-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 現実にある距離

日本の姉から電話があり、母がバイクで事故を起こし入院していたとの知らせを受ける。あのNYテロ以降日本に電話していなかった為全く知らなかった。心配するからと、俺には知らせなかったという事だ。

確かに離れているとすぐに行けるわけではないし、心配する事くらいしかできないのだが、やはり”知らなかった”というのが心苦しい。元々電話を頻繁にかける性格ではないけど、東京で1人暮らししてた頃に比べるとカナダに来てからは電話するようになったと思う。しかし、離れている距離がそうさせているのか、心配させるような話題はお互い避けている気もする。

今回のはいい例だと思うのだが、もし、俺が入院していたらやっぱり連絡しなかっただろうね。だから気持ちは理解できる。親の死に目に会えないかもしれない事も頭の中では整理できているが、実際にそうなったら海外で離れていた事を後悔する感情も当然生まれてくるだろう。

友達のサト君は、数ヶ月前にお父さんが亡くなり急遽日本に帰った事があった。いくら急いで帰ったとしても日本では着々と物事が進み、自分が着いた頃には葬式も準備も全て整っていたという。

何も出来ないことはこっちに来る時に決心がついてるだろうが、現実的に自分の無力さと直面するのはシンドイ事だ。



2001年09月27日(木)
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