-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 復旧

静かな朝を迎える。平日であるが、昨夜の大停電の影響を受け、ほとんどの会社や商店は営業を自粛している。朝方5時頃に、30分ほど電気が点いた。が、すぐにまた停電に戻った。

日本の姉に電話して、ニュースでは何と言ってるかを確認してもらった。そこでようやく停電の原因がナイアガラにある発電所のトラブルが一因だと知る。同じフラットに住む子が「2-30%復旧した電力を、地域ごとに振り分けて供給してるらしい」との情報を持ってきたが、同時に完全復旧までは程遠いことも分かった。

昨日同様、友達が訪問してきた。手には寿司を持っている。もうホットドッグやパンには飽きた様子(笑)。商売根性逞しいアジア系商店では、停電後すぐに通常の倍の値段で商売をはじめている。チャイナタウンのスーパーでは、冷凍食品がダメになる前に袋詰めにして、一袋$10で投売りしてたし、路上では電池やローソクを倍近い値段で売りさばいていた。さすがである・・・。

昼になり、冷凍庫の中身は、ほとんど溶けてヤバイ状態。炭でも買ってきて、肉類は全部焼いてしまおうかと思った矢先、ポッと電気が点いた!目の前のHMVも、横のブティックにも煌々と明かりが点いた。

明かりと共に、停電になる直前の昨日の記憶がフラッシュ・バックしてきて、ある重大な落し物をしたことに気付いた。大停電というパニックの中で、手にもっていたはずの大事な品物をどこかに置き忘れてしまったのだ!

家中を探してもない。昨日合った人々に電話で確認を取る。しかし無い。

昨日、どうやって家に帰ってきたのかを必死に思い出そうとするが、驚くほど覚えていない!これは大変な事になった。彼女と2人で、昨日歩いた道や、寄った場所を確認して歩くが全く手がかりがない・・・。

自分の記憶ほど当てにならないものは無い。人が「白だった」と言えば、「白だったかもしれない」と思うし、「黒だった」と言われれば、「黒だった!」と思う。ましてや、大停電という状況で、通常とは異なる行動を取ったとしたら、思い出す自信もないのだ・・・。

2003年08月15日(金)
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