Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 サイバー世界の住人
2004年04月26日(月)

 今日は、少し哲学じみた話をしてみることにしましょう。近年、インターネットは急速に普及し、そのスピードや情報量は年々進化してきました。そのため、今ではインターネットは日常の生活の中で身近なものとなり、SF的な表現をするならば、「サイバー(電脳)世界」はどんどん膨張しています。その世界は、地球上のあらゆる場所に無数に点在しているサーバの中に、数字の羅列、つまりデータとして蓄積されており、通常我々はブラウザの画面の中でしかその世界を見ることはできません。しかしその世界は、確実に存在しているのです。

 サイバー世界は、世界地図のようにその全貌を目で見ることはできませんが、現実世界と同じように、様々な場所が存在しています。例えば現実世界で言うところのコミュニティスペースは掲示板やチャットであり、展示場・図書館などに当たるところは写真や文章などを公開しているページ、その他行政機関や公共施設、ゲームセンターやショッピングセンター、風俗街や売春宿、はたまた無法地帯やスラム街、下手したら戦場に相当する場所までサイバー世界には存在しているのです。そのためサイバー世界においても、人は、誰かと話したり、作品を展示したり、ゲームをしたり、買い物をしたり、エロ画像を閲覧したり、人身売買したり、犯罪を犯したり、テロを起こしたりと、現実世界と同じことをしているわけです。サイバー世界ではそれらが現実世界のように目には見えず、全てがブラウザという端末の中で、世界のどこからでも実行できてしまうところに恐ろしさがあります。

 しかし、サイバー世界は、使い方さえ誤らなければこれほど有益なものはありません。遠く離れた家族とも手軽に連絡が取れるし、遠距離恋愛でも愛を深め合うことができますし、世界中と繋がっているのでどこへでも一瞬で飛んでいくことができ、あらゆる情報を取得することができます。10年前では考えられなかったことですね。

 そしてこのサイバー世界は、決して「仮想世界」ではないことも忘れてはなりません。目には見えない世界であるが故に、サイバー世界での出来事は「現実ではない」と思われがちですが、サイバー世界での出来事は確実に、現実世界に影響を及ぼしているのです。サイバー世界でも人と人との対話ができるわけだし、ゲームもできればものだって買うことができます。もちろんサイバー世界での取引で実際にお金が動き、現実に人が売られ、売春行為が行われ、テロにを起こそうと思えば、知識さえあれば国家の防衛システム、ミサイルまで操作することも可能なのです。

 それは、サイバー世界を行き来する住人が、すべて「意志を持った人間」が作り出したものだからです。もちろん実際に肉体がサイバー世界にあるわけではありませんが、サイバー世界の住人は、自分の意志でものを考え、発言し、行動しているのです。つまりサイバー世界の住人は、少なくとも現実世界の人間が操っているひとつの人格なのです。

 サイバー世界の住人と、それを操る現実世界の人間で人格や性格が違うこともあるでしょう。また1人の人間がサイバー世界で複数の住人を操っていることもあるでしょう。しかしそれらは、現実世界で言うところの「別の人格を演じる」、そして「複数の人格を演じる」ことと同じなのです。ですからそのサイバー世界の1人の住人は、すべてそれを操る現実世界の人間の一部であると言い切ることができます。つまり現実世界の僕も、サイバー世界での僕も、どちらも僕の一部であるということです。そういった意味で、サイバー世界は「仮想世界」ではないと言えるのです。

 このことから何が言えるかと言えば、サイバー世界でも現実世界と同様、あるいはそれ以上の友情や愛情、信頼関係が築けると言うことです。そしてそれらは決して「仮想」ではなく、「現実」であると言えるのです。実際出会い系サイトで知り合った男女が現実世界で結婚することもあれば、オフ会で実際に顔を合わせて親睦を深め合うことだってできます。

 僕は自分のHPを持っていますが、サイバー世界でしか知らない方々、現実世界ではまだお会いしたことのない方々でも、現実世界と同様にお付き合いさせていただいています。掲示板にいらしている方々、そして影ながらうちのHPを覗いてくださっている方々、例えサイバー世界でしか会うことのできない方々でも、現実世界と同様に考えています。なぜなら、現実世界の友達同様、あるいはそれ以上に、サイバー世界で出会う方々からたくさんの勇気や励ましをもらっているからです。

 HPを運営していると「掲示板にカキコをしたことはありませんが、いつもHP拝見しています」といったメールを頂いたりします。僕はそういったメールを読んで、掲示板に来ている方々だけではなく、多くの方々が僕のHPを見てくださっていると言うことを改めて実感します。僕は様々な方に支えられている、幸せ者だと思っています。


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