眼花、井に落ちて水底に眠る
坂瀬

日記&BLの個人的感想。ネタばれ基本。まずは下のリンクのHOMEへ。


 ボーイズ小説・春の声:久我有加/恋は純情に愛は情熱で…:火崎勇/ささやきの色彩:坂井朱生

ボーイズ小説・春の声(ディアプラス文庫)久我有加

関西から東京に転勤となった受は水の合わない環境にまいっていた。後輩で一緒に営業にまわっている攻も標準語でいけ好かないヤツと思っていたが、営業先のバーで同じ関西出身の男と出会い…
表題と続編2本。頭2本は雑誌掲載、他1本は書き下ろし。この作家さんのデビュー作。好きな作家さんなので買ってみた。まあ面白かった。
受は関西出身でばりばり働いていたが使えない上司に睨まれ東京にとばされる。営業マンが天職のような性格。粘り強く仕事熱心。きっぱりしていて喧嘩も強い。俺様っぽい性格。受は幹部候補として営業に入ってくる。穏やかで頭が良い。受の後を雛のようについて回っている。女性にもてる。二人ともノンケ。
デビュー作だけあって表題の作品は色々つたなく堅い。東京の水に馴染まず関西に帰りたいとノイローゼっぽくなる受の心情が、ちと恥ずかしい。単純に故郷に帰りたいという事でなく東京に対する対抗意識みたいなものがあるので、関西の人間以外に伝わりにくいのではないかと思ってしまった。こういうのは住んでいる場所で肌で感じる感覚だから。受が呪いの言葉のように「関西〜関西〜」と繰り返すのはひく人もいるかも。
一転して受が落ち着いた続編は素直に面白かった。今度は攻が余裕をなくしていたが。受は非常に男前で、受とHしたくて悶々としている攻に「据え膳食わしてやらあ」と寝るシーンが気に入った。攻はしっかり受に尻をしかれて情けなく見えるが、普段は格好いい。妻に先立たれるとぐったりしてすぐに後を追うタイプに見える。こういうカプも大好き。
脇キャラの男も良いキャラだったが、これは次のディアプラで主人公として出てくるらしい。
次の本も楽しみにしている。
後輩22才先輩会社員26才。4才差。年上受。社会人物。ビール会社。書き下ろしでは3年後。



ボーイズ小説・恋は純情に愛は情熱で…(ルビー文庫)火崎勇

エリートサラリーマンの攻は取引相手の窓口である受が好きになる。ある日一緒に飲んでいると昔の相手にからまれ受に助けられ、そのままはずみで寝てしまう。真面目に付き合うおうとするが、受には謎の部分が多く…
可もなく不可もなく。とデフォ買い作家さんなので評価は甘め。以下キャラ紹介からネタばれあり。
受はおとなしめで上品。箱入りっぽい雰囲気だがしっかりしている。顔も頭も良い。学生時代に友達と興した会社の社長をしていた。今は父親の会社である商社で働いている。攻は出世頭で課長。ゲイで派手に遊んでいたが、受に初めて恋をする。
ようは好きになった相手が社長の愛人をしていたり片思いの相手がいると勘違いしたが誤解と分かって仲直り、カプになるという流れ。あまりひねりがない。同じルビーの「恋愛取引」の兄弟バージョン。こっちの攻も出てくる。
初めの方の受攻の会話はいつも通りの青年の主張。恋とは、付き合いとは、働くこととは、みたいなのを観念的に語ってそれで受は攻が「周りにいない珍しいタイプ」として恋したらしいが。攻があまりにこの作家さんのデフォなので、好きになった理由が出た時「珍しいって?」だった。
デフォな攻でもかまわないのだが、受が片思いを忘れるために自分と寝ようとしていると誤解して、やるだけやった後で「後は好きな相手に慰めてもらえよー」と考えながら去るのはいただけない。これがなければもうちょっと株が上がっていたのだが、去った後で受の事が本気で好きだったのにとべそべそされてもな。でも「恋愛取引」よりかはこっちがマシ。
ルビー作品は今ひとつ好みでないな。ページが少ないからか全体的に話が急いでいる気がする。
社会人物。28才同士。エリート営業マン×跡取り会社員。攻視点。



ボーイズ小説・ささやきの色彩(リンクスノベル)坂井朱生

高校生でぼろアパートの管理人もやっている攻のアパートに、父親の紹介で受がやってくる。綺麗でおっとりしているが家事能力がゼロで危なっかしい。目が離せないうちに気になる存在になり…
あらすじが興味あるので買ってみた。悪くない。つーか好みの内容のはずなのだが。
受は美人で頭も悪くないが、ゲイな事を気にして親しい人の前ではおどおどしてしまう。一つのことに集中しすぎるきらいがあり家事能力がゼロ。攻は成績優秀で生徒会長。体格も良くてきぱきと処理する能力も優れている。大学教授の父親の持つアパートの管理人として雑用をしている。恋人に対して独占欲が深く、そんな自分を自制するよう勤める。
他の出版社の「でたらめなため息」の兄弟本みたい。その本の主人公カプも沢山出ている。何となく読んだ記憶があるのだが、そちらは今ひとつだったような。最初は受の背景とかが出て割とセンシティブに始まるのに、途中で攻の学校生活として影の生徒会やら某学校の支配者やらトンデモ設定が出てくるのはひいた。普通に天然ボケの受と包容力のある攻で話を進めてくれれば良かったのに。影の生徒会自体はかまわないのだが、シリアスにコメディが混ざったようで座りが悪い。
それ以外の臆病で悶々とする受や出来はいいが若い性格の攻のすれ違う部分は良い。攻のパパはいい味だしている。
年のせいか、学園の支配者ネタは恥ずかしい。しかも「出来る男達だぜ俺ら」の会話がすべて当人同士の会話のみの自己申告なので、本当に出来る男達なのか、ただの井の中の蛙なのか端からはよく分からん。明確な良くできるエピソードの一つも入れて欲しかった。
高校生18才×会社員24才。アパートの大家と店子。

2004年03月06日(土)
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