彷徨
誰よりも知られたくない人に見つかったから、ココに逃げ込もう



2004年06月15日(火)

ストラップ
5000通近いメールを捨てた。
私から出したメール。
彼から来たメール。
携帯に来たメール。
「おはよう」だけのメール。
全部大切に保存してた。

今、はずしたBBSを覗いたら、書き込みがあった。
彼からの最後の言葉。
私が消えることは望んでないって。


BBSに残ってる、IPアドレスを、アクセス解析の検索にかけた。
先月の11日からしかなかったけど、毎日、毎日。
何時間おきかに見に来てた。

読まれてる息苦しさから逃げ出した。
読んでるとはっきり言わず、仄めかし、
「俺は知ってるんだけど」みたいに、優位に立とうとする。

リニューアルしたばかりのサイトを閉めた。
500日近い日記を削除した。
バックアップも削除した。

ネットの世界から「私」の痕跡を消して
彼に焦燥感と消失感と、後悔を味あわせたかった。



   さようなら いつまでも愛しい人

私の気持ちも一緒。
愛憎が絡み合って縺れ合ってる。

だから、受信拒否にした携帯なのに
お揃いのストラップをはずせない。

どうしてもはずせなかったよ。
一緒だね。



2004年06月16日(水)

解放感と一抹の寂しさ
夜明け前、お試しから有料版に移行する手続きを取る。
振込みに行くのは面倒。
だけどココで書くと決めたから。
振込先を見るとネットバンク。
そういえば、私も持ってたな。

便利だな。
銀行に行く手間もない。
営業時間を気にしなくてもいい。
待ち時間にイライラさせられることもない。
あっという間に送金完了。
だけど初めてのことだから、本当にできたのか少し不安。

***  ***  ***  ***

ソースをいじる。
テーブルタグだらけ。
おもしろい構成だと思う。

サイトから、はずしたBBSをもう一度開く。
あの時間、どうして彼は書き込めたんだろう。
BBSのアドレスを単独で知ってるはずがない。
BBSにつけたタイトルで検索してみる。
どんぴしゃり。
こうすれば、削除してない限り探し出せると納得。

もう見ることはないだろう
そう思いながら、彼の書き込みにレスをつける。
ヒミツの公開ラブレターみたいだ。

   いつまでも愛してる
   いつまでも愛しい人

同じ言葉を私も書く。

***  ***  ***  ***

いつかココにもBBSをつけようか。
BBSは、疲れている時は、レスが面倒。
ほっといてくれと思う。
誰かに声をかけてもらいたいときは、いそいそと何度も覗く。
本当に、私は勝手なヤツだとつくづく思う。

ココのカウンターはグルグル回る。
面食らう。
ただの目安にしかならない。
自分で回すカウンターのバカバカしさ。

今日も仕事をサボる。
投げやりな昨日から
今日は新しいおもちゃを見つけた楽しさで
ココを自分好みにする。

ネットの仲間意識ってなんだろう。
いないと寂しい。
増えすぎるとややこしい。

***  ***  ***  ***  

   ストーカーみたいなヤツだな

違う、そうじゃない。
私が彼を放せなかった。
「今」の生活が、少しでもイヤになったら
彼のもとへ戻るつもりだった。

君は、まだ私のココロを完全に掴んでない。
だけど、私はズルイから、君しか見てないフリをする。
まるで共犯者のように振舞う。
彼は悪いヤツ。
私たちの邪魔をする、悪いヤツ。





2004年06月17日(木)

隔たり
Macがいいのは認めるよ。
見ていて、そう思うもの。

だけど、私のWinは、彼が作ってくれたもの。
手放せないよ。
代わりはないの。
壊れたら、誰もどうすることもできないの。

新しいオモチャに飽きちゃった。
また倦怠感に包まれてるよ。


私は、Builderでいいよ。
だって、彼からのプレゼントだもの。

自分の言うことをきくオンナがほしいの?
まだダメだよ。
きっとダメだよ。

自分だけを見てくれるオンナが欲しいよね。
そりゃあ、そうだよ。
それは、わかるけど。

でもね、私の中には、ずっと彼がいるんだよ。
PCが彼自身のように。

これでも、ずいぶん、掃除したんだよ。
だけど、全部は消せないの。

もし、全部消えたら、壊れてしまう。
私も、PCと同じだよ。


2004年06月18日(金)

追い討ち
葉書が届いた。
恒例のつぶやき日記風。
そんなに吐露したければ、web日記が最適だ。
教えてやりたい。

   6月30日で、40周年。
   多くの人のサポートによって、今日の日を迎えました。


何、先走ってんだよ。
今日は、まだ19日だよ。
40周年記念感謝パーティーでも、なんでも好きにすればいい。

   多くの人が周りから去っていきました。
   今更と思うだろうが、Hの死は私に悲しみの何かを
   教えて呉れました。


死んで何年経ったのか、すぐには浮かばない。
この世にいないと知らされたのは、確か死後9年が経過してた。

聞いた瞬間、感じたのは、解放感と、安堵感。
もう悩まされなくていい。
偶然出くわすことも無い。

死因を言いかけた時、私は遮ったよね。
今でも聞きたくないし、知りたくない。

あの当時、自分の叫び声で、目を覚ました夜。
今度は私が、放り出される番。
そんな夢を見て、叫んだ。
あんな目には、二度とあいたくないんだよ。

私が聞かないのは不満だろうけど
あなたの苦しみや悲しみを分かち合うつもりは、全く無い。

こないだから、2通続けて、
世を果敢無む鬱症状のオンナの話だの
今回の話だの

散々周囲にしゃべり倒して、まだ足りないの?
私に追い討ちをかけてるってことが、わからないの?

だから20通に1通くらいしか、返事しないんだよ。
いちいち、反応してたら、こっちがおかしくなる。


娘を追い込んでるのに、気づかないのか?

2004年06月19日(土)

無知の落とし穴
友達から電話があった。
  今すぐに保険証が欲しい。
  どうすればいい?

彼女はサバサバした性格で、知り合ってすぐに仲良くなった。
その頃、彼女は、子宮外妊娠の後遺症で、鈍痛が続いていた。

私は詳しい事情を聞いた。
同棲していた彼氏がいたこと。
その彼との行為で、子宮外妊娠したこと。
彼氏と別れたかったので、彼氏には何も言わず
病院には一人で行ったこと。

堕胎の処置がうまくいかなったようで
私と知り合った時、数ヶ月経っていたのに
痛みと出血と違和感があること。
肌は荒れ、ニキビが顔半分から首筋にまで広がっていた。


一度、私の部屋に泊まりに来た。
その夜、彼女の性行為への考えを聞いた。
彼女にとって、セックスはスポーツらしい。
あっけらかんと話す彼女に、私は驚いた。

彼女が身体に受けた傷は、彼女のスポーツ論を覆さなかった。
堕胎経験は2度。
それでも、セックスはスポーツだと思っていた。

その彼女からの電話の内容に、また驚かされた。

  妊娠したので保険証が欲しい。
  それも今すぐに。
  相手は、2度堕胎した、同じ彼氏。
  どこに行けば、保険証をもらえるの?

私はすぐには発行されないこと
とにかく、電話を切ったら役所に行くように言った。

彼女にとって恋愛とはなんだろう。
多数の相手とスポーツ感覚で。

妊娠させた相手が同じことに、少しほっとしたのと同時に
何度も妊娠して、そのたびに中絶する進歩のなさに呆れた。

そして、年金手帳を見たことがなく
現在、保険証を持っていないこと。

人の悪口、陰口を言わない彼女。
祖母の身を案じて、老人ホームに何度も見舞う彼女。
頭の回転が速く、話していて楽しい彼女。

彼女の中のよいところ、無知なところ、物や人に対する善悪。
もっと自分の身体を大切にしなさい。
何度も言ったのに、彼女には伝わらない。
いや、大切にしたいと思いながら
逆のことを続けてしまうのかもしれない。

学校で教えてもらう、色んな教科は実生活に役に立つこともある。
だけど、もっと肝心なことを、繰り返し教えるべきじゃないかと思う。

社会保険制度の概論でなく、もっと身近な役所での手続きの仕方。
お茶を濁すような性教育のために時間を取るなら
もっと違ったアプローチの仕方があると思う。

この彼女は、10代じゃない。
30前の、社会でいうところの「立派な大人」だ。

自分を守るために
自分で情報収集し、学ばなければいけない。
それはそのとおりだし、そうでなければいけない。
だけど、空論や概論でなく
もっと実践的な基本的な身近なことを
義務教育の段階で教えるべきだ。

2004年06月20日(日)

上手
前のときは、毎日、日にちを数えていた。
まだ1週間、まだ1ヶ月、まだ半年。
なのに、ここに来て
季節は春の始まりから、初夏になった。

どこにも行かないまま、部屋と職場と往復する。
それは今も変わらない。

どこかに連れて行ってほしい。
何度かそう頼んで、やっと行ける日が来た。
私は、美味しいケーキが食べたいとか
洒落た店で、食事したいとか
ここでは見られないショップを歩きたいとか
とにかく人のいる繁華街に行きたかった。

 じゃあ、駅の周辺を車で通ろう

 通るだけ?降りないの?

 何もないよ


何もなかった。
人もいなかった。

 みんなどこにいるの?
 休みの日はどこに出かけるの?

 東京や大阪と、一緒にしたらダメだよ。

車が町の中心部を離れ、気がつくと山間部を走り出す。

 ねぇ、私・・・山の中、苦手、嫌い・・・
 周囲から覆い被さってきて、推し潰されるようで、怖いから。

 もう少し、我慢して
 ほら、海が見える!


どこに行くか、教えてくれなかった。
 
  楽しみにしてて、すぐにわかるから。

ニコニコしながらそう言ったね。
こんなふうに行き先を知らないまま
ドライブするのは初めてだった。

雑踏や騒音、人いきれ、24時間、眠らない街。
そんなものが恋しかった。
そんな自分が、つまらないヤツに感じたよ。

  どうしてカメラを持ってこないの?

  あれは商売道具だから、潮にやられると困るでしょ。

ロマンティックに、何も言わず海まで連れて行った君。
現実的なことを、平気で言う君。

  私を撮りたくないの?

  いつも目の前にいるのに、写真は必要ないでしょ。


いつも いつまでも ずっと

君は本当に、オヤジで現実的で、説教臭い男だ。
だけど、ほんの少しだけ、上手だね。  

2004年06月22日(火)

初日 最新

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