♀つきなみ♀日記
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2005年03月31日(木) 私的 「桜」

何年前になるだろう。

ちょっとした御縁のあった観桜の宴のお手伝いをした。

祖母に誂えてもらった着物を身つけた、
今は無い、千鳥ヶ淵のホテルで催されたその宴は
私にとって、元気な祖母と、最後の外出でもあった。

その年は暖かい日が続いてしまって、宴の日には
すでに花は散り始め、水面には花筏がいくつも浮かんでいた。

時折ざっと吹く風に形を変えながら、
いつしか、風下の岸に花びらは寄り添う。

水面に茜がさす頃宴は終わり
待ち合わせをしていた祖母と
遊歩道を少し歩いた。

祖母は何度か立ち止まって、すこし離れて私を見る。

「なにしてんの?」
と私が尋ねると
「並んで歩いてるとあんたが見えないからねぇ」
と笑う。

「何言ってんの。私なんかいつも見てるじゃない」
少し照れて、私は応える。

ひらひらひらひら、花びらは舞って
灯りだした町の明りが水面に映る。

新月だったその日の空は、星だけが瞬き
淡い色の花びらは、それでもはっきり見えていた。

笑う祖母の姿は、思っていたより小さく
その姿は、花吹雪に霞み
次の年は、病院の窓から桜を見、
その次の年に、祖母は逝った。


新しき 月を待ちしや 花筏 流るを止めども 色や褪せるに 






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思いの深い桜の日の記憶について書いた
2000年3月某日の別日記を一部改稿致しました。








テキスト庵

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2005年03月30日(水) サークルK ベネトンと提携 // 「ブランド」ってなんやねん?

吉野山 梢の花を見し日より 心は身にもそはずなりにき(西行法師・新古今和歌集)

ってことで、前回に引き続き桜に関わる、片思いの師匠西行さまの歌なんだけど、昨日すっごく尊敬させて(勝手にですが)頂いてるこちらからリンクを頂いたり、以前から大ファンだったある方が読んでくださった事が判って舞い上がってるつきなみ♀です。って、なんか私、いつのまにか「喧嘩師」みたいな印象を持たれてるみたいなんだけど、実物カワイイ女の子ですよん(一部虚言)

なにせプロフにも書いているけど、人生の目標は

『愛するだんなさまに「もう、バカなんだから」って、頭をコツンと殴られて、
「えへっ」って可愛く舌をだしてはにかむ、真っ白いレースのはだかエプロンが似合う、奥しゃま』

ってぐらいなもんで<=おいおい!

それはともかく

サークルK ベネトンと提携 オリジナル商品販売へ(Yahoo news  3月30日10時30分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050330-00000013-maip-bus_all

ってことなんだけど、提携自体に異論はない。ただ、TVや新聞の報道がむちゃくちゃなんだよね。

第一の問題点は、ベネトンをアパレルファッションブランドだと思い込んでいる。

今や経済を扱うお笑い番組として評価が定着しているTV東京のWBSに至っては、LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトングループ)なんかと同業のように扱って、「青山の出店以来快進撃が」とか「有名ブランドアパレルとコンビニのコラボレーション、斬新で将来は増えるんでしょうね」なんて、大笑いなコメントをやっていた。

誤解が無い様に最初に断っておくと、ベネトンの戦略は事業としては成功例だし、今やアウトドアの老舗にして品質にも定評のある「ノルディカ」、インラインスケートの代名詞、「ローラーブレード社」、テニスラケットメーカー、「プリンス」を買収した。91年オーストリアのスキーメーカー、 ケスレー等を買収して、欧州型M&Aを性交もとい成功させた一大グループであることにもまったく異論はない。

ただベネトンの戦略は、はっきり言えば、ライセンスビジネスとフランチャイズを組み合わせて、他人の屍の上で巨大化した企業であって、日本においても、最初西武(セゾン)グループとの包括マスター契約によって、主力であるアパレルまで、西武系列のリンツという会社に丸投げし、大都市の西武系百貨店やテナントビル、西友のインショップとして無茶苦茶な店舗数を設置し、そのショップに商品が置けることを出汁にして、法外なミニマムロイヤリティー(最低保障契約)をサブラセンシーと結んで、各社に膨大な広告協賛金を課したばかりではなく、一挙に増えた店舗を背景に、今度は、中小都市では専売店(ベネトンオンリーショップ)をこれまた、とんでもない高額で契約し、そしてブランドが日本に浸透した頃、売り上げ予定未達成を理由に、それまで各企業や商店に、膨大な投資を強いた契約をほとんど破棄し、ジャパン法人で、まったく新しいライセンス契約と販路を独自の手法でやって、現在に至っている。

最初に売り上げを伸ばしたのは、先染め毛糸が当たり前だったセーターを後染めして、卸が当たり前だったアパレルで、直営店で販売したことがきっかけだから、ある意味、フリースで一躍話題になったユニクロは、ベネトンの二番煎じでもあるんだよね。

元せも、元々、明るい独自のカラーは、同じイタリア企業であるフィオリッチ社のイメージが先行していたのだけど、お人よしのエリオ・フィオリッチから、デザインコンセプトの供給を受け、またその友人であった高名な写真家の作品を(敢えて名前を伏せます)広告の写真として使用して、全世界に話題を振りき知名度を確立した。

ご存知の方も多いと思うけど、自動車レースの最高峰F1には、1986年から2001年までスポンサーとして参加して、人気の陰りとともにルノーに売却したのに、今でもベネトンライセンスとは別に「ベネトンF1」ベネトンフォーミュラー1」と言う商標で実体の無いライセンスビジネスも継続していて、ブランド音痴な日本企業は、実態の無いベネトンFIに高額のライセンス料を払い、未だに新規契約をする企業が跡を経たない。

そしてベネトンは、ライセンス先にデザイン供給契約はほとんど結んでいなくて、アプルーバル(商品デザイン&品質確認)も行うのは一部だけだ。早い話、ブランド使用料が契約の骨子で、ベネトンブランドが付いていても、ベネトンがデザインするわけじゃないんだよね。ベネトンカラーは単純なんで、それさえ帯にして、パッケージングしてロゴを張れば、何でもベネトン商品に見える。コンビニやマツキヨで一時いっぱい並んでいたベネトンコンドームみたいに。ってこれだって、使えば、肌がベネトンカラーに染まるほど気持ちいいなんてことは全然なくて(当たり前)スキンレスの岡本がライセンシーとして作っているだけだ。

海外ブランドは、LVMHがカバンを含む服飾部門売り上げで6割、利益では8割を日本で稼ぎ出したことは記憶に新しいけど、商品の選択を、ほとんどカタログ化されたファッション誌やTVや雑誌からの情報を鵜呑みにして、品質と価格のバランスを考えもしないで購入する、消費者に支えられている。

そんな中で、経済に一番強いはずの日経系列のTV東京の番組が、まったくベネトンの本質、あるいはいつも思うんだけどライセンスビジネスに知識が無いのは、お笑いと言うよりここまでくると悲劇だ。つか、日経PB社の書籍にもこの部分は共通で、ライセンスに限らず、記者さん達は、有名大学出身で机上の知識は凄いんだろうけど、実務経験者は皆無なんで、ほとんどプレスリリースの丸写しと、それぞれの企業から顧問料をぼったくっているエコノミストや、本来は利害関係者であるはずの、銀行や証券会社や投資会社の社員のコメントと、記者自身の思い込みの記事が大半を占める。

ベネトンのサイトを開くと誇らしげに「メガショップ」と言う、耳に新しい言葉が並ぶ。しかしこれは1965年のベネトン起業以前からフィオリッチが使っていた名称で、4年前、高齢となったエリオ・フィオリッチが、ミラノの最後「フィオリッチ・メガストア」を閉鎖したあと、何の権利譲渡も経ずに、ベネトンが使用し始めた。

確かに企業としてはベネトンはすばらしい成功例だ。しかし、ブランドのネームだけに躍らせられる日本のブランド信者、そしてFCという名の専売店や、ライセンスビジネスに疎い企業から、これ以上ぼったくるのはそろそろ控えめには、してほしいなぁなんて。

ってことで、またね。



テキスト庵

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2005年03月29日(火) さくら狩 きとくや日々に 五里六里

ってことで、いよいよ桜の便りも聞かれる季節になって、ちょっと嬉しいつきなみ♀です。

題名にした句は、東都歳時記(1832年 斎藤月岑・絵師 長谷川雪旦)のニ月の景物所載で、今の花見っていうと、大酒飲んでカラオケまで持ち込んだりして花なんて見ちゃ居ない、桜の下の宴会を思い浮かべてしまうんだけど、今は廃れてしまった、普段ならそぞろ歩きくらいしかしない人も、桜の名所を巡って、一日に20km以上歩いちゃうよってタイプの花見を、表しているんだよね。

って、勿論私は人後に落ちない宴会好きなので、今のタイプ花見も大好きではあるんだけど。

お気付きの方も多いと思うけど、「さくら狩」という言葉自体が今はもうほとんど使われない言葉になっている。

東都歳時記には彼岸桜、枝垂桜、単弁(ひとえ)桜から書き起こして、それぞれの桜の咲き始めの時期と、見所が書いてある。そして時期はすべて「立春より何日」となっていて、太陽太陰暦を使用していた時代の季節の表現方法を感じることもできて興味深い。

桜は私の愛するこの国、そして「やまとごころ」と古来から絡み合う花だ。

桜。散華と豊穣
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20010317

彼岸・桜ふたたび
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20010319

で書いていることと重複はできるだけ避けるけど、この国の為政者達は、幾度もこの美しい花を政治の道具として使い、この国に住む、平和な暮らしを営む人々を偽った。

桜は品種によって、寿命が異なる。千年の齢を重ね、今も花を付け続けるほとんどは「エドヒガン」だ。現在、街や公園でもっともよく見かけるソメイヨシノは70年ほどの命でしかない。

60年前、多くの人々を戦に借り出した国の花として嫌われ、そして切られてしまった桜たちに代わり、復興の中で、再び桜は「やまとごころ」の花として、街を飾るようになったのだけれど、その二つの意味を知る人々は、少なくなり、多くの桜も老い、そして朽ちてきて、眠りの時を迎えようとしている。

吹けば散る 咲かねば恋し 山桜 思い絶えせぬ 花の上かな(伊勢の娘中務/古今和歌集)

垂れこめて 春のゆくへも知らぬまに 待ちし桜も うつろいにけり(藤原因香/古今和歌集)


酔眼でも一向に構わない。でも、咲き誇る大樹の桜、そして舞う桜のひとひらの花弁を愛で、思い、心を託した様々な人々に、一瞬だけでいいから、想いを馳せることは、忘れないでいたいと思う。

ひとひらも 桜と言うや 散りたれば 賜る戒名で 吾子を呼ぶなく
(読み人知れず/忠霊短歌集1946年編)




テキスト庵

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2005年03月26日(土) マニフェスト選挙はまずネットと公職選挙法改正から

今日も明日も出勤のつきなみ♀です。って年度末忙しすぎ(ToT)

ってことで
Yahoo!news(読売新聞3月26日22時1分
「マニフェスト推進、地方議員連盟が5月に発足

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050326-00000214-yom-pol

ってことで、マニフェストの伝道者、元三重県知事の北川正恭早大大学院教授さまが音頭とりなんだけど、それ以前の問題として、今国会でも公職選挙法改正の内、ネットと政治活動についての部分は、議論の対処にすらならなかった。

これまたザッパに言うと、今は亡き新党さきがけが、ネットと選挙活動についての質問はなんと平成8年10月2日 で、自治省の回答は平成8年10月28日 で、公式の記録が、新党さきがけが解党して残っていないんだけど、自治省の結論としては

『これらの行為によるホームページ上の文字等を用いた意識の表示又は電子メールで配信された文字等を用いた意識の表示が選挙運動のために使用する文書図画と認められる場合には、同法第百四十二条第一項又は第四項の規定に違反する。』

ってことなんだよね。ザッパに言えば、ネットの画面に表示するのも、文書の配布と同じで、許可受けた範囲じゃないとだめジャンって事なんだよね。

じゃ、なんで文書の配布に制限があるかって言うと、「お金の掛からない選挙を実現するため」と「資金量によって配布できる文書に差が起こる可能性があるので、立候補者の主張の選挙民への周知に差が生じないように」ってのが法案の基礎にあって、今や完全に矛盾が起こっている。

最近の質問と答弁については
インターネットを利用した政権公約(マニフェスト)の報道に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a159151.htm

それに対する答弁

http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b159151.htm


を読んでいただけると判るけど、8年も経って、おんなじ議論が繰り返されていて、なんの進展もしていない。

昨日の言葉「綸言汗の如し」じゃないけど、本来は公式の場で議員さん、及び次期選挙に立候補した人物の発言は、ネットにのっけられないどころか、全て記録しておいて、実際のその後の行動や、議決において同行動したかまで、全て記録ネット上で公開して当たり前じゃないかと思うんだけど。

必要な事は、後で改竄できないように、公正な機関がログを収集して、誤字脱字はともかく、もし、改竄したらそれもネットで記録公開するくらいのシステムはそんなに難しくない。

ところが実際には、この法律があるために、嘘八百、ご都合主義の選挙用の文書をスキャンして、「この野郎!ゴラァ!」ってネットで公開すると、こっちが御用になっちゃうんだよね、って変なの。

まぁそう言う事なんで、議員さんたちはこの法律のこの部分の改正にまったく熱心じゃないんだけど、そろそろちゃんとすべきじゃないのかなぁ・・・・。

って、なんか今日は文章が弱気っぽいんだけど、なにせ今午前3時過ぎなもんで(汗)

誤字・脱字・誤変換、平にご容赦。

では皆様、良い日曜日をお迎えくださいね。って私は仕事だけど(ToT)

じゃ、またね!


テキスト庵

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2005年03月25日(金) 辞書を疑う@語源から見る言葉の変化もう一回だけ(^^;;

年度末を向かえって言うか、年度替りも近くて、ちょっと疲れ気味のつきなみ♀です。

ってことで、前回の日記が言葉足らずだったのでちょっと整理。

1.語源がはっきりしていて常用されており、単に語呂だけで使われる言葉
は、現時点では「誤用」。但しそれが大勢となれば「変化」
2.語源自体が曖昧で、時代によって意味が変化してきた言葉は、
 10年前と大多数の理解する意味が違ってくれば「変化」
3.漢字の読みに対する変化は、発音の変化と連動するべき。
4.地方により発音の異なる「方言」に漢字があてらる際には
一概に誤用と決めつけず、研究の対象とすべき。
5.国語審議会から、又引き辞書と、思い込みの薀蓄本ばっかり書いている
 ****大先生を外せ(私的暴論)

って感じかな。
ずいぶん前に、私の別日記で書いたことがあるんだけど、私は基本的に「国語辞書」を信じていない。

さすがに、広辞苑と大辞林と大言海については、曖昧なことの殆どは両論って言うか、各論が併記されているので役に立つこともあるけど、ちっちゃい辞書は、正直、語源や故事成語、ことわざ系、そして風俗変遷の記述は嘘ばっかで、又引きって言うか、思い込みで昔の辞書や旧版を張り合わせたものが余りにも多い。でかい辞典でも、大辞泉はえーかげんな記述多いし。

これは現在の新聞の問題とも同根で、誤った思い込みを、「辞書」「新聞」という物が持つ、「事実」あるいは「正しい」と言った先入観って言うか「権威」で飾って、最近の各種学力調査やTV番組で、えーかげんな言葉の「正当性」を押し付けるってのがすげ〜〜〜〜〜〜嫌なんだよね。言葉は生き物だ。

例を挙げると切りが無いんだけど、この前の調査で例示された

「綸言汗(あせ)の如(ごと)し」なんだけど

(引用 大辞泉・小学館)
「漢書」劉向伝から》天子の言葉は、出た汗が体内に戻らないように、一度口から出れば取り消すことができない。

(引用 大辞林・三省堂)
りんげん 0 【▼綸言】

天子・天皇のことば。みことのり。〔「礼記(緇衣)」による。「綸」は組糸。天子の言は発せられた時は糸のように細いが、これが下に達した時は組糸のように太くなる意〕

――汗(あせ)の如(ごと)し

〔漢書(劉向伝)〕出た汗が再び体内に戻り入ることがないように、君主の言は一度発せられたら取り消し難いこと。

って書いてあるんだよね。
これなんかは、典型的な又引きで、ある意味出典を書くことで、「あぁ、なるほど、漢書・劉向伝って書物に、綸言汗(あせ)の如(ごと)し」ってのがあって、それがこの言葉の出自なんだなぁ」と思わせる。大辞林の方がちょっとましではあるんだけど、やっぱこの成句はこれが出典だと読み取れるよね。

恐らく、この編者はどちらも原文を読んでいない。過去の権威ある辞書にこう載っていて、原典に関係していることぐらいは確かめたかも知れないけど、そこ止まりだと推測できる。

何故なら、「礼記(緇衣)」の記述は(読み下し文は私です。

「王の言は、糸の如く、その出るや、綸の如し。
 王の言は、綸の如く、その出るや、綍の如し。」

と成っていて、これをざっぱに現代語にすれば
「王(偉くて権威があって、影響力のある人」の言うことは、(本人が何気ないつもりでも)最初は糸のつもりでも、(口から)でれば綸(組紐)くらい太くなっちゃって、組紐ぐらいのつもりだと、綍(太っい、なわれた縄/組紐の巨大な奴っていうか、綱引きの縄の糸版を想像してください)みたいに受け取られちゃうよ」

ってのが書いてあるだけで、ここから転化してして「綸言=王の言葉」になったんだよね。

じゃ、「漢書・劉向伝」ってのはなんじゃいってことんんだけど

こっちに書いてあるのは

「号令は、汗の如く出でて(イデテ)返らざるものの如くなり」

ってことだけで、読んで字の如く、号令(その当時の語彙としては、上位者が下位者に対して下す指図・命令)で、一回指示しちゃったら、出た、あるいは流れた汗みたいに、絶対元には戻らない。(から、良く考えてから、指示しなくちゃ)

って事だけなんだよね。

それぞれの言葉の根拠って言うか、語源の解説でしかないのに、これが「綸言如汗」って、見てくれのいい文字面で、いかにも昔からある成語みたいなんで、原典あたらずに書いてるのがミエミエで、大辞林の説明だと、「綸言」の語源が「礼記(緇衣)」にあって、「綸言如汗」が「漢書・劉向伝」にて成立したようにも読み取れる。

なんで、こんな事が起こっているかと言うと、セックスについて「接して漏らさず」つまり、入れても出すなの(^^;;言葉で一部で有名な、養生訓の貝原益軒の養子の好古(1664〜1700)が残した書物に「諺草」があり、17世紀末期の語源研究はこれに頼り切っていたせいなんだよね。

実は、この書物には、前述した、「礼記(緇衣)」「漢書・劉向伝」はキチンと併記してあって、いかに、その後又引きする時に原書から離れていってしまったかが、良くわかる。この本には、「綸言如汗」の語源は載ってないんだよね。

好古には「和爾雅」という8巻9冊にのぼる、中国の「爾雅」に準じて作った、八卷を(一)天文から(二十四)言語まで二十四分類して單語を挙げてその名義・性質を注釈・解説してある書物もあるんだけど、これも使いやすいんで、パクリ元になってるんだよね、それも肝心な部分は捨てちゃって。

そして、キヨスクで売ってるようなパクリばっかの薀蓄本では、堂々と故事成語として「綸言如汗」が載っていたり、ことわざ辞典の殆ども、故事成語として中国から来た言葉として載っている。

日本では13世紀の管蠡抄(撰者・菅原為永1158〜1246)
「天子は戯言なし。綸言汗の如くなれば、天子は仮初にも戯言せず」
という表記が確認されているので、間違いなくこの時代には使われてはいた。

ところが、義経記(1300年代後半成立 1400年代の異説あり)に至ると
「弓矢取る者の言葉は綸言に同じ」の言葉が確認でき、「綸言」が天子から「武士」に格下げになったことが窺がわれ、江戸期のいろはがるたに至っては、「元にもどらない」という台詞の、嘘をつく事に対する戒めのニュアンスの含まれた時代掛かった大げさな言い回しとして、現れていて、それ以外の江戸期の文献にも、どちらかと言えば、冷やかしに近い語感になっている。

それがまた、今の重々しい語感に復権したのは、まさに「語源主義」によってであって、しかもその語源の考察はいーかげんと来てるんで、なんじゃこりゃって思うんだよね。

ふぅー。

ってこんな硬い長文誰が読むんだろ?<=こらこら!


ってことでまたね!

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PS:付記しておくと、この記述に文句や批判がある方は、典拠及び論文名を明記した場合のみ、論争に応じる用意があります。市販の一般書籍を根拠にして思い込みで書かれても、不毛なんで。

僭越で申し訳ありませんがよろしくお願い致します。


テキスト庵

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2005年03月21日(月) 「間違い」なのか「変化」なのか?//言葉の変化

猛利権 先生
http://d.hatena.ne.jp/pockapoka/20050319

と、はせP先生
http://www.geocities.jp/hasep_diary/review.htm

が取り上げていらっしゃる番組を私も見ていて、正直「あ〜あ」って思っていたんだけど、昨日は私には珍しく「地域ブランドについて書く」なんて予告してたんで、後まわしにしたら、私が書けることはなくなっちゃてた<=おひ!

特に「激しく同意」なのは(http://d.hatena.ne.jp/pockapoka/20050319より無断引用させて頂きます)

エライ先生の権威をカサにきて、一見もっともらしいけれども実はアヤシイ根拠に基づいて、一般人を馬鹿にする番組はわたし、好きではありませんわ。

(以上引用)

で、特に「日本語」あるいは「標準語」については、現在も学説はすげ〜〜〜〜〜〜〜分かれていて、そりゃ、あのおっさん(失礼)の主張であって、「正しい」って訳じゃないじゃん、ってのがむかつく。

漢字の読めない小学生より、財団法人を理解していない新聞社の方が問題なんじゃない?
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20050129

って題で書いたことを一部再掲すると

(以下再掲)

「読本(よみほん/とくほん)は、辞書で引けば確かに「とくほん」と書いてあるんだけど、この場合の「読本」は、(大辞林 )

1 太平洋戦争前まで小学校で国語の授業に使用した教科書。また一般に、教科書のこと。

2 読みやすいようにやさしく書かれた入門書や解説書。「文章―」

であって、単独の場合は「とくほん」と発音するのが正しいんだけど、前の言葉と結びつく場合は当たり前だけど「”ど”くほん」と濁る。人生読本は「じんせいどくほん」なんだよね。向田邦子さんと森繁久弥さんコンビの名番組、重役読本は「じゅうやくどくほん」だ。

この流れで行けば、間違いとして例示してあった「とくほんで勉強する」って、戦前の教科書で勉強した設定じゃないと、設問自体に無理があるじゃん、まったく。

(以上再掲)

の場合と同じで、トリックに近い形で例示した問題を間違えたからって、鬼の首を取ったように、自説に付会するやり方はほんとに見苦しいって思うんだけど。そしてそれを「権威」の後光に目が眩んで、思考停止して信じ込むのは如何な物か?

話は飛ぶけど、現在の日本語が成立した過程はほぼ明確になっていて、明治35年に文部省に設置された国語調査委員会が途端となる。これは明治28年に発表された、東京帝国大学教授上田万年の論文「標準語に就きて」(雑誌 帝国文学創刊号 所載)が基となっていて、委員会も上田教授の進言によって設置されている。

すごくざっぱに言えば、このときの方針は、東京語を基にして、全国で広く使われている言葉を収集し、口述一致を基本とする。

それまでの日本語は、漢文、かな混じり文、口語に三分割されていたわけで、最初の国定教科書である明治37年の「尋常小学読本」(通称”イエスシ読本”)で、口語記述の文章が採用されて、初めて、現在の「標準語」の基礎が出来たことは論を待たない。

ただ、それは書き言葉であって、話し言葉はそれ以降も標準語、あるいは標準語に近い東京語を話す人物に触れる以外に履修の機会は得られないわけで、イントネーションも含めた統一された言葉が広まるのは、ちょうど80周年記念番組を放送しているNHKのラジオ放送を待たなくてならない。

ところがどっこいで、NHKアーカイブや古い日本映画ファンはご存知のように、ほんの最近って言うか、TVが一般化し、民間放送が日本の津々浦々に浸透する昭和40年代までは、「普通に話す言葉」と「TVや映画で使う言葉」にも厳然とした差異がある。

それが、統一されてきているのも言葉の変化であって、それは、小津映画や初期の黒沢映画の台詞を思い出していただけば、その変化も歴然としているんだよね。

ある意味、現代はそれに外国語の影響や、ネットで生まれた独自の文化が流入して、新しい語感が形成されている時期だと思う。方言の復権も、日本語に活力を与えるものだと理解してるし。

知識として、古代、平安期、鎌倉-室町期、江戸期、そして明治初期の混沌期、標準語が形成され、日本語が統一される時期、そして戦後から今に至るそれぞれの言語を知識として蓄積することに異論は無い。

ただ、最近増えている、「間違い」と決め付ける、言葉狩りのような抑圧は、なんだか、違和感が大きいなぁって、思うんだよね。

二次資料や書籍の、出典・原典を読んでみよう!
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20040814,

で書いたように、根拠が無いことを権威で飾るのが大嫌いって、のが根本にあるからってのもあるんだけど。

って、無駄に長くなったので、この辺で。

じゃ、またね!


テキスト庵

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2005年03月20日(日) 柳の下に二匹目の関鯵はいるのか?/産地ブランドを生み出す、商標法改正の問題点。

今日は前フリ略です<=おい!

ってことで、今国会に提出されている法案の一つに、商標法の改正案があるんだけど、これは2月18日に特許庁からプレス発表の、産業構造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会において取りまとめられた

「地域ブランドの商標法における保護の在り方について」
http://www.jpo.go.jp/torikumi/puresu/shouhyou_matome.htm

を読んでいただくと詳細が判るんだけど、すごくざっぱにまとめると

1.現在の商標法では、原産地と産物だけで構成される商標は、登録できなか
 った(第三条第三項)
2.しかし、最近地域興しの一環として、産物をブランド化する動きがあり、 これを保護する要請も高まっていた。
3.今回、地域の名称及び商品又は役務の名称等からなる商標について、一定 の範囲で周知となった場合には、事業協同組合等が団体商標として登録す ることを認める(地域団体商標)

って事なんだよね。

「え〜っ?!じゃ、今までの何々産ってのは何だったの?」って思われる方も多いって思うんだけど、現在の産地表示はほんのこの前って言うか、2000年と2004年に大幅改正されたJAS法に基づいていて、商標じゃないんだよね。つか、それまでは、ほんとえーかげんなものだったんだよね、●●産って言うのは。

そんで、JAS法が変わってから、ご存知のように産地の不当表示問題が続出した訳なんだけど、それまで、産地がきちんと表示されていたわけじゃなくて、義務化されていなかったので、法律で問題にならなかっただけなんだよね。

さて、皆様が産地&地域ブランドって言うと、まず思い浮かべるのは、松阪牛だったり、最近ブランド化成功の事例としてよく取り上げられる、大分県の佐賀関町(現大分市佐賀関)の関鯵、関鯖かも知れない。

詳細を書くと切りがないんだけど、松阪牛は現在の商標登録は無くて、三重県にある松坂食肉公社が,10桁の個体識別番号を利用した松阪牛個体識別管理システムによって管理している牛だけを「生産地松阪」表示とすることを決定して、地域も22市町村に限定・厳密化したんだけど、この選定からもれた、それまで松阪牛として長年出荷していた近隣市町村の飼育農家とトラブルになっているんだよね。

じゃぁ、関鯵、関鯖はどうかと言えば、こちらは商標なんだけど、正式な商標としては

以下引用(一部情報簡略化。権利者住所氏名伏せ)

【商標(検索用)】 §大分県一村一品\関あじ\関さば∞大分県一村一品\関あじ\関さば
【標準文字商標】
【称呼】 オーイタケンイッソンイッピンセキアジセキサバ,セキアジセキサバ,セキアジ,セキサバ,セキ
【ウィーン図形分類】 1.15.24; 3.9.1; 3.9.10.99; 26.1.1; 26.1.2; 26.1.15; 26.1.18; 26.2.1; 26.4.4; 26.4.6; 26.4.7; 26.4.9; 26.11.3; 26.11.12; 26.11.13; 27.3.1; 27.3.3; 27.5.1.30; 27.5.23.92; 28.19

---------------------------------------------------------------------
【権利者】
【氏名又は名称】 ***************
【住所又は居所】 ********
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【付加情報】 色彩有り

以上引用

で、権利は地元の漁業協同組合が所有している。

つまり、現在の商標法下では、「佐賀関鯵」では元々登録が不可能だし、単に「関鯵」でもできなかったので、こんな登録になっていて、図形商標も一体として登録されているんだよね。

もちろん「関鯵」「関鯖」は産地の人達の品質を守り、市場に浸透させるための長い努力の結果で、これは当然正当に評価されるべき成果なんだよね。

ところが、今回の商標法改正の大きな問題点は、そんな成果の柳の下のドジョウを狙う発想が前提にあって、さすがに、関鯵.鯖を騙る処は出てこないとは思うんだけど、JAS法との整合性が、細密に検証されないままで法案が作られていて、現在までの一般認識と異なった産地産物が登録される可能性が高いのと、種苗法との関連も曖昧で、今まで頑張って地域名が入っている野菜を、他地域で作っていても、その名前が突然名乗れなく可能性がある。

極論を言えば、薩摩芋が薩摩地方(鹿児島県西部)で商標化されれば、同じ鹿児島県でも東部の旧大隈地方では薩摩芋表示はできないわけで、ましてや、NHKの朝の連ドラの舞台の宮崎だと、芋焼酎の原材料名に「サツマイモ」と表示するためには、薩摩地方の芋を使うか、商標所有者の許可を受けた地元産の芋を使用しないと、いけなくなっちゃう。

まぁ、「薩摩芋」は一般名称として周知認識されているから、まずそんな登録はできないとは思うけど、今回の法案では可能になっちゃってるんだよね。

それより何より問題なのは、法律が改正される前から、インチキ産地ブランドコンサルタントを名乗る人や、広告代理店の担当部門を名乗る怪しい組織とかが、雲霞のように湧き出してきていて、自治体や農林水産関係の団体に食い込み始めている。

そしてそれは例によって、政治家さんのご紹介状を持参する。

仕事をきっちりやってくれるんならまだしもなんだけど、実際には商標とJAS法と種苗法の整合性さえも理解していなくて、どっかからもらって来た、陳腐なマニュアル程度の知識しかないような連中が、予算を狙って徘徊してて、商標登録の実務まで弁理士さんに丸投げして、それだけで数百万円、数千万のコンサルフィーをかっぱらっているんだよね。って、詐欺師か泥棒以外何者でもない、実態は。

ふぅ。

この問題は、もうちょっと追いたいので、今日は問題提起だけで、すんません。

ってことで、またね。


テキスト庵

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2005年03月18日(金) フリーターへの徴税強化は、本当に増税になるのか?

ってことで、今日ほんとは、産地ブランドについて書こうと思っていたんだけど、前に書いた、17年度減税廃止とフリーターへの増税が、なんと初期の政府案通りで成立しちゃったので、ちょっと一言。

改正地方税法が成立 フリーターへの徴税強化

Yahoo!news(共同通信) - 3月18日13時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050318-00000084-kyodo-pol

てのが今回の記事なんだけど、政府税調&自民税調が決定した時に、

もう税金払らうのやめようよ!(2005 12月7日)
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20041207

って書いているんだけど、その後の状況を少し追うと、この法律に対応した、節税指南っていうか、抜け穴指導の書類が、日本全国出回っているんだよね。

前回指摘したように、商工会をはじめとする各種団体様から、会員様に対して、今回の定率減税廃止及び、フリーター課税について、給与支払いから、確定申告に至るまで、細部にわたる丁寧な手引書だ。

凄く大雑把に意訳すると、パートやフリーターを雇用する場合の注意として、給与所得の免除額65万円+基礎控除38万=103万以上の給与は、今後捕捉される可能性が強いので、多忙時間だけの雇用に変更することをまず勧めている。

例えば、レストランで今までは、10時出勤早出、4時出勤遅出で10時間拘束9時間労働で雇っていたシフトのバイト君は即解雇して、10時から2時までの主婦パートさんと、5時から閉店までの、高校生アルバイト君に雇用体系を変えなさいって言うんだよね。

そうすれば、賃金的にも4割はカットできるし、源泉で1割引いておいた給与も、ざっぱに言えば、納付しないで懐に入れられるよ、ってことなんだよね。あるいは、納付した場合も、103万以上になると、所得税10万、地方税7万近く引かれるより、それ以内で働いた方が良いよって、バイト君やパートさんに話しをして、閑散時間に賃金が発生しないように、調整しなさいってのが、大きな主旨だ。だって月8万弱のバイト君にとっては、2ヶ月分働いて税金取られるか、遊んで取られないかでの年収が一緒になっちゃうんだから、説得力があるよね。

はっきり言えば、今回のフリーター増税を逆手にとって、常勤に近い形態のバイト君は切って、継ぎ接ぎで雇うほうが、お互いに儲かるねって雇用者側の言い分を、補足するためにために使われてるんだよね、税法改正が。そして、当然、働いてはいるんだから、政府様が非常に気にしている失業率は下がる。

そして、息子さんや、お嬢様がバイトで生計を立てていらっしゃる、って言うか、実質パラサイトを抱えるご家庭向けに、前回私が書いていた、白色申告の自営業者として確定申告をする方法が、事細かに指導してあるんだよね。って私の記述ぱくった?

つまり、音楽で将来生計を立てようと「夢見ていらっしゃるお嬢様」を例に取って、バンドを親御さんのお力で、はっきり言えば、町内会の催しに親が3万協賛金を払って、町内会が「お嬢様のバンド」に出演依頼して、出演料を2万払う。これだけで、税務上の「音楽家のお嬢様」は完成するわけで、収支明細書の入金欄は、「@@町内会出演料2万円」だけだけど、ギターも、アンプも減価償却が可能になり、収支内訳表には、当然交通費もスタジオの使用料も計上できるから、申告書B表の所得金額は最初かっらマイナスで始めて、給与所得のところに源泉徴収を受けたバイト代が仮に120万円あったとしても、軽く還付申告が受けられるってことなんだよね。つか、所得税も住民税も、国民健康保険も限りなくゼロに近づけられる。82万赤字なら、税金はゼロだ。

もちろん、やり方が判らない普通のフリーターさんは、住民税も取られて、収入捕捉されるから、国民健康保険の保険料も上がって、暮らしは苦しくなっちゃうわけなんだけど、ほんと、真面目に規定通りの税金や保険料を払う人ばかりが、馬鹿を見る方向がどんどん加速しているんだよね、まったく。

2月の失業率の改善と雇用者増は、絶対この動きに対応しているのは間違いないのに、マスコミは一切そのことに触れない。って、上はTV局から、端は新聞配達まで、バイトやパートを短時間雇用に切り替えてきているんだよね。そうすれば、休息時間の賃金も発生しないし。そして、生活に追われる人は、かけもちのパートや仕事に追い込まれている。

確定申告書の書式をご存じない給与所得者の方も一度ご覧頂くと、「なんじゃこりゃ?」って思われるんじゃないかと想像するんだけど、その基にあるのは、嘘つき会社擁護世界一の体系を誇る日本の法人税の考え方だってことを、どっか記憶に残してほしいなぁ、なんて。

で、関鯵、関鯖など、産地ブランドについては、次回の心だ〜by小沢昭一的こころ(古)

ってことで、またね。


テキスト庵

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2005年03月09日(水) コピーするだけで、6億円。財団法人は気楽な稼業ときたもんだ。

流行先取りで、花粉症益々激化のつきなみ♀です。って言うか、ひど過ぎて、若干仕事に障り気味。

病気だと判っていても、やっぱ対面で仕事しているときに、「ズズーっ」てなるのは拙いもんね。マスクをすると、仕事を円滑化するために、多大に貢献しているこの美しい顔が見えなくなるから、それはそれで問題だし。って、覆面すれば、もっと業績上がるんだろうけど orz

それはともかく、先月末から何故か毎日新聞だけが特集を組んでいて、一応共同通信配信で産経新聞なっかも取り上げているんだけど、今一話題になっていないのが不思議なのが、この事件だ。

最新の記事は

Yahoo!news(毎日新聞) 3月9日16時2分更新
“開発一家”:協会、割高な人材派遣 「まるで第二開発局だ」 /北海道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050309-00000000-mailo-hok

発端はYahoo!news(毎日新聞)2月25日16時0分更新
“開発一家”:北海道開発協会 庁舎の一室無償で…OB養う利権構造 /北海道

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050225-00000000-mailo-hok

なんだけど、地方の新聞記者さんが足で稼いで、数字や背景も洗い出して、満を持して書いた特ダネって感じなんだけど、あんまり盛り上がっていなんだよね。

すごくざっぱにまとめると、 国土交通省北海道開発局が財団法人北海道開発協会っていう、例によってOBさまは天下るは、職員さまも臨時職員さまもコネ採用ばかりだは、出入り業者選定もコネばかりだは、の典型的な利益お手盛り財団法人に、コピー業務(笑)を03年度分の判明しただけで6億円の随意契約していた。

その後調べてみたら、派遣社員の契約もしていて、協会委託の場合、フルタイムで日額1万4840円だって言うんだよね。で、仕事内容は日額8500円のハローワークから来ている人と同じ仕事をしているってのだから、何をかいわんやって感じだし。

しかも調査が進む中で、コピー業務の方も、実際には業者に丸投げしていて、じっさいの業務は、「所長」っていう名前で、北海道開発局各支所にある、コピースペースで油を売っている開発局職員OBを派遣って言うか、置いてるだけで、な〜んにもしていないって言うんだから、まさに典型的な「財団法人」さまだ。

まぁ、実際には、今時大量に印刷する書類を電子化せずに、一々コピーを取ってるって時点で、ダメダメというか、びっくりするんだけど、そのことを少しも不思議と思っていない、当事者の皆様の時代錯誤にも驚くよね。てか、霞ヶ関にも、未だに、省庁内コピー屋さんは山ほどいて、カウンターのこっちで「お願いします」って言うと、係りの人が「は〜い」って、白黒で1枚30円も取るんだけどさ(ちょっと前まで50円でした)。そして領収書は、財団か社団の「●●協会」なのは、あのあたりで仕事している方達はみんなご存知だけど、それが当たり前になっちゃってる。

今までも何度か財団法人って言うか、政府・民間含めた法人について書いてるんだけど、特にこういう構造の利益法人が、日本の政治の中の根を張っていて、税金や補助金を食い物にしている。

しつこくて申し訳なんだけど、基本的に税金が使われ省庁が直接管理する財団でさえ、採用は公務員試験に合格する必要が無いし、ましてや、表向き独立している今回の北海道開発協会みたいなのは、採用も事業内容にも、実質まったく規制は無い。そして、会計に対しても、実は会計基準自体が、相変わらず存在しないんだよね。

実際にやってることは、国や地方自治体から「業務名目」でお金を引き出して、従業員でお手盛りで山分けにし、でも営利企業じゃないから、税法の網の目も潜って、でも法人だから、銀行とも付き合えれば、不動産も取得できる。

ただ、今回みたいにあまりあからさまなのは、世間の目も厳しくなってきているし、公共側の出金がどんどん鏡張りになってきていて、あんまり無茶は出来なくなってきているんだけど、そこに登場してきているのが、前に書いた「NPO」という非常に曖昧で「非営利」って言葉自体は、完全に嘘っぱちな名を持った法人、そして問題があれば、すぐ潰して曖昧にしてしまえる、「1円会社」、何がなにやら意味が分からん「有限責任事業組合」、そして日本型PFIと、隠れ蓑って言うか、従来の税法や今回改正予定の会社法&法人税法と、今後も整合性のない制度が、続々と登場している。つか、わざととしか思えないよね、実際。

「有限責任事業組合」と「NPO」については
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20050106

「日本型PFI」については
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20050201

「1円会社については
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20041209

で書いているんで重複は避けるけど、全ての根っこには、政党や政治家さんの権力の基は口利きや紹介にあるっていう、日本の政治の根本問題につながっているんだよね。

国や地方公共団体からの直接支出や採用以外で、「口利き」と「利益供与」の二つは、結局通称「斡旋りとく法」で規制されないから、ここに立脚して、一部の人達が税金を分け合って、既得権をどんどん拡大しているのが、現状なんだよね、残念ながら。


「政治絡みの内部告発者は悲惨な末路」法案を自民党作成中

http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10246&pg=20041216

なんてアカラサマナ法律まで作って、その方向は強化されつつあるってのが、怖い。

さ、今日は耳鼻科に帰りに寄る日だからこのへんで。

じゃ、またね。


テキスト庵

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2005年03月05日(土) 「堤猶二氏」って誰?そして放棄した債権は誰が負担しているのか。

ってことで、昨日はちょっと書き飛ばし気味ですんません。

ちょっと書き忘れちゃったんだけど、今までの日本的な経営環境って言うか、銀行と経営者のありかたについてなんだけど、今日は、元セゾングループ代表の堤清二さんが、コクドの架空名義株は、堤家の財産だってことで

以下引用

兄の堤清二氏も提訴 コクド株の所有権確認求め(Yahoo!news 共同通信 3月5日12時37分

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050305-00000080-kyodo-soci

この記事にも出ていて、最近良くTVの画面にも現れている、「堤容疑者の実弟でホテル経営会社社長の堤猶二氏(63)」っていったい何者?って事なんだよね。

堤義明さんの弟で、今回は西武鉄道の関連会社「豊島園」の社長を務めている堤康弘(66)さんと堤猶二さんが、最初に西武鉄道経営改革委員会に、送った書簡が、21日に門前払いを食った報道がなされて、それ以降、色んなコメントをこの二人は出しているんだけど、そっち方面はちょっと割愛して、猶二氏が経営しているホテルって処から、関係を見てみる。

そもそも猶二氏はUCLA出身で西武鉄道グループのプリンスホテル副社長を経て、清二氏の率いる、セゾングループへ移った人なんだよね。そんで、セゾングループのホテルと言えば、鳴り物入りで買って、10年で売り飛ばした、インターコンチネンタルホテルグループ(21億5000万ドル(約2650億円で1988年に買収)を思い出す人は多いと思うけど、最終的に特別清算、ざっぱに言えば、借金を棒引きにしてもらって、消滅させたセゾングループの「西武鉄道的」というか「親会社じゃないコクド&プリンスホテル」というかの、西洋環境開発にぶちこんだ、資金の補填に使われたんだよね。勿論、買収時より大幅に売却時は価格は下がって、大損ぶっこいたのは言うまでもない。

インターコンチと言えば、私の世代だと、みなとみらいに建っている、デザイナーは帆のつもりらしいけど、どう見ても腐った部分を切り取った、りんごの半割りにしか見えない、奇怪な姿のホテルを思い出すんだけど、もう一軒は、竹芝っていう実に中途半端場所に立地する、インターコンチネンタル東京ベイ(1995年開業)って、いっつも、無茶苦茶安いレートで部屋を売っている、へたれたホテルなんだよね。

そして、この二つのホテルは、セゾングループがインターコンチを所有中に計画され、バブルがハジケ、セゾングループもヘロヘロになってからも、実質経営は、セゾングループが継続していたんだよね。そしてヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル は2003年3月に森ビルに売却されて、グループからは離れた。

ホムペで確認していただくと判るんだけど、この残り物の東京ベイを経営するのが、「株式会社 ホスピタリティ・ネットワーク」って言うんだけど、何故か企業概要に社長名も役員名が掲載されていない。って、この社長様が、堤猶二氏、その人だ。そして森ビルへ売却する前の、横浜グランドインターコンチネンタルの社長も、同じだったんだよね。

そして、西洋環境開発のイメージシンボルだった銀座にあるホテル西洋を現在運営する上場企業であるテアトル東京の取締役も勤めている。

これも商法的にはまったくなんの問題もないんだけど、銀行だけじゃなくって、一般債権まで踏み倒して清算したはずの西洋環境開発がらみの資産は、いつのまにかセゾングループの経営資源になっていて、社長も堤家の直系が勤めることが出来るのが、現在の日本的経営って奴なんだよね。

そしてご存知のように、セゾングループの中核企業西武百貨店は、2003年に2300億円の債務放棄を受けているんだけど、そこに至る、子会社との債務債権整理は、産業再生機構で復活したそごうとの実質合併という離れ業っていうか、目晦ましで曖昧になって、それぞれの会社は存続しているんだよね。

翻訳著作や、経営論文も著している堤猶二氏自体が、決して能力の無い人だと思わないけれど、二つの堤グループの中核を歩いてきた氏に、経営責任がまったくないといえないと思う。そして、それでも、役員に選任され、経営者として存在できるのが、この国の企業なんだよね。

ふぅ。

債権放棄、債権放棄って簡単に言うけど、早い話が一般貯金者には一切金利を支払わず、きちんと利息を払っている借り入れ企業や個人から、暴利をむさぼっているから、こんな無茶な債権の放棄をしても、経営が成り立つ銀行っていったいなんなんだよ?それが金融の国際化なの?

そして、放棄された債権で構築された資産で、営業を続ける事業体って、いったい誰のために存在してるんだよまったく。

さ、ガラス窓越しに干しておいたおふとん取り込んで、食事の支度でもしよう。

ってことで、またね。













テキスト庵

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2005年03月04日(金) 西武グループはホントに特殊なのか?

って事で、東京地方は思ったより積雪が少なくて、でも、電車は遅れてムカプンのつきなみ♀です。

Newsは西武って言うか、コクドの堤前会長関連一色なんだけど、この報道もなんだかへんてこりんなんだよね。今回逮捕されたのは、証券取引法違反(虚偽記載、インサイダー取引)容疑であって、そこに辿りついた過程が、カリスマ的な支配構造であったり、非常に高圧かつ威圧的な物言いであったりする訳なんだけど、それは別に罪でも犯罪でも無いんだよね、実際には。

先日、自ら命を絶たれた、西武鉄道の小柳前社長の自宅が、繰り返しTVの画面に映し出されるんだけど、大西武の社長の自宅としては、あまりにも庶民的って言うか、豪邸とは程遠い、ちょっと大きめな普通の家だった。

リーク状態の情報なので、真贋は定かではないけれど、今回の虚偽記載についても、堤さんと直接話し合ったどころか、指示を受けたわけでも無いみたいで、親会社コクドの俗に言う“堤側近”の専務を経由して、指示をされていた姿が、浮かび上がってきている。あるいは、堤さんなら、そうだろうなぁ、って思わせる状況があるんだよね。

堤さん本人は「なんで株なんて公開したんだろう?」って本気で思っているだろうし、もし、株を公開していなければ、今回の逮捕って言うか、事件自体が成立しない。

じゃぁ、上場しなかったら、今の西武グループは存在しなかったかと言えば、そんな事は無くって、西武商法の核で膨大な借入金を抱える、コクドもプリンスホテルも、って言うか、西武鉄道と伊豆箱根鉄道以外は、すべて非上場なんだよね。

この事件を受けて、法律改正の動きがあるのは、証券取引法の改正だけで、それも、

『親会社の範囲を「上場会社の議決権の過半数を直接、または間接に保有する会社」と定義した上で、親会社が〈1〉株式の所有者別の状況、大株主の状況〈2〉役員の状況〈3〉商法に基づく貸借対照表、損益計算書、営業報告書、付属明細書――を開示することを義務づけた。違反者には罰金などを科す』

って、今まで許されていた方がオカシイ部分だけで、本質的な問題に一切踏み込んでいない。

繰り返しで申し訳ないんだけど、日本の企業会計は税務会計が主で、つまり税法が変わると会計自体が変化しちゃうんだよね。しかも、法人税が原則、利益に対してだけ発生するので今回のコクドって言うか、西武グループも何度も特別損失を計上して、利益を相殺している。そして、それは今でも別に、違法じゃないんだよね。

17年度から、減損会計の導入とか一部変化はあるんだけど、上場さえしていなければ、西武グループと、規模の大小はあるにしても、オーナーが君臨し、税金はほとんど払わず、従業員を牛馬のように扱って、企業を私物化して経営をしたって、なんの問題も無いんだよね。って言うか、日本の場合、そうじゃない企業を探す方が、難しかったりもする。

勿論、経営者の性格を法律で縛ることは不可能だけど、まず企業会計基準の変更と、法人の定義に手をつけないと、無責任と嘘吐きとサディストみたいな経営者は税金も払わないで、個人的な栄華を極め、例え会社を潰しても、悠々自適の生涯をおくるんだよね、今の法体系だと。

あ、なんか、感情が出てるな、すんません。

今回の西武鉄道事件は、日本の典型的な経営者のあり方を示すもので、もうちょっと狡賢い経営者は、柔和な笑顔の仮面の裏で、おんなじ事をやってるんだよね、実際には。

ホントは、徹底的にケーススタディーを行って、法の盲点を一つずつ潰す、絶好の機会だと思うんだけど、そんなことを調査する機関も、それを元に法案を考える期間もどこにもないんだよね。うにゅん。

今日は、ちょっとしたパーティーに出席するので、この辺で。ってお見合いパーティー(^^;;じゃなくて、知人のお店の移転開店なんだけど。

誤字・誤変換・そして乱文御容赦。

ってことで、またね。


テキスト庵

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2005年03月03日(木) 「ユニクロ靴小売に参入」に軽く一言だけ

ってことで、

ユニクロ、靴小売り参入 衣料との相乗効果狙う(yahoo!news (共同通信) - 3月3日16時8分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050303-00000112-kyodo-bus_all

なんだけど、このニュースにちょっと一言。短いので全文引用すると

以下引用

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは3日、靴小売業ワンゾーン(旧・靴のマルトミ、名古屋市)の株式100%を三菱商事など2社から取得して子会社化し、靴小売りに参入すると発表した。
 ユニクロのノウハウを活用して販売力を強化し、主力のカジュアル衣料との相乗効果やグループとしての業務拡大を狙う。ワンゾーンの会長には、ファーストリテイリングの柳井正会長が4日付で就任する。
 ワンゾーンは1950年に個人商店「靴のマルトミ」として創業した。

以上引用

ほえぇ?
この記事は、記者が知らないのか、すっとぼけて書いているのかちょっと判断に迷うんだけど、「靴のマルトミ」は2000年12月20日に名古屋地裁へ民事再生手続き開始を申請して、事実上倒産したんだよね。

まぁ、裁判所が認めて、再生手続きが行われたので、そこには突っ込まない事にするけど、ここは旧第一勧業銀行(DKB)がバブル期から無茶な貸し込みを行って、倒産直前には、社長もDKB出身者が勤めていた。

本業は靴屋で、独立郊外型店舗を中心に「靴のマルトミ」「靴流通センター」(東京靴流通センターは千代田靴店@現・チヨダで別物)の屋号で展開し、玩具小売の「BANBAN」ジーンズ小売の「FROM USA」を代表に、業態を10以上も抱えた、泥縄会社で、それでも1990年に名古屋証券取引所2部に上場したんだよね。

それを支えたのは銀行としてはDKBなんだけど、一番の問題は、1987年から開始したオーナーシステムっていうFCで、無茶苦茶な条件で、田舎の農家のぼんぼん達や、訳が判っていない、異業種の経営者を煙に巻いて、急速に店舗を拡大し、儲からない店舗から、色んな名目でお金を吸い上げて、訴訟が続出し、それがきっかけになって、商品を供給していた、ナショナルブランドが距離を置いて、商品の供給がタイトになり、ますます売り上げを落として自滅したんだよね、ざっぱに言えば。

今は、実質、三菱商事が商品を供給している、普通の靴屋さんになってるんだけど、ユニクロが買い取る理由がはっきりしない。

マルトミとユニクロの接点と言えば、郊外型店舗出店の最盛期、物件を持ち込むのも、プレハブの「規格店舗」と呼ばれる、原価がはっきりしない、ペコペコの物件をおったてたのも、ダイワハウスなんだよね。行く道が分かれたのは、ユニクロは直営へシフトしたんで、物件もコストダウンし、マルトミはFCを募集して、業態を増やし店舗を拡大し、物件費用はFCオーナーにおっかぶせて、ダイワハウス躍進の原動力になった。

誤解があるといけないので、付記すると、私はダイワハウスを非難する気持ちは毛頭無い。見積もりを出して、それをアグリーしたのは、マルトミだし、契約上もなんら問題は無い。

ただ、その拡大路線に信用を与え、資金的なバックアップをして、訴訟になるようなFCを拡大し、挙句の果てに社長まで派遣してから潰した、DKBの責任は重いと思うんだよね。

話しを戻すと、ユニクロは過去にも、野菜売ろうとしてずっこけたり、いきなり海外出店を加速して失敗したりと、時々へんてこな戦略に走る。よりによって、なんで、マルトミなんか買うんだろう?

柳井さんは、アパレルのえーかげんかつ、無闇に高い中間マージンに着目して、徹底的なコストカットを行って、ユニクロを育て上げたけど、すっごいワンマン社長だ。つか、ある意味、労務&人事としては、凄いアナクロで、飴もでかいけど、鞭じゃなくて、いきなり首を切るタイプの経営者なんだよね。

今回の事業が上手くいくかどうかは、ちょっとお手並み拝見って感じがする。

ってことで、またね。


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