Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 ブスとドラゴン
2006年05月09日(火)

 以前は仕事が忙しいながらも、ハードディスクに録画したりして毎クール平均4〜5本のドラマを観ていたんですが、最近ではテレビを観る以外のプライベートな時間が足りなくなってきているので、ドラマは厳選して3本程度に絞り、テレビを一切観なくても良い日を作ってプライベートな時間に当てています。

 で、今クールのドラマで僕が観ていて楽しみにしているのは、火曜夜10時の「ブスの瞳に恋してる」と木曜夜10時の「医龍」ですね。月9の「トップキャスター」も観ていますが、今回は除外しましょう。

 まず便宜上「医龍」の方から書きますが、このドラマはここ数年「やれば当たる」と言われている医学モノのドラマ。かつて中東の戦場で医療チームとして活動していた天才外科医の朝田(坂口憲二)は、所属していた大学病院に反発して病院を追われ、その後帰国して定職も付かずにすさんだ生活を送っていました。そこへ別の大学病院の助教授の加藤(稲森いずみ)がやってきて、自分の論文と教授のイスのために“バティスタ手術”をおこなって欲しいと言われて医者として復帰します。
 ところが、加藤が招いた大学病院は、病院側の利益が最優先され患者の命は二の次にされているという状況で、朝田はその病院の体質に憤りを感じずにはいられませんでした。当初はバティスタ手術には優秀なチームが必要であるということで、「この病院には優秀な人材はいない」と乱暴に吐き捨てていましたが、そのうちこの病院の中にも、何人かはまともな考えを持っていて腕も確かな医者がいることを知り、徐々にバティスタ手術を行うための「チーム・メディカルドラゴン」が集まりつつあるというお話。

 主役の朝田龍太郎役を演じる坂口憲二は、最近では珍しくクールでワイルドな役に挑戦しており、元々マスクはワイルドなので無造作に生やしたヒゲ面も似合っていて、この役にピッタリはまっていると思いました。彼は最近のドラマでは主にひょうひょうとしていたり、ちょっと頼りない役などを演じていましたが、今回はほとんど笑うこともなく、常にシリアスのままという役柄で、新鮮であると言えば新鮮ですが、むしろ本来はこういう役の方が性に合っているのではないかと感じましたね。

 しかし、このところ医療系のドラマが増えているように思うのですが、純粋に災害時の医療現場を描いた「救命病棟24時」やナースのお仕事をコミカルに描いた「ナースのお仕事」は別として、「白い巨塔」や「N’sあおい」、そして今回の「医龍」などを観ていると、大きな総合病院って、そんなにあくどいことをしているところが多いのか?と思わずにはいられません。もちろんドラマなのですべてフィクションなのですが、あまりにも最近の医療系ドラマで、院長が金の亡者と化していたり、助教授が固守淡々と教授のイスを狙っていたりというシチュエーションが多すぎるので、現実に患者の知らない裏ではこういったことが平然とおこなわれているのでは?という錯覚に陥ってしまいます。
 特に大学病院が舞台となると、もうその教授の地位を巡る争いは熾烈極まりなく、なにもそこまでしなくてもいいのにと思ってしまうほどの野心家が何人もいたりしますよね。こうなると、「大学病院=悪」という偏見が生まれてしまわないかと心配です。

 「お代官様」と聞くと「悪」を連想し、ついでに若い娘が和服の帯を引っぱられて「ごむたいな〜」と言いながらくるくると回っているのを連想してしまうのと似ていますな。実際には良いお代官様がほとんどだったでしょうに……。

 さて、今日僕が本当に書きたかったのは、もう一つのドラマ「ブスの瞳に恋してる」の方です。最近のテレビで平然と“ブス”という言葉がタイトルに使われているのも珍しいですが、このドラマは3年前に女性お笑いトリオの「森三中」の1人、体重80キロのガッツ石松似のブスと名高い大島美幸が、人気構成作家の鈴木おさむ氏と結婚した話が基になっており、「ブスの瞳に恋してる」というタイトルで鈴木おさむ氏の手によりマガジンハウスから刊行され、5万部を超えるベストセラーとなっている夫婦の素敵なおのろけ話をドラマ化したものです。
 で、このドラマのヒロイン太田美幸役は、実際のヒロインである大島美幸の相方である「森三中」の村上知子が演じており、主人公の山口おさむ役は、SMAPの稲垣吾郎が演じています。

 この2人のキャラクター設定を見て見ましょう。

 まず主人公の山口おさむは、バラエティ番組を中心に活躍する人気放送作家。担当する番組が軒並み高視聴率で若手でありながら業界内でも一目おかれる存在です。当然収入も億単位でイケメンでもあるため、周囲の男女からあこがれられています。しかし過去ににがい失恋経験があり、それ以来見た目のきれいな女性とばかり付き合っていて、恋愛はファッションの一部くらいにしか思えなくなっています。

 そしてヒロインの太田美幸は、身長150cm体重60kgで、両親が心配するほどのブス。でもブスであることを悩まないポジティブブスです。7年前女優を目指して上京し、養成所に所属するも、いまだ台詞のある役をもらったことがありません。しかし非常に明るい奔放な性格で周囲の人たちを幸せにしていきます。しかも勤勉で毎日女優になるための努力は怠りません。中学校の頃に容姿のせいでひどい仕打ちを受け、それ以来自分には普通の容姿の人のような幸せは訪れないのだと思い込み、恋愛はしたことがありませんでした。

 美幸はおさむが務めるテレビ局のすぐ近くにあるラーメン屋でバイトしており、おさむが仕事の同僚を連れてその店に出入りするようになって2人は知り合ったのですが、美幸はおさむに恋心を抱いてしまいます。おさむはおさむで別に付き合っている彼女はいたのですが、美幸の自分に対する気持ちなど知るよしもなく、しかし美幸の前向きでやさしい性格に好感を持っています。

 ……とまあ、ざっと話をまとめるとこんな感じの内容なのですが、稲垣くん演じる主人公のおさむはともかく、森三中の村上知子演じるヒロインの美幸が、何だか不思議とけなげで可愛らしく見えてしまうんですよね〜。森山中と言えば、こう言っては失礼かもしれませんが、ある意味ブスをネタにしているお笑い芸人ですから、村上もバラエティ番組などでは他の2人同様、相当濃いキャラクターという印象が強いですよね。しかしそんな彼女のバラエティのイメージを忘れてしまうほど、このドラマの村上知子は好感が持てます。

 僕も別に女性を選ぶのに見た目だけで判断したりはしませんが、まさか森山中の村上知子がこんなに可愛らしく見えるようになるとは思いませんでした。もちろん村上知子はあくまでそういう役を演じているだけなのですが、別にドラマで特別なメイクを施しているわけでもなく、服装にしても特に普通の格好ですから、見た目だけ見れば普段の森山中の村上と何ら変わりはないんですよね。それでも村上知子がこのドラマでけなげで可愛らしく見えてしまうと言うことは、やっぱり人間は見た目じゃないということなんですよね。

 ドラマの中の村上知子が現実に身近にいたら、恋愛対象になり得ますね。



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