心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年07月03日(日) 申立書

障害者年金の申立書というのを書いています。これは医者の書いてくれる診断書とは別に、「自分ではこうである」というのを書く必要があるのであります。
前回やっつけ仕事で書いて、かかっているクリニックのソーシャルワーカーさんに預けておいたのですが、「これでは話にならない」と言われて書き直しとなりました。

裁定者は、診断書と申立書だけから判定するわけだから、申立書の記述が不十分ならば申請が通らなくても不思議はないのだそうです。東京ですでに年金を手にしている知り合いに電話してアドバイスを求めたところ、
「診断書と整合性が取れること」
「仕事や私生活に支障をきたしていることが文面から読み取れること」
「欄からあふれるぐらいに克明にびっしりと書くこと」
という例をあげてくれました。

僕としても金は欲しいです。でも年金で暮らせる訳じゃないので、どうしても申請が通らないと困るというわけでもありません。しかし、これまでずいぶん手間ヒマも金もかかっています。ここで手を抜いたがために通らなかったとしたら、間抜けな話であります。

そこで僕は書きました。手書きは苦手なので、ワープロでA4版に5枚。これを東京の知り合いにFAXして添削してもらって、手直しして再度FAXして・・・第3稿まで作りました。しかし、申請書はワープロで出すわけにはいきません。もちろんA3版の打てるプリンターを所有していればそれも考えたかもしれませんが、ワープロで出す時点で「実務能力高そう」な印象を与える不利もあるでしょう。
まあともかく、申請書のコピーに下書きとしてボールペンで細かい字を半日書きました。手元が暗いので980円で蛍光灯まで買ってきました。

こんなにたくさん字を書いたのは、大学時代のレポート提出か、コミ○ットで売った同人誌の原稿以来でありましょうか。20年以上ワープロを使い続け、ラブレターでさえワープロで出して「あなたの手元にはこのファイルが残っているのね」などと言われた自分でありますから、すっかり字が汚くなって、ミミズがのたくったような字が並びました。
そしてとても疲れました。

とりあえず月曜にまたこれをソーシャルワーカーさんに見てもらいに提出に行き、今週中には申請をすませたいところです。

これから障害者年金を申請する人がこのページを読んでいるかどうかはわかりませんが、参考までにいままでにかかった経費を並べてみましょう。診断書などは健康保険の適用外なので、各医療機関が独自の値段をつけています。これより高いことも安いこともあるでしょう。

まず、東京で最初にかかったクリニックの受診状況証明書(いわゆる初診証明)3,000円。診断書が遡及申請のための1枚が8,400円。事後重症のための1枚が5,000円。戸籍謄本が450円。住民票が300円。妻の所得証明が二通で600円。このほかに各医療機関に問い合わせの手紙や、返信用封筒の切手、現金書留で送金の手数料などが計数百円でしょうか。
合計で一万五千円強かな。
診断書はもっと高い医療機関もあるそうなので、安く済んだほうなのかもしれません。
アルコール依存症という病名では通らないし、うつ病でもなかなか通らないと聞きます。一万五千円をどぶに捨てているのかもしれませんが、なにもしないではいられず、内にこもった怒りをどこかにぶつける場所が欲しかったのが本当のところなのかもしれません。

最後に請求書という事務的な書類を書く(というかこの書類が主で、他が副なんだけど)のですが、いままで勤めた会社の住所を書く欄があります(厚生年金)。10年前、20年前となると、さすがに記憶も曖昧です。

生まれて初めて勤めた会社は地味ながらもまだ存在していました(でも住所は変わっているので今日電話します)。そこからスピンアウトした人たちが作った会社は、しばらくは泣かず飛ばすだったので、消息も調べなかったのですが、調べてみると資本金も億単位となり、昨年野球界をにぎわせた会社とも絡んで大きくなっていました。ホームページ上の取締役たちの顔は、記憶より老けたけれど立派そうであります。
一方、昨年8月に僕が無職だった頃、埋め合わせのチャンスでもと思って訪れた会社は、もうその場所からなくなっていました。どこか家賃の安いところに引っ越したかなと思っていたのですが、某掲示板のログでは2000年か2001年に倒産しているという噂でした。

どうしようもない飲んだくれの僕の面倒を見てくれた人たち。でも、前者よりも後者に埋め合わせのチャンスをください、と思ってしまうのはなぜでしょう。

そういえばこの休職期間中に、一度は親友と呼んだ同級生の死も知りました。彼もビル・ゲイツより成功したいひとりでした。

技術屋の僕には、どんな社長が成功して、どんな社長が失敗するのか、本当のところはわかりません。ただひとつ確かなことは、物事は変わり続けていて、決して元には戻らないということです。そんな世の中で変わらずにいようとすれば、すぐに泳ぎ疲れて沈んでしまいます。僕自身も変わり続けていて、そして「決して元には戻らない」ということなのでありましょう。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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