、その準備期間があった方がよいだろうと言うことで、モントーヤとのドライバー契約を解除してモントーヤを解放したという好意的な見方ができますが、さすがはプロフェッショナルで完璧主義のロン・デニスらしいなと思ってしまいました。

 ロン・デニスとしてみれば、モントーヤはチームに何の相談もなく自ら突然NASCARへの転向を決断したわけですから、F1の世界に見切りを付けて新しい挑戦に胸を膨らませているモントーヤがF1今シーズンの残りのレースに走っても、それはすでにタイトル争いとは無縁のモントーヤにとって消化レースでしかなく、モチベーションも下がりいい結果を出すことなどできないと考えるでしょう。そう言う意味で、もはやF1に何の未練もないモントーヤから、年齢はだいぶ上でも、レギュラーシート獲得のチャンスを狙っていてやる気十分のデ・ラ・ロサに即時交代させたことは、賢明だったかもしれませんね。

 またモントーヤとしても、この一見契約違反による更迭にも見える今回の引退劇が、計算の内だったのではないかという見方もできますね。モントーヤもすでにF1よりもNASCARに魅力を感じているわけですから、早くアメリカに渡ってNASCARの新チームに合流したい思いでしょう。だからこのシーズン真っ只中という時期に突然NASCAR行きを発表し、それによってマクラーレンから更迭されることになるのは、むしろ望むところだったのではないでしょうか。

 いずれにせよ、ロン・デニスとしては今シーズンなかなか結果を残せずやる気が感じられなかったモントーヤを下ろし、代わりにやる気十分のデ・ラ・ロサをセカンドドライバーに起用したかったでしょうし、モントーヤとしてもできることなら今すぐにでもNASCARに乗りたいでしょうから、双方の利害が一致したということになりますね。
 また、マクラーレンにエンジンを供給しているメルセデスも、実はモントーヤの乗る予定のダッジがクライスラー製で姻戚関係にあり、親会社であるダイムラー・クライスラーの計らいで、モントーヤにいち早くNASCAR搭乗へのチャンスを与えたいという思惑もあるようです。

 う〜ん、実によくできた話ですな!

 さて、次戦フランスから急遽モントーヤに代わってセカンドドライバーとしてレースに出場することになったペドロ・デ・ラ・ロサですが、彼はフォーミュラ・ニッポン王者という肩書きを持って99年にアロウズからF1デビューを果たし、非力なアロウズでのデビュー戦でいきなりの入賞するなどの活躍を見せ、01年にはワークスチームのジャガー移籍を果たしました。しかしジャガーで2年の在籍後シートを失い、現在はマクラーレンのテストドライバーを務めています。
 昨年のバーレーングランプリでは、負傷したモントーヤの代役としてレースに出場し、予選8番手、決勝5位、ファステストラップも記録する活躍を見せました。
 デ・ラ・ロサは現在35歳のスペイン人で、2003年からずっとマクラーレンのテストドライバーを務め、もっともMP−4/21で走り込んでいるので、誰よりもMP−4/21を知り尽くしていると言っても過言ではないでしょう。その点ではデ・ラ・ロサはモントーヤの代役としては打ってつけだと言えるでしょうね。

 ただし、来シーズンはルノーからフェルナンド・アロンソが移籍してくることがすでに決まっており、さらにそのチームメイトには現在GP2に参戦している21歳のメルセデスの育成ドライバー、ルイス・ハミルトンが起用されることが予想され、デ・ラ・ロサのマクラーレンでのレギュラーシートは今シーズン限りだと言えるでしょう。
 デ・ラ・ロサとしては、来シーズンのレギュラーシートを得るために、フランスグランプリでの復帰戦で、何とか好成績を挙げてチームにアピールしたいところですね。



↑エンピツ投票ボタン
My追加


≪過去 未来≫ 初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加