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■ 続・続・リビングデッドな夜
2005年08月07日(日)
(前回の続きです)
さて、最後は「28日後…」です。この作品は2002年公開の映画で、「ザ・ビーチ」の原作者アレックス・ガーランド初のオリジナル脚本を「トレインスポッティング」「ザ・ビーチ」のダニー・ボイル監督が映画化したもの。ゾンビ映画や戦争映画をモチーフに、絶望感漂う終末世界でかすかな未来に希望を託す主人公の心の軌跡を繊細かつ大胆に綴っています。また、デジタルビデオで撮影された映像も絶望的世界観を見事に表現しています。 ストーリーは、怒りを抑制する薬を開発中のとある霊長類研究所で、ある夜、精神を冒し即効性の怒りを発するウィルスに感染している実験用チンパンジーが、侵入した動物愛護活動家たちによって解放されてしまう。その直後、活動家の一人がチンパンジーに噛まれて豹変、仲間に襲い掛かる…。そして28日後。交通事故で昏睡状態に陥っていた自転車メッセンジャーのジムは、ロンドン市内の病院の集中治療室で意識を取り戻す。ベッドから起き廊下をさまようジムだったが、院内にはまったく人の気配がなかった。人の影を求めて街へ飛び出したジムは、そこで驚くべき光景を目にする……というもの。
この映画は映画の前半、まったく誰もいなくなってしまった無人のロンドン市街の映像が非常に印象的です。僕が現在今まで観た映画の中でナンバー2に挙げている「エンド・オブ・ザ・ワールド」に通じる虚無感を味わいました。誰もいない都会の風景は、それだけで人類の終末を象徴する印象がありますね。その後舞台はロンドン郊外を抜けて田舎町へと進んでいくのですが、この途中のイギリスの片田舎ののどかな風景にも、人が誰もいないので美しい風景を堪能することができます。こちらは無人の都会とは打って変わり、ファンタジー世界のような幻想的な印象です。もちろん都会でも片田舎でも、所々にウィルスに感染した者たちはいるんですけどね。
しかし、生き残った主人公たちがクルマで片田舎に辿り着き、軍人が登場してくるあたりから、何だか話が一気に変わってしまってイマイチでした。前半の無人の風景のあたりがよかった気がします。軍人が出てきてからは人間の心のおぞましさや残酷さが浮き彫りになってしまい、不快感を覚えました。 ラストはハッピーエンドとそうでないものの2種類のエンディングが存在していて、両方が劇場公開されたようなのですが、僕が観たのはどうやらハッピーエンドの方でした。ハッピーエンドでない方のエンディングは知りませんが、僕的にはこの映画はハッピーエンドで終わって欲しいですね。後半の不快感を味わったあとに希望も何もなかったら悲しすぎますからねえ。
でもまあ、ダニー・ボイルらしく、よくまとまった映画だと思います。
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