無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年09月10日(金) ヤクザな金田一

 朝6時に起きて、WOWOWで東映・高倉健主演版の『悪魔の手毬唄』を見る。数ある金田一シリーズの中で、これは未見のうちの一本だったので、WOWOWさんには大感謝である。
 珍品とは聞いてたけど、高倉健の金田一耕助、サングラスに咥え煙草で白いスポーツカーを飛ばして鬼首町に乗りつけるあたり、確かに横溝正史の世界じゃない。これじゃ探偵じゃなくて、イキがったヤクザのあにいだよ(~_~;)。
 本格ミステリとしても原作の傑作ぶりを思えばあまりに物足りない。なぜか『八つ墓村』っぽい「たたりじゃ婆さん」も出てきたりして、ありとあらゆる部分で原作を無視しまくっているのだが、ともかく原作と違って童謡殺人モノではなくなっていて、「手毬唄」がトリックに全く関わっていないのが羊頭狗肉じゃないか、という感じだ。
 脚本家は「原作読まずに書いた」とか言ってるんだけど、ストーリーもプロットも全く別モノでありながら、キャラクターや展開の一部など、原作ラスト近くの要素もいくつか取り込まれてはいるので、全く読んでないというのはウソじゃないかという気がしてくる。長大な原作をうまく映像化する方法を考えつかなかったから、勝手に物語デッチアゲちゃっただけじゃないのかなあ。
 横溝正史ブームがあれだけ激しかった70年代後半ですらテレビ放送もされなかったのは、やっぱり原作ファンの総スカンを食らうと判断されたせいかもしれない。
 辰造役でエノケンのパートナーであった中村是好が出ていかにもなカジモド演技を披露していたのは嬉しかったが(これが片岡千恵蔵の金田一シリーズだったら、当然高倉健は辰造に変装したはずである)。
 今月から来月にかけて、WOWOWや日本映画専門チャンネルではなかなか見ることのできない日本のミステリ映画が放送されるが、その中にはやはり未見の河津清三郎版金田一耕助の『幽霊男』や池部良版金田一耕助の『吸血蛾』も放送される。どれも珍品だろうということは分かるのだけれど、全く、生きててよかったと思う次第である。


 今日も仕事はないので、出勤して来週の準備をするだけ。ちょうどトンガリさんが欠勤だったので、サクサクはかどる。
 しげに迎えに来てもらって、父の店へ、借りた入院費の残りを返しに行く。
 なんでもそうだが、借りたものは一週間以内に返そう。でないと絶対忘れちゃうのだ。逆に自分が人にものを貸す場合は、紛失されてしまう覚悟をしといた方がいい。つか、貸し借り自体、あまりしないほうがいいんだけどね。
 でもこう言ってる私だって、借りっぱなしで忘れてる本とかきっとあるのだ。……とか言ってたら昔、C−1くんに本を借りてたのと、鴉丸嬢のお父さんにも本を借りてたの思い出した。あああ、あの本、この山積みの本の中のどこにいったろう。(°°;))。。。
 ……ごめんなさい、見つけたら必ず返します。m(__;)m
 ほかにも「これ返してもらってないぞ」という心あたりのある方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。ただしお金は借りたことは一度もないので、ウソついて騙し取ろうとしてもムダですよ(^o^)。


 明日が休日出勤なので、今日は帰宅してゆっくり休む、という選択肢もあったのだが、映画『IZO』が公開一週間で早朝上映のみに切り替わることがわかったので、キャナルシティまで見に行く。
 「岡田以蔵が現代に転生して斬りまくる」というからアクションものかと思ったら、中身は全くのアングラ演劇でした。登場人物たちがいかにも意味がありげななさげな哲学的言語遊戯を弄んでる間、IZOが気にくわないヤツをただただ斬りまくるという、「実写版ケンペーくん」みたいな話である。そりゃカンヌで特別上映されるわなあ。
 こういうヘンな映画もすごく好きなんだけれど、だからと言って2時間25分も見たいもんじゃない。作品自体の「底」がね、自分が作る芝居とたいして変わらないからね、なんか自分の恥部を延々と見せられてるようでさ、もう映画の最中、恥ずかしいのと退屈なのとか混ざりあってね、居心地悪くてしょうがなかったのよ(^_^;)。最初の10分でオチまで読めるから、せめて1時間半にしてほしかったよ。
 ああ、でも何でも斬っちゃう以蔵が夏樹陽子の女教師だけは斬れずに一礼しちゃうところと、以蔵の妻の桃井かおりがなぜか現代の会社で“そのまんまの姿”でOLやってパソコン打ってたのはおもしろかった。
 しげの感想はひとこと、「わがんね?」。よくこんなの一般上映できたなあ。
 座って映画見るだけだから、たいして疲れないだろうと思ってたのだけれど、予想以上にぶっくたびれた。帰宅すると日記も書かずに寝る。


 ディズニーの「ナイン・オールドメン」(レス・クラーク、マーク・デービス、オリー・ジョンストン、ミルト・カール、ウォード・キンボール、エリック・ラーソン、ジョン・ラウンズベリー、ウーリー・ライザーマン、フランク・トーマス。ディズニーアニメファンなら、この9人の名前をソラで言えなければモグリである)の一人、フランク・トーマス氏が、今月8日に死去、享年92。今年に入って脳出血を患っていたとか。
 日本の「作画監督」システムとは違って、ディズニーアニメーションは昔からキャラクター別にアニメーターが「通し」で担当する方法を取っているので、どの作品でアニメーターを務めた、というだけではその人の真価はよく分からない。
 『ピノキオ』のピノキオ、『シンデレラ』の継母、『ふしぎの国のアリス』のハートの女王、『ピーター・パン』のキャプテン・フックなどを担当した、と説明しないといけないのである。こうキャラクターを並べてみると、どちらかと言えばコミカルなキャラクターのほうを得意としているように思われてしまいかねないが、あの『わんわん物語』でスパゲッティのキスシーンを担当した、ということを知れば、その演技の背景のリリカルな嗜好を見て取れるだろう。
 ミルト・カールの愛弟子、ブラッド・バードが監督した映画『アイアン・ジャイアント』が、フランク・トーマスとオリー・ジョンストンにオマージュを捧げたものであることは、『アイアン・ジャイアント』の中にフランクとオリーがキャラクターとして登場していることで分かる。蒸気機関車の老機関士がフランク、話を促すのがオリーだが、この二人、なんと声までアテている! 『アイアン・ジャイアント』の叙情性は、今思い返せば“そういうこと”だったのだ。
 ナイン・オールドメンのうち、私が一番好きだったのは来日時にご尊顔を拝したこともあるウォード・キンボール氏だったが、氏も先年亡くなり、今またトーマス氏も逝かれた。残ったのはオリー・ジョンストン氏のみである。

2003年09月10日(水) 祭りの終わり/『ヒカルの碁』23巻(完結/ほったゆみ・小畑健)
2001年09月10日(月) 憎まれっ子世に……/『RED SHADOW 赤影』(加倉井ミサイル)ほか
2000年09月10日(日) 睡魔と戦いつつこれを書いてます/『星降り山荘の殺人』(倉知淳)



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