WELLA
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2002年12月02日(月) 最終日

あっという間に最終日である。週一回の就労日の間をとったという隠密行動(どこが?)なので、全行程6日間のうち、時差もあわせて1/3以上は移動に費やすことになる。ニースは国際空港が近いのでそれでもマシなほうか。

朝は早く目がさめてしまったので、薄暗いうちから散策。クリスマスイルミネーションが光る中をうろうろと歩き回る。ちょっと不気味。朝食の時間を待って食堂へ行く。もうフランス語はあきらめたので、さくさく英語で部屋番号を言って席に座り、すっかりおなじみになった品々をブッフェで取る。いままで一番すごかったのはどこの朝食かという話になる。夫は去年行ったカナダのホテルがよかったというが、私は今年の夏にイタリアのバーリ(Bari)というところで泊ったホテルが、サービスという面ではよかったと思う。何しろ色とりどりの食材が整ったブッフェ以外に、飲み物はコーヒー紅茶はもちろんエスプレッソやカプチーノのオーダーも通り、卵料理も個人の好みに合わせて調理して、テーブルまで運んできてくれるのである。いやぁ、あれはよかった。しかし朝食だけでかなりおなかが一杯になってしまい、少ない滞在日数なのに朝食以外は昼か夜一食しか食べられなかったのは残念だった。世の中よいことばかりではないのである。

話をニースに戻して、朝食後は最後の散策に出る。お天気は今ひとつだったが、海の見納め。後ろを時々振り返りながら海沿いの通りを城址公園方面にずっと歩くと、だんだん湾曲が甚だしくなっていくのがわかる。湾曲の端は空港で、飛行機が発着しているのがなんとなく見える。さらに奥にも陸地が見えて、これが多分アンティーブ(Antibes)あたりだろう。公園は城跡だけに崖の上にあるのだが、その崖に張り付くようにしてホテルが建っている。ははーん、これが、例の、あの、ホテルだね。満を持して後ろを振り返ってみると、たしかにこの風景が広がっている。
ぱぴちゃんが計画している墓参りツアー(違)のネタバレになってしまうので、多くは語らないけど、なるほど納得。残念ながら工事中なのであまり景観はよくない。岬をグルっと回って、港の側から城址公園に上ることにする。歩道を歩いていたら、男達が乗った車が一台徐行してきて、車をとめる場所を探している様子。なんとなく異質な感じがしたが、そのままやり過ごして港のそばまで行き、城址公園を見上げると、これまた崖に張り付くように建っているアパルトマンの一室の窓があいていて、下を覗き込んでいる男女がいる。その視線の先を辿ると、さっきの男達が棺おけを車から引き出しているところだった(!)。西洋の棺おけの実物を初めて見てしまった。本当にドラキュラがはいっているような形だった。

城址公園にはいったいどういうからくりになっているのか、なぜか滝が上のほうからざあざあと流れていて、展望台からの眺望だけでなく一見の価値がある不思議ワールドである。展望台から湾を見下ろしてから、階段を下りる。階段は海洋博物館への階段で、途中に海洋博物館の屋上となっている展望台もあるのだが、同時にホテルのすぐ脇でもある。さらに降りると途中ホテルの窓と並んでいるところがあるので、あの絵と同じ目線でも見られるはずである。何枚か写真をとる。うーん、やっぱりちょっと角度がずれているかなぁ。でもあの画家に限って、同じアングルだからといって絵と同じようになるはずはない、と思い直す。

階段を降りきって、旧市街を抜けて、チェックアウトの時間までにホテルに戻る。部屋に戻ると、メイドがテレビをつけて掃除をしていてあっけにとられる。これからチェックアウトする部屋を掃除してどうする!?と問いただしたい気分だったが、語学力が無いのであきらめて、勝手に荷造りをする。メイドはフランス語でなにやら言ってから、さようなら(Au revoir)と手を振って出て行った。ホテルの最上階にある展望レストランで1時間ほど食事をするつもりで、チェックアウトして荷物を預ける。フロントのおねーちゃんは、英語で処理をすべて済ますと、"Au revoir, Madame! Au revoir Monsieur!"といった。やっぱりフランス語は優雅でええのぅ、と思う。にっこり笑って早速最上階に行くと、クローズしていた。シーズンオフってこういう事ね(涙)。そそくさと1階に戻り、外に行くことにするが、行くあてもないくせに雨も降ってくる。とりあえず海沿いのホテルでお茶を飲むことに。
1階にマクドナルドがはいっているそのホテルは、見かけの割に内装が立派である。2階のラウンジにいってお茶を飲みたい、というとそれならエレベータで9階に行ってちょうだい、と半分フランス語の英語で言われる。9階で降りるとそこは客室。さらに階段を上がると絶景が広がっていた。あいにくの雨で眺望は今ひとつだったが、海沿いの9階というと眼下の風景は殆ど海である。相変わらずフランス語で話し掛けているのに英語で案内を受ける。カフェオレを頼んで雨避けの庇のなか1時間ほど粘った。いやー、これで晴れていたらもうサイコ―ですな。シーズンオフに旅行する場合、最上のコンディションの想像力が欠かせない。

ホテルに戻って荷物をとるのにやや手間取り、空港行きのバスに乗るべくバス停まで歩く。あと20メートルというところで、向こうからバスがやってきて我々の脇を走り抜けていった。

教訓:バス停の中間にいる場合、とりあえず進行方向に近い方のバス停を目指せ。

次のバスまで20分。最大待ち時間となる。雨もやんだので道端に腰掛けてボーっと、フランス人の交通マナーの悪さなどを観察して過ごす。夫はバスの運賃を二人分用意している。夫にまかせっきりにしてバスに乗り込むと、一人3.5ユーロで、二人分7ユーロ。夫が用意していた額では全然足りず、運ちゃんがイライラと「Sept(7)!Sept!」いう。夫も「今用意してるのに!」と日本語で切れる。間に立った私はとっさに「Attendez(待って)!」と。こういうときは不思議と適切な言葉が出るものである。料金も払い終えて、無事席につく。なんであの金額だと思い込んだのか夫を問い詰めるが、だってそうだと思ったんだもん、という予想通りの答え。まかせきりにしているくせに文句だけいう妻。最低である。

バスは海沿いの道を走り出す。この頃になるとすっかり晴れて青空が広がっている。海がきらきらと美しい。こんなことならもう少し歩いて海沿いのバス停で待てばよかったと後悔しながら、空港につく。敷地内に入ってからバスはぐるぐると周り、思ったより時間がかかる。我々が乗るべきターミナルについたのでそそくさと降りるが、降りてからここはどうも到着口であることに気付く。運ちゃん、ちょっと言ってくれればいいのに、いけず。出発口まで移動して搭乗手続き。これから仕事である夫とはここでお別れ。なぜかラウンジ利用券をくれたので、入ってお茶など飲んでみる。特に目新しいものなし。エスプレッソマシンの操作がよくわからず、「ここを押してはいけない!」と英語とフランス語で書いてあったボタンをつい押してしまい、蒸気がいきおいよく噴出す。だってそのボタン妙に目立ってたんだもん。売店でチーズを2種類買ってルフトハンザ機上の人へ。機内で飲み物などをサービスされると思わず「Merci!」とか言いかけてしまい、てめえ何かぶれてんだよ、と自分で突っ込んでしまう。かといって「Danke!」というのもますますかぶれているようで、おとなしく英語と日本語で済ます。
フランクフルトで全日空機に乗り換え。4時間待ちなのである。もう一度チェックインしなければいけないと言われていたので、乗り換え手続きのカウンターを探すが見つからず、結局一旦外にでてしまう。搭乗手続きを済ませあと3時間。だりー。とりあえず売店を舐めるように見回す。歯医者さんへのお土産のシャンパン(Taittinger, made in France)と、サンタをかたどったチョコレート2種(Nestle,made in Switzerland)を買う。なんか、EUって感じぃ。
行きと同じくラウンジに入り込み、グミベアをかじりつつじっと出発時間を待つ。


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