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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年05月13日(金) ハルシオン 僕の子供の頃は、テレビドラマで自殺というと睡眠薬をたくさん飲んでというのがお決まりのシーンでした(そりゃ、飛び込みも飛び降りも首つりもあったけどさ)。
昔はバルビツール系の睡眠薬を使っていたので、大量の飲むと死に至るのでありました。
いまはベンゾなんとか系という睡眠薬が主流で、こいつはオーバードーズすれば体に良くないけれど、それだけが原因で死んでしまうということはまずないでしょう。睡眠薬自殺は昔のものになりつつあります。
アルコールを睡眠薬代わりに使っていた人は、酒をやめるとたいてい不眠になります。AAの書物の伝えるとおり、アルコールだけが問題という人の不眠は、薬など使わなくても数週間すれば自然とリズムが体に戻ってくるといいます(実際に深い睡眠が戻るまでには数ヶ月かかるといいますが)。
しかし、酒をやめはじめの数週間は、長期型の禁断症状によって、不安だとか緊張に悩まされる人も多く、そこへ不眠も重なると、ついつい昔の寝酒の習慣が出てしまうという訴えにも真実味があります。だから、精神科医が睡眠薬を処方したとしても、不思議ではありません。
おそらく一番一般的なのは、ハルシオン(トリアゾラム)ではないでしょうか?
ハルシオンは「キレがいい」と言われるぐらい寝覚めの良い薬で翌日に残りません。単純な不眠症にはよく処方される薬だと言います。効いている時間の長さで、短期型・中期型・長期型と分類される睡眠薬の中で、ハルシオンは超短期型と言われるほど効いている期間の短い薬です。
だから、飲んだらすぐに布団に入って寝てしまうと言うのが正しい使い方です。薬が効いてきて、(ちょっと酒に酔ったみたいで気持ちいいかな)なんて思って起きていると、そのうち効き目が切れてしまって眠れなくなります。そこで、「次の日の分も飲む」とか「二倍・三倍の量を飲む」ということをやり始める人がいるわけです。
本来は安全な薬だと言われますが、ハルシオンの乱用になっているケースは少なくないのでしょう。医者も「効かなくなった」と言われて安易に量を増やすのが問題だと思います。
さらにその上に酒をやめる気がない人だったりすると、電話しても昼は酒飲んで寝ていて、夜はハルシオン飲んでラリってるということになりがちで、そういうケースを量産してくれる病院もあったりして困ったものであります。
そんなわけで、ハルシオン=怖い薬という思いこみが僕の中にできあがっていたのでした。
でも、最近いろんな人の話を聞くと、ハルシオンで2年、3年と安全に過ごしている人も少なくないことを知りました。そういう人は「すぐ布団に入る」を実践しているようであり、過去の僕のように酒と一緒に飲むというようなことは決してありません。
そういう過去があるので、ハルシオンは処方してもらえずロラメット(ロルメタゼパム)を飲んでおります。
くわしいことはAAのパンフレットに譲りますが、アルコールの問題しか抱えていない人は睡眠薬に頼るのをいつかはやめたほうがいいというのがAAの姿勢であります。しかし一方で、向精神薬を必要とする病気も抱えている人が混じっているのも事実で、そういう人から処方薬を取上げる権利を持ったAAメンバーは一人もいません。AAはアマチュアの集まりであります。
処方薬というとリタリン依存という話があがります。欧米ではもう使われなくなったリタリン(塩酸メチルフェニテート)ですが、日本ではいろんな病気、とりわけ重篤なうつ病の治療薬として使われています。かなり重いうつの状態からも気分を持ち上げる効果がある薬として使う医者もいますが、依存性が高いので僕の主治医は「絶対処方しません」と言っています。でも、友人に聞くと「うつ状態でも仕事しなくちゃいけない時のために頓服でもらっている」というから医者それぞれであります。
闇では一錠数百円から数千円で取引されています。うつで休職前は、よっぽどこいつに手を出して危機を乗り切ろうかと考えたものですが、やめておきました。酒でスリップはしなかったものの、薬で入院や離婚を経験した人の話が僕にブレーキをかけてくれたのでしょう。AAの仲間のありがたいところであります。
薬の話を書き出すととめどがないので、この辺にしておきますね。
台北のコンビニで買った、台北市内地図はオークションでは売れませんでした。
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