-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 【ツボ】が違います

午後にRafiが神妙な面持ちで来た。今年の秋にDesign Exchangeでやるというプログラムが難航してるという。

それは【Tokyo Doll】同様、日本人アーティストを対象とした展覧会で、俺もこれまで何度か相談に乗ってきた。もともと、このアイデアは去年、俺がまだキュレーターを平行してやっていこうと思ってたときのアイデアだから。

だから、前提として日本人である俺だからこそ実現可能な部分ていうのがある。例えば、日本語のウェブサイトや、アーティストの募集要項を作ったり、直接日本へ行き来してアーティストと連絡を取り合ったり。

Rafiに限らず、外国人が日本のマーケットに入るのが難しいのは、言語の壁だけでなく、どこが日本人のツボなのかが掴めない所だろう。

分かり易い例で、日本と外国のDVDの売り方の違いがある。【アメリ】という大ヒット映画がDVDで発売された時の日本のやり方はこうだ。
■初回限定スペシャルパッケージ
・豪華BOXアメリ缶
・ポストカード
・世界を旅するドワーフからの手紙
・甘い香りのキャンドル
・アメリ・スプーン
・キューブリックアメリ(ゾロタイプ)
・マウスパッド
・特製パンフレット
価格¥8,500

対する外国版は、
■初回限定
特別価格$14.99
特典なし

どう?この分かり易すぎる違い!日本は、これでもか!と特典を付けて豪華さをアピールし、8,500円という高額でも完売させた。外国は、通常価格$23のところを初回だけ$14.99に値引いただけ。

「そんな無駄な特典が付くより、安い方がいいじゃないか!」という外国人の声が聞こえてくるが、違うんだよ、ツボが。外国人が「いい!」というツボのまま、日本に持って行ってもダメなんだ。

これと同じことが、アート展覧会にも言える。Rafiが出したオファーに、日本人が誰も興味を示さないというのは、正にこの【ツボ】の問題だろう。

でもね、日本の今後を考えるなら、あえて日本流の【ツボ】に合わせずに、外国のやり方のままで通した方が良いとも思う。いつまで経っても過保護な日本人じゃいけないしね。それに、少しでも海外に目を向けてる日本人アーティストなら、いつかは通る関門だし。

そんな事をRafiに話したが、奴もタイムリミットと戦っているので、悠長なことを言ってられない。早急にアーティストを集めなければいけないのだ。・・・頑張ってくれ。


2004年01月21日(水)
初日 最新 目次 MAIL HOME