心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2005年01月22日(土) 生命保険

アルコール依存症や薬物依存症になると、生命保険を契約してもらえなくなります。
保険というシステムは、リスクの高い人たちを排除することで成り立っているので、やむを得ないことなのかもしれません。

保険を契約するときには、保険会社に告知書というのを出すことになっています。これには、「過去5年以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがあるか」という項目があるので、正直に答えれば契約してもらえません。仮に5年間無事に過ごしていたとしても、既往症という項目があるので、一生直らない依存症という病気を書かなければうそになるでしょう。

でも保険に入りたければ、告知書には事実と違うことを書かざるを得ません。すると告知義務違反ということになります。保険会社は告知義務違反を知った時点で契約を解除することができます(依存症に限らず、これは他の病気全般に言えることです)。
たとえば保険金の請求の際に、医者に書いてもらって保険会社に提出する診断書には、病気の初診日などが書かれていて、簡単にわかってしまうこともあるわけです。
ただもちろん、ばれない場合もあるし、保険会社も全部のケースを調査しているわけでもありません。だから、告知義務違反であるのに、保険金が支払われているケースはいくらでもあるでしょう。
逆に、細かな治療歴を忘れていて、うっかりミスで告知義務違反で、遺族が保険金をもらえずに泣くケースもあるわけです。

さて、契約が有効になってから2年経過すると、保険会社が告知義務違反を知っても、契約を解除できなくなります。つまり契約後2年間無事にやりすごせば、生命保険を勝ち取ることができるというわけです。

それを目的に、意図的に告知義務違反をして保険に加入することには、いろいろな意見があります。

ひとつには、病気であることを理由に排除するのは、保険会社という強者の論理であり、支払ってもらえないかもしれないリスクを冒して加入するのは、弱者が身を守る生き方の問題であると肯定的にとらえる意見です。
それとは逆に、嘘をつくというのは人の道に外れることであり、刑法上の詐欺罪にあたる犯罪であるとする意見もあります(詐欺による契約無効で支払ってもらえない可能性もあります)。

依存症になる以前の生命保険契約がある人は、それを大切にするのが最善でしょう。これから生命保険に加入するという人は、自分が何をするのか、よく理解してからの方がいいでしょう。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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