心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年12月14日(水) 10 years ago (13) 〜 手遅れだと言われても、口笛...

10 years ago (13) 〜 手遅れだと言われても、口笛で答えていたあの頃

10月11日に、IomegaのアウトレットでZIPドライブを買ったのですが、ちっとも届かないうえに、クレジットカードの課金だけはされてしまいました。Iomegaのほうにメールで苦情を言ってもなしのつぶてなので、クレジットカード会社のほうに電話をしました。
海外でのショッピングは「海外デスク」というところが担当なのですが、ここはちっともつながりません。やはりカードでのトラブルは国内より海外のほうが多いのでしょう。
リボ払いなどの受付をしている国内用のデスクに電話して、用件を話したら海外デスクに転送してくれました。用件も伝達されていて、二度説明する手間がなくて楽でした(これからはこの手段で行こう)。
あとはカード会社とオンラインショップの間で解決してくれるそうであります。
(ものはいらないから金を返してくれということです)。

さて、今日から一番最初のホームグループに戻ることになります。
湖の畔の教会でのミーティングに、僕もやっともどってこれたということです。
懐かしいことに、10年前に一緒にミーティングをやっていたACoAの○さん(女性)の顔が見えました。ここのACミーティングは人数が少ないので、AAミーティングに身を寄せているのだそうです。ちっとも老けていないような気がして、きっとACoAの女性って、年を取らない種族なのにちがいないと思った次第です。

峠を越えて帰ってくると、雪が降った後の圧雪凍結路になっていました。タイヤはノーマルでつるつるです。途中まではなんとか無事走ってきたのですが、T字路にオーバースピードでつっこんだおかげで一時停止できず、リアバンパーをガードレールにこすりつけてしまいました。ブレーキなんか踏んだのがいけなかった(いやタイヤを交換していないのがいけないのだ)。

さて、10年前。

ケアンズからジェット機で向かった先は、グレートバリア・リーフの中にある ハミルトン島 というリゾート島でした。

なぜそこを選んだのかというと、この島からほどちかい「ホワイトヘブンビーチ」という場所へ行ってみたかったからであります。白い・天国の・島と名付けられたそれは、真っ白なシリカ砂の幅広い浜が6キロにわたって続き、すぐ後ろは原生林という場所であります。写真で見るそのビーチは、空と海の青、原生林の緑、砂浜の白があいまって、まさに地上に現れた天国のようでありました。
アイドル歌手の映画だったかに「天国に一番近い島」というのがあった気がします。当時はインドネシアのバリ島なんかが人気であったり、旧フランス領のオセアニアの島も人気がありました。しかし僕は白人の国へ行ってみたかったのであります。

そしてなぜ天国にこだわったのか、それは何とはなしに、自分の寿命がもうすぐ尽きるような気がしていたからです。もし、そうすぐにアル中で死ぬことにならなくても、きっとこの後は落ちぶれ果てていくばかりで、海外どころか、国内の旅行すらままならなくなっていくんじゃないか。そんな予感がうっすらとありました。

死ぬ前に一度「天国のようなすてきな場所」に行ってみたいというのが、動機でした。

島で一番大きなホテルの、屋上の2階建てのスイートを借りました。宿泊に食事はセットになっていないので、3食とも島の中のどこかのレストランで食べなければなりません。僕は朝と昼にはビールを、夕食にはワインを一瓶つけるのでした。何しろ英語しか通じないので、新妻がそのことにどんなに文句をつけようとも、オーダーしてしまえばこっちのものでした。
そして「日本に戻ったら、もう飲まないから、この記念の旅行の間だけは、楽しくやらせてくれよ」というのが僕の決まり文句でした。

父の死から3週間、主治医の「緊急避難的処方」によって維持された断酒によって、僕の顔色もなんとか人間らしい色にもどっていました。しかし、一週間余りの旅行のあいだに、すっかり土気色へと戻ってしまったのであります。

新婚旅行だからと、36枚撮りのフィルムを10本以上撮影しました。その写真を整理したアルバムを見ると、僕の顔色が変わっていくのが克明に分かります。ふつう、そうしたアルバムは人に見せて自慢して迷惑がられるものでしょうが、我が家のアルバムは「恥ずかしくて人様にはお見せできないもの」に仕上がってしまいました。
そうやって人に見せずにしまっておいたところ、現在は行方不明になってしまっているのであります。

(この項、つづく)


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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