薄情
帰ってきた?
彼の電話の第一声。
嬉しそうに笑っている。
毎晩電話をくれて、仕事の様子を教えてくれる。
どうなるかわからなくてストップしたままだった件が
ようやく動き出したようでよかった。
明日は絶対に電話するから。
毎日電話してくれてるのに、どうして明日はって
わざわざ言うのかと思ったら、明日は飲み会だった。
彼は酔うと必ず電話したくなるそうだ。
別れていた間、深夜にかけてきたのは、全部飲み会の
帰りだった。
付き合っていた時もかけてきた。
そういえば、私も酔うと彼の声を聞きたくなる。
*** *** *** *** ***
彼からもらった優しさをおすそ分けするはずだったけど
Hさんには中途半端なメールしか送れなかった。
電話したいと言われて、とっさにイヤだと思った。
前にしてもらった親切を思い出して、無理やり
いいですよと返事した。
都合のいい曜日や時間はいつ?と聞かれて
絶対に長時間、しゃべろうとしてると勘ぐってしまう。
だから、わからないから適当にあたって砕け
てくださいと返事、ちなみに今からはダメです
と付け加えた。
病気で気弱になっているらしいけど
優しくされたいなら、結婚相手に甘えろと
返事しそうになった。
「あわよくば・あわよくば」
数年前に当然のように言われたから、信用できない。
バカにされてると思ってしまう。
お門違いだと、一度思ってしまうと、私は絶対に
優しくできなくなる。
Hさんの病名は知らないけれど、良性だから
いいんじゃない。
症状は聞くんじゃなかった。
もしかして、万が一と思うのだろうけど
どれだけアタマで気の毒だと考えようとしても
気持ち悪いと思ってしまう私は、やはり薄情だ。
2005年03月03日(木)
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