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■ 【蚤の市】について
朝10時、ほとんど寝れないまま 【Butler's Pantry】の搬入。 ここは二度目の展示なので それほど手こずらずに済んだ。

オリジナルが二点のみ、あとはプリントが中心なので やっぱりゴージャスさに欠ける。 展示作業が終わってから暫く、その場で 「う〜ん」と考え込んでしまった。
今は、何度目かのトンネルというか 自分のスタイルがまた生まれ変わる時期だと感じてるので 容易に現状スタイルで描き捨てしようとは思ってない。 農家でいえば、生産調整。 家庭でいえば、家族計画みたいなものか。 その狭間で展示を行なうと、どうしても今回みたいな 中途半端なモノになる。
【Butler's】のMarkham支店へ行き 今度は慎也さんの展示を手伝う。 こっちはQueenの倍くらい壁面スペースがあって好きだ。
展示が終わって、いつものようにそこで飯を食う。 そう言えば、と思ってオイラが毎年参加している 11月の新企会【蚤の市】に慎也さんも出るように説得する。 いつもお世話になっている日系社会への 恩返し的意味合いが強い【蚤の市】だが これに参加するには、もう一つ別の意味がある。
オイラ達が普段やっているような展覧会には なかなか足を運ばないような人達も この蚤の市にはやって来る。 カナダに住んでいるとは言え、中身は日本人であるから アートに対して保守的な考えを持つ人々がまだまだ多い。 オイラや慎也さんの名前を新聞やどこかで知っていても わざわざギャラリーに足を運んでくれる人は皆無と言っていい。 興味が無いのに加え、親近感も無いからだ。 【袖触れ合うも 多少の縁】 という言葉通り、どこかで一目出会っただけでも その後の関心度が違う。
毎年、蚤の市での平均的な反応はこうだ。 「トモレノンさん、新聞で名前は知ってますよ」 ありがとうございます。 「どれくらいカナダに住んでますか?」 5年くらいになります。 「じゃ、普段はお仕事してらっしゃるの?」 いいえ、絵を描いて生活しております。 「どこの学校で絵を勉強してるんですか?」 学校へは行ってないんですよ。独学です。
てな感じで、おおよそアートには関係ない話を 延々とするわけだが、そこが大事なのだ。 作品よりも、まず人間を知りたいのが日本人の特徴。 ただでさえ馴染みのない【アーティスト】なんていう職業を 少しでも身近に感じてもらう事ができたら それが少しずつ関心へと変わっていくものだ。
椅子にふんぞり返って「観たい奴だけ観に来ればいいんだ」 っていう巨匠アーティストに憧れて そのレベルに至ってないアーティストまでも やたらに高飛車な態度を取っているのを見かける。 アホかっちゅーの。 自分から絵を持って見せに行くこともしないで 最初っから「来い!」とか 「どうせ言っても来ない連中だから」は無いだろ。
オイラにとって、蚤の市は こっちから絵を持って「お邪魔しまーす!」と 日系社会の中へ入っていける、年に一度の大切な機会なのだ。
2004年10月20日(水)
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