心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年12月24日(金) まじめに書かれた本について

以前古本屋に本を売りに行った際に、査定を待っている間に 『分裂病がわかる本』 という本を見つけて購入しました。
選んだ理由は純粋に「興味本位」と言っておきましょう。

僕は4回の入院のうち、3回までが(アルコール専門病院ではなく)一般の精神病院でしたので、その間合計5ヶ月ぐらいは、分裂病(統合失調症)の人たちと寝食を共にした経験があります。日本の精神病床35万ベッドは、その大部分が統合失調症の人で占められています。そして精神科医の研究対象も、アルコール依存症などはマイナーなたぐいで、人気があるのは統合失調症だそうであります。

僕が経験から学んだことは、その患者の人たちは決して危険な人たちではないということです。僕は入院中に、激しい口論や殴り合いのけんかが起きているのを何回か目撃しましたが、それは全部アルコール依存症の入院患者が起こしたものでした。

AAのミーティングで、「自分は依存症以外にうつ病も持っている」と告白する人はたくさん見てきました(自分もそうであります)。ところが統合失調症だと言った人は見たことがありません。でも、存在していないかというとそんなことはなくて、個人的に教えてくれた人はいます。彼らが特徴的だったかというと、決してそんなことはなく、物静かな感じで、言わなければ決してそうだとはわからなかったでしょう。

で、本の話ですが、中身は病気について科学的に書かれているほかに、患者の生活はどういったものか、家族はどうしたらいいかということまで細かく書かれていて、なかなか面白く読めました。うつ病や依存症についても、こうした公平に書かれた本が望まれます。

精神分裂病の病名が統合失調症に変わって、出版されている本ものきなみ書名がつけなおされたようです。しかし、きわめてまじめに書かれたこの本のようなものは、重版される機会もないのか書名はそのままであります。ひょっとすると絶版の危機なのかもしれません。
かといってセンセーショナリズムで本を売るのもどうかと思いますけど。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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