眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・抱きしめたい:榊花月

ボーイズ小説・抱きしめたい(シャイノベル)榊花月

95年に花丸から出たシリーズを再編集して出し直す1冊目。「抱きしめたい」「さよならは夢の中へ」の2本と書き下ろし1本を収録。
初っぱなからネタばれ全開なので注意。

高校時代から付き合っているAとB。現在は同じ会社で働いている。そこへ後輩のCが研修で大阪からやって来る。CはAにアプローチするがふられて研修が終わり帰るというのが「抱きしめたい」の大筋。Aが一月出張に出ている間にBが昔の会社の先輩であるDと浮気し、しかも本気になりかけてAが別れ話を切り出すのが「さよなら」の大筋。
どのキャラが誰とくっつくのか分からないのでABCDで表記。
Aは前の本の時から主人公格だった受。童顔。真面目でいじられキャラ。マスコット的な存在で周囲から愛でられている。目が悪い。仕事熱心。天然。うっかり。恋愛に疎い。一人っ子。
Bは資産家の息子。兄二人。頭も顔も良い。営業のトップ。お調子者で昔からもてた。モラルは低い。一度有名商社に勤めたが1年で辞め、Aの会社に中途入社する。
Cは大阪人。顔が良く愛想も良い。本音はなかなか見せないがAに懐く。本当の父親は母親を捨てその後生まれたCは疎まれる。母親は精神を煩い入院。育ての父親と兄弟がいるが家庭の中で浮いている。
DはBの元先輩。綺麗な顔立ちで落ち着いた儚い雰囲気。でも言うことはきっちり言う。Bが学生時代付き合っていた上級生に似ている。
収録された部分はあまり変わっていないと思うが、消えかけた記憶を呼び起こしつつそれなりに楽しめた。
本文は二段組だし、脇キャラも生き生きしている。
始まって40P目ぐらいでCがAに濃いー家庭の事情を話す辺りは唐突過ぎたが、元々そういう流れだったしそういうものだと思えば、気にならない事もない。この作家さんのHシーンで萌えたのも久しぶり。これは過去の収録分だが。
基本的にはどろどろした恋愛話は好きでなく避けて通るのだが、数年来完結をみなかったこの作品は、それをおして最後まで見届けるつもり。それぞれのキャラにも思い入れがあるし、AがBとCどちらとくっついても良いな。と思っていたのが、収録分まで。
以下、感情の迸る感想につき注意。


で、書き下ろし。最初は作家さんの文体が読めなくなっていたので、完結巻だけ買おうかと思っていたが、書き下ろしがついているから最初から買ってみた。
内容は、「さよなら」をダイジェストにBの視点で流したもの。前に人間腹が立ちすぎると笑いがおこると書いたことがあるが、この話も半分は笑いっぱなしだった。ページをめくるたびに心の中で怒りのボルテージが上がっていくのが分かった。
Bは浮気をしておいて、Aが別れようとすると「俺を捨てる気か」と逆ギレしている。AとD両方とも好きだし別れたくないなと考え、Dに「こんなことしていちゃいけないから」と諭されると、お前も見捨てるのかーと自業自得を棚に上げている。しかもAが去ったのはDのせいだと文句をつけているし。
自分が浮気している事に気がつかないとAに苛立ちもっと俺の事を知ってくれと怒ったり、かまってくれないから浮気したんだと開き直ったり、お前いい加減にしろよ。と突っ込んでしまった。
前から確かにこんな性格だったが、第三の視点と本人の視点では衝撃度が違う。薄々ロクでなしだと思っていたが、まだ「いやこれも何か深い理由があるのかも」と思いこもうとしていたが、今なら分かる。本当にただのろくでなし。
Aよ、是非ともCとくっついてくれ。と思ってしまった。
まだこれは1冊目だしこれから変わっていくのだと信じて続きを買うつもりだが、というか変わることを信じて買いたいが、最後までBがこの性格でAとBがくっつくのなら、この作家さんと本当にさよならできる自信がある。あるいはAがCとくっついて幸せになってくれればそれでもいいや。何げにCが一番一途で我慢強くいい男に思える。
同じ道を辿らないためにも、納得行く結末を切に願う。
社会人物。高校からの同級生カプ。24〜25歳。多角関係。浮気。



読む前は作風が合わなくなっていたら嫌だなと心配していたが、そんな悩みはBの性格の前では些末な事だった。これの前では何でも笑って許せる。というか全てがささやかな問題に思える。
それはおいといて、前作が出て10年の年月を、読みながら感じた。
作中に出てくる「ギムレット」や「カナディアンクラブ」なる酒の名前。10年前は酒を飲まなかったので、聞いたことはあるけど…というものだった。

2004年07月04日(日)
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