心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年08月09日(水) お金の話

精神病院への入院費用は、非常に大雑把に計算して、一日一万円というところでしょうか。30日だと30万円。自己負担分が3割だと、およそ9万円。これに食費がプラスされます。点滴だとか保護室を使うと、もっと高くなるはずですが。
収入にもよりますが、高額医療費の対象になるでしょう。

僕が入院した頃は本人負担率は1割でしたが、食費1万8千円が自己負担になっただけでも「高けーよ」と文句をたれていました。大体一月5万円ぐらいだったはずですが、貯金は底をついていて、払う金もなかったので、親に借りました。

退院した月は前の月働いてないので給料がありません。おまけに妻の妊娠がわかったりして、この先どうなっちゃうんだという心境でした。

「金がないんですよ〜」とスポンサーに相談したら、「家計簿を付けろ」というご託宣をいただきました。収入は増やせない、だから家計簿を付けて、無駄な出費を抑えろと言うわけです。

子供の頃からお小遣い帳すら満足に付けたことない僕が、毎日家計簿を付けました。
集計項目の中に、「AA関係の出費」という項目がありました。

たとえばAAミーティングへの往復のガソリン代、高速道路を使えばハイウェイカード代。会場献金。イベントの参加費用。宿泊費。それに交通費。
そういったものを合計すると、毎月4万円を越えていました。もちろん会場献金なんて、その一割以下です。

それが収入の何割だったかという数字は、ちょっと(情けなくて)ここには書けませんが、食費に次ぐ、いやときには食費より大きな項目でした。

「これさえ無ければねぇ」と文句を言われたものですが、僕にとっては必要欠くべからざる治療費でした。飲んでしまって、また入院することを考えれば、そう高くはない保険であります。

今、同じだけの時間と金銭をつぎ込もうとすれば、それは単なる横紙破りにしかならないでしょう。あの時だからこそ出来たのだと思っています。
将来時間とお金に余裕が出来たら、もっといろんなAAに行ってみたいという抱負を語る人は多いです。しかし実際にはそれは難しいようです。
あの時は貯金は出来なかったけれど、お金では買えないものをもらったのでしょう。その時の(霊的な)貯金を食いつぶして生きている。そんな気がします。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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