QP-Days
くづき



 ウィーン旅行記(暫定版)〜吹雪の宮殿めぐりと「エリザベート 1」編

今日は朝8時半のシェーンブルン宮殿開門に合わせて出発。
TVの天気予報は今日も悪天候を伝えています。・・・吹雪ですか。
ザルツ方面も今日は天気が荒れるようなので昨日出掛けて良かったかな。
7時に食堂に下りていくとロビーで丁度同じ日に一緒にバスで来た女性たちに会いま
した。彼女達は今日がブタペストへ遠出の日。
少し話をすると昨日はウィーンも天気がそこそこ良かったらしい。
話のついでにくづき暴走(苦笑)
「あのーブタペストには『モーツァルト!』のミュージカルを観に行かれるんです
か?」
彼女達も「エリザベート」を見に行くと聞いたので、ブタペスト行きも「もしや?」
と思ったんです。そして、もしそうならパンフとCDを買ってきていただけないものか
なーと(←うわー、最悪なヤツ)
対して答えは『普通に観光です(ニッコリ)』
・・・まあ、世の中ミュージカルオタばっかりじゃないわね。
となりでsibuyaさんがニヤリとしてました。

★粉雪のシェーンブルン宮殿
朝ごはんを食べたら早速ホテルを出ます。シェーンブルンは街の外にあるので路面電
車→地下鉄と乗り継いで30分位。駅に付くと小雪が降り始めていました。
正門をくぐると真っ白な庭園の向こうに黄色い建物が建っています。
観光バスで到着したらしい日本人の団体グループが宮殿の外観について説明を受けて
いる脇を通り、西側棟の入り口へ。(ここでも入り口に関する表示が目立たないんで
すよ、前を歩くロシア系グループの後にくっついて庭園をつっきりました)



まだ8時半にならないので入り口で少し待ちます。
中にはトイレがないので一応ここのに行っておくかーと女子トイレに行くとカギがか
かって開きません。えー?ここも時間にならないと開けてくれないのかなぁ。
とりあえずチケット売り場で入場券を購入。ウィーンカードで日本語オーディオガイ
ド付グランドツアー(全部の見学コ−スを見られるもの)が13ユーロから12.2ユーロ
になりました。

トレイが開かん〜。チケットを買ったのに中に入らないでホールにいるのを見ていた
チケット売り場のオジさんが「こっちこっち」とホールの別の場所にあったトイレに
案内してくれました。先程の団体メンバーらしい女の子も一緒についてきます。が、
そちらもカギがかかっていて開きません(^^;オジさんも「Oh!残念〜」と苦笑
い。時計を見ながら「もう少しすれば開けに来るよ」と言っていたのですが、結局8
時半を過ぎても開かないトイレ。お掃除オバさんが来ないので、とうとうチケットオ
ジさんってばどこかからかカギを持ってきてくれました(><。
オジさ〜ん、ありがとう〜〜〜〜っ!!!!
「だんけ・しぇーん」連発でお礼で言うくづきたちに「いいよ、いいよ」と片手を上
げてにこやかに去っていくオジさん、素敵。
チケットには入場できる予定時間があらかじめ刻印されているので、いつまでも入ら
ないでいると無効になっちゃうのかな?(そんなことないか?)
正直開かないならこのまま入るかのう、とsibuyaさんと言っていたところだったので
この親切には大感謝です。クロークにコートを預けて入ろうとしたら今度はオバさん
に「中は寒いから着て入らないと〜」と言われたし、なんか親切?

ここは中は撮影禁止。
シェーンブルンは宮廷といっても正式な手続きさえ踏めば、庶民でも直接皇帝に謁見
する事が出来る開かれた宮廷でした。見学コースも警備の近衛兵の間を通り、当時の
人々が謁見を待つ間過ごした控え室からスタートです。

どの部屋も綺麗だー。白い壁に金箔付き漆喰レリーフ、赤い家具がデフォルトです
が、各部屋ごとに壁が胡桃材で統一されていたり、綺麗な壁紙が貼られていたりとザ
ルツのレジテンツに比べると同じ豪華でもレベルが違う(^^;
ゴテゴテしてそうなんだけど、意外に落ち着く感じもするのは一部屋が意外に小さく
区切られているからかなぁ?天井がやたらと高いので目の錯覚なのかもしれないけ
ど。大きい窓も各部屋にあって明るい感じがいいのかなー。オーディオガイドからは
各部屋ごとのエピソードが流れています。

朝から深夜まで皇帝の義務として働きつづけたフランツ・ヨーゼフ陛下。晩年まで毎
日午前中だけで100人もの人と謁見し、食事の時間も惜しんで夜中まで仕事をした
彼。機械のように正確に日々の仕事をこなし続け生涯をハプスブルクの為に捧げたエ
ピソードに思わず涙が・・・と思ったらくづきの隣では鼻をすする音が。
「ごめん〜、私ダメだぁ〜」とsibuyaさんが鞄からあわててハンカチを出して泣いて
ました。うん、うん、陛下のエピソードは泣けるさぁ(ToT)

そんな彼の元へ嫁いで来た天然少女のシシィ。彼女の私室にはこっそり部屋を抜けだ
せる秘密の階段があったり、化粧室には大きな鏡が置かれていたりでなんとも対称的
な2人だったんだなぁ。

ハプスブルクと言えば忘れてはいけないマリア・テレジア一家。
なんつーか、凄い一家です。女帝のママは当然ですが子供達も才能豊かで彼らの残し
た絵画とか見ると・・・ホントにこれを姫たちが描いたの?と思う腕前です。うー
ん、素晴らしい。東洋趣味爆発の「中国の小部屋」。壁にはめ込まれた漆塗りの装飾
に鮮やかな寄木細工の床模様が「やりすぎ・・・」という程にオリエンタル。燭台代
わりは白磁に青い模様の小壷です。これは当時の感覚だと凄いインパクトだろう
なぁ。

なんだかくづきたちは付いてないんでしょうか・・・「鏡のホール」。幼い頃のモー
ツァルトが御前デビューしてマリー・アントワネットにプロポーズしたというエピ
ソードの部屋がまたしても改修作業中。うわーん、ザルツに続いてここでもヴォルフ
に振られたぞー(><。オーディオガイドから流れるレオポルトパパの誇らし気な日
記の内容が空しく耳元を流れます(涙)

そして「会議は踊る」の大ホール。
幅10m、奥行き40m大空間です。大シャンデリアが輝く大広間の天井にはハプスブ
ルクの繁栄をギリシャ神話の女神達になぞらえたフレスコ画。口をポカーンと開けて
眺める日本人2人(^^;フレスコ画を良く見ようと上を向いたまま広間をぐるぐる
歩いているのは端から見ると怪しいダンスを踊っているように見えなくもないか
も・・・
隣の小サロン(でもこちらも十分大きい)の窓から外を見ると・・・吹雪になってま
す。

時代は進んでナポレオンの遺児ライヒシュタット公の部屋。
ハプスブルクの跡継ぎは幼い頃に庶民の手仕事を1つ身につける習わしがあったそう
で、幼い彼は「庭師」としてバラ園の世話をして植物学の講議も受けていたそうで
す。唯一の友達だった小鳥の剥製が夭折した彼の胸像の隣に置かれていて、ちょっと
泣けます。
↑の特技のエピソードを聞いて
「フランツの得意技は何だったんでしょうね?」
「狩りが好きだったから『猟師』なのかなぁ」
「シシィが『皇帝ではなく街の仕立て屋さんだったら良かったのに』って言ったって
話がありますよね?もしやっ!?」
「うわー、ちょっとした服のほつれとか自分で直した方が早いとか言って直しそう
…」
深夜に独り黙々と繕い物をする陛下、シシィのドレスをこっそりお直ししておく陛
下・・・いやん(><。
おそらくゾフィー皇太后の方針は「職業『皇帝』に決まっているでしょ!」だよね。

宮殿内には学校の授業で来たらしい子供の集団とかもいましたが、時間が早かったの
と悪天候で空いてました。外に出てみると真っ白です。
庭園の彼方にはグロリエッテという展望台をそなえた館があるのですが・・・雪の強
さに断念。宮殿の名前にも関連したネプチューンの泉(雪だるま状態)まで行って
戻ってきました。

シェーンブルン動物園には最近パンダが2頭中国から来て大人気らしいです。名前は
中国名があるものの通称フランツとシシィと言われているとか。ホントに!?

馬車博物館では陛下の日常馬車に式典用の8頭引きの華麗な馬車、そしてシシィやフ
ランツにも使われた葬儀用の漆黒の馬車を見て来ました。
革張りの馬車は手入れが良くされていて今も使えそうだなぁ。

★吹雪の王宮で遭難事件
丁度お昼になったので市内まで戻ってカフェで軽く食事。
シュテファン寺院近くの「カフェ・モーツァルト」に入ります。ウェイターさんが日
本語メニューを出してくれたぞ。
sibuyaさんは「ウィンナーシュニッツェル(ウィーン風カツレツ)」くづきは「グ
ラーシュ・ズッペ(パプリカ入りのビーフ野菜スープ)」塩気が強いけど身体が温ま
るなぁ。sibuyaさんのカツも少し分けてもらって食べてみると、思ったよりアッサリ
味で美味しかったです(^^)

外の雪は一段と強くなっていますが、いつまでもカフェでまったりする訳にもいかな
いので王宮目指してGO!



移動する時にはちゃんと地図を確認しましょう。
「カフェ・モーツァルト」の目の前はすぐに王宮の敷地です。なので、手近にあった
ゲートから中に入ってしまったのが失敗。本当はアウグスティーナ教会の前を通って
ミヒャエル門側から入らなくていけなかったのに熱帯博物館側からブルク門側に回っ
てしまったんですねー。結局王宮の周りを吹雪の中で30分以上歩くはめになってし
まい予定外の時間を取ってしまいました。

ここもオーディオガイドがありますが、別料金。最初に銀食器などのコレクションを
見てから陛下とシシィのお宅訪問。
シェーンブルンよりもこちらの方が日常の住まいとして使用されていたところなので
生活感が感じられる展示品や調度品が多くありますね。
陛下が毎日の謁見に使った書見台。この前に立って下々の者と会ったんですねー。
執務室に飾られた家族の肖像の数々。特に最愛のシシィの肖像画や写真の量には圧倒
されました。現在の展示用にこれらの絵や写真を飾った訳ではなく、当時の写真を見
ても同じ状態。フランツってやっぱりシシィマニアだー(^^;
ウィンターハルター作の髪を降ろしたシシィの絵を前にお仕事に励む姿って・・・。
上品かつ最高の素材で造られた質素な部屋。この大量の家族の肖像は陛下の寝室にも
飾られていて、彼の複雑な心情を垣間見る様でした。

シシィの部屋には噂の美容体操道具が。これを使って驚異のウエスト50cmを維持
した訳ですが、度重なる食事制限にこれらの機具を使ってまでも自分の美貌を維持し
ようとした意志の強さはある意味感動ものです。フランツとは正反対のベクトルだっ
たけど、彼女もまたある面では驚異的な精神力の持ち主だったということなんでしょ
うか。彼女の私室の机の上に置かれた書類についてオーディオガイドでは「遺書」と
言っていて、くづきとsibuyaさんは「何ーっ!?」と色めきたったのですが、実際は
遺書というよりも何かあった時の為の「遺言書」のようでした。

大サロンにはミュージカル「エリザベート」の1幕ラストでお馴染みの白い夜会ドレ
スにエーデルワイスの髪飾りをつけたシシィと礼服を着た陛下の2枚の肖像画が飾れ
ています。しかし、見学コースのルート設定の為か部屋を入って最初にシシィが見え
るように左側の壁にシシィが部屋の中央の壁に陛下が、という配置で飾られているん
ですよ。
・・・この配置だと2人の視線がそっぽを向いてしまふ(ToT)
なんでこー飾るんかなぁ・・・わからん、ウィーンの人の気持ちがわからん。(皮肉
なのか〜?)

等身大のシシィ像が置かれているはずの16番目の部屋に入ると像がない!マリーア
ントワネットが使った家具とかもあるはずなのにない!マリーの道具は丁度日本で開
かれていたジュエリー展に貸し出されていたようで行き違い。しかし、像は?
sibuyaさんがここまで来て見られないなんて〜とプチパニック!ガーン、ガーンと
ショックを受けながら隣の部屋へ移動すると・・・ありました(^^;
白いシシィはそこに立っていました。
うう、腰はやっぱり細いなぁ・・・指も細い〜。こんなスタイルの人が実際に歩いて
いたのかー、ココを!この廊下を〜ッ!!!
すんません、くづきも壊れぎみでした。

豪華なダイニングルームを見てルドルフとフェルディナントの両皇太子の記念室を見
てから王宮を後にしました。

★期待はずれのフィガロハウス
シュテファン大聖堂の前を通ってフィガロハウスへ。
おっと、ここはウィーンカードは使えないのか。
モーツァルトが「フィガロの結婚」を作った当時に住んでいたアパート。彼の人生の
中で一番幸せだった時期とも言われていますが、正直イマイチでした。いや・・・展
示とかが本当にただ並べただけって状態でしかも館内のオバちゃんもオジさんも無愛
想なんだもん。閉館間近に行ったのが良くなかったのか(><。
ザルツではほとんど見なかったコンスタンツェのやり手ぶりがわかるような展示でし
た(苦笑)出口付近にとってつけたように猊下の肖像画が飾られていたのもなんだか
なぁ・・・くづき達の後から入ってきた観光客老夫婦の旦那さんがやけに陽気で静か
な館内で一人展示品を見る度に喜びの歓声のようなものをあげているのが可笑しかっ
た。(←こんな感想でごめん)



この辺りから北側のエリアは細い路地がいくつもあって古いウィーンの町並みが残っ
ているそうです。家々の門から中を覗くと中庭があって、とても趣がありますね。天
気の良い日に日中に散策するには良い場所かもしれません。
日もすっかり落ちていよいよ『エリザベート』を見にアン・デア・ウィーンへ向かい
ます。

でも、その前にちょっと寄り道。
オペラ座横のCDショップ「ARCADIA」でお買い物〜。ここでミュージカル雑誌の
「musicals」を購入。隔月刊なので去年のレミゼが表紙の号と最新刊のエリザ特集号
の2冊を買いました。このお店もウィーンカード割引が使えるので欲しいCDがある時
は覗いてみると良いかも、です。CDや本以外にもオペラ座の歌手の人のプロマイドや
やミュージカルグッズ、ウィーン観光土産も扱ってます。指揮者の小沢さんのポス
ターも売ってたよ〜。

まだまだ粉雪が降っています。
このまま止まないのかなぁー。

そんなことを思いながら金色キャベツのゼツェッシオン前を歩いて「Elisabeth」のロ
ゴ看板が輝く劇場目指して雪道をテクテク。



以下、続く。


2004年01月09日(金)
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