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■ 大晦日
早いです。今年もあと数時間で終わりです。
日本との時差は13時間なので、一足先に新年を迎えている友人達からのe-MAIL年賀状が続々と届く。
日本の大晦日番組で注目していたのが「猪木祭り」である。紅白の裏で、現役を引退して久しい猪木がどれだけ視聴者を惹きつけるのか。「祭り」とは書いてあるけど、これはk-1との全面対抗戦。はっきりいって好き嫌いが完璧に出てくると思うが、見ない人は全く興味がない分野だからね。それはしょうがないけど。
その猪木軍の総大将、つまりメインイベンターに指名されたのが安田忠夫だ。大相撲からプロレス入りし、借金が元でそのプロレス界からも抹殺されかけた男を救ったのが猪木だった。この2年間猪木の下で安田は変わった。
38歳という高年齢からの一からのやりなおし。しかし、メインイベントを務められる程の実績はまだない。当初の予定ではメインイベントは藤田か小川という、言わばスターのはずだった。それが故障や出場辞退となり、苦肉の策として猪木が安田をメインに抜擢した。
発表の際、猪木はこう言っている。「あの馬鹿がどんな戦いを見せてくれるのか興味がある。」とし、「勝った負けたは小さなことよ。己の中にある恐怖に打ち勝ち、勝負の場に出たお前は勝利者だ。」という自作の詩をエールとして贈っているのだ。
生涯で初めてのメインイベント。しかも紅白に対抗して猪木が全精力を注いで開催するに至った大試合だ。下馬評では99対1で、相手のバンナが圧倒的有利。万が一でも引き分けが精一杯だと俺も思った。
世間的には「”やる”と言っただけでも安田株は上がった。それだけでも賞賛に値する。」と。誰もが勝利までは期待しなかったのではないだろうか?
しかし、安田は勝ったのだ!信じられない事が起こった。恐らく一番驚いてるのは本人だろう。借金問題から、別居をしている愛娘を会場に呼び、勝利の姿を見せることが出来るとは本人も思わなかっただろうね。
猪木はこれを「逆境の美学」といい、まさに身をもって我々に教えてくれた男だ。それを出来損ないの弟子である安田が現代に蘇らせてくれた。辛い、どん底で追い込まれた時にこそチャンスがある。それが辛ければ辛いほど逆境のバネは強くなるものだと。勝負の世界でなくとも、この論理は成立する。
年末の大晦日。紅白を見ながら平和に過ごすのが一般的かもしれない。その裏で猪木が仕掛けた壮大なドラマは、本人の予想を越えるドラマを生み出した。場を与えられた安田、場を設けた猪木。ニクイ事をしてくれたもんだ。
この年末に戦いを通して気分を鼓舞されるとは思ってもみなかった。これを自分自身に置き換え2002年に望みたい気分。
2001年12月31日(月)
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