心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」

たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ過去へ未来へ


2004年09月22日(水) 消える痕跡

いま僕は線路の近くに住んでいて、電車の音を朝な夕なに聞いているわけです。
アルコール依存症が最も重症(?)だった頃、僕は東京の調布で、やっぱり線路の近くに住んでいました。

1DK風呂なしトイレあり家賃4万5千円のアパートで、世間を恨んで飲んだくれて過ごしていました。不思議と飲む金だけはありました。
一人でひっそり飲んでいても、やっぱり昼間は落ち着きません。それが深夜になって、街が寝静まってくると、飲んだくれの気分もいくらか持ち上がるのでした。しかし無常にも朝はまたやってきて、東の窓が明るくなり、電車の騒音がひびいて、世界中から自分だけが取り残された一日が、また始まることを告げるのでした。

布団は敷きっぱなしでしたし、胃が荒れてゲロゲロ吐きましたし、酒も水もしょっちゅうひっくり返していたので、すっかり畳が腐っているだろうと思っていたのに、アパートを引き払うときにカーペットをはいでみたら、きれいなものでした。
手首を切ってふすまに飛び散った血の跡も、ぬぐえば結構きれいになってしまいました。
僕がその部屋に住んでいた形跡はすっかり消え去ってしまったのでしょう。

一昨年仕事で稲城に行ったとき、ちょっと足を伸ばして調布まで行ってみました。僕が住んだアパートは20年近い時を超えて残っていました。

そのアパートが取り壊されて、新しい基礎が建っているのを、電車の窓から見たよ、と友人が教えてくれました。


もくじ過去へ未来へ

by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


My追加