無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年09月10日(月) 憎まれっ子世に……/『RED SHADOW 赤影』(加倉井ミサイル)ほか

 昨9日、映画監督、相米慎二氏、肺ガンで死去。56歳。
 早過ぎる死、というのはその通りなのだが、全然惜しいと思わない監督なので、もっとたくさん映画を撮ってほしかった、という気持ちは全く湧いて来ない。

 80年代の映画シーンの中で、相米監督が中心的な位置にいたことは事実だ。
 今はなきディレクターズ・カンパニーの旗手、というイメージはあったし、実際、ヒット作も結構飛ばし、作品評価も高かった。
 遺作は今年の『風花』。
 見てはいないが、「ああ、ディレカン解散後も、まだ映画撮ってるんだなあ」とは思っていた。
 ……でも、ディレカン後の「ソウマイ」の名は、私の記憶に殆ど影を落としていないのである。
 いや、ディレカン以前だって、相米慎二の映画は、私にとって「ムナクソ悪い」映画でしかなかった。
 役者に対して監督が愛情を持っていないことがありありと見えていたからだ。

 相米映画を語るとき、必ず触れられていたのは、その「長回し」と「ロング」をを多用した(というかアップをとことん嫌った)映像作りである。
 「長回しをすると、役者も緊張するし、その空気はロングじゃないと捉えられない」みたいなことを評論家や監督自身も口にしていたように思う。……でもねえ、それって、「役者が緊張感のある演技をアップで表現できないから」って言ってるのと同じなんだよ。
 アイドル映画ばかりを作らされてた鬱憤を晴らしてたつもりかもしれないが、あの監督にはアイドルをアイドルとして撮ろうとする気持ちが全くなかった。
 だからこそ、できあがった映画は、確かに他のアイドル映画とは「毛色の違った」「ヘンな」ものになっていた。
 けれど、その曰く言い難いへんてこさを、うまく批評できないために、ついみんな、「あれは傑作だ」なんて勘違いして誉めそやしてはいなかったか。
 別に難しく考えるコトはない。
 監督は手を抜いていただけである。……実際に映画撮ってみた経験があればわかるけどさ、長回しは楽だよ〜、編集が。ロングにするのだって、長回しのときにはカメラを引かないと状況が判らないからそうするだけなんだって。
 必然的に、登場人物たちはただの「点景」になってしまうのだ。

 相米ファンに聞いてみたいんだけどさ、『翔んだカップル』や『セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子、本当に魅力的に撮られていたか?
 『台風クラブ』、女生徒たちをみんな十把ひと絡げに撮っといて、本当に10代の抑圧された心を描けていたといえるか?(せっかくの渕崎ゆり子の下着姿がコマネズミみたいな映像でしか拝めないんだぜ。あああ、姫宮アンシーのセミヌードがああああ。……ごめん)
 『ションベンライダー』なんて、タイトルからして「なんでこんなションベン臭いガキどもの映画撮らされなきゃなんねえんだ」って監督の悪態が聞こえてこなかったか? 河合美智子、あれに出てなけりゃ、もっと早くにブレイクできてたかもしれないぞ。
 『ションベンライダー』は、それを見た押井守に「映画は好き勝手やっちゃっていいんだ」と思わせたという点で、素晴らしい遺産を残したと言えるが、映画自体はまさしくデタラメな、ただの「一人よがり」の映画である。……確かにあれ見たあとなら、「どんなデタラメな映画を作ったって傑作」っていう気になれるよなあ。
 ……はっきり言うが、どんなに下手な役者でも、役者をバカにしている監督を私は映画監督として評価しない。
 相米はクズだ。

 この時期の監督たち、実は相米ほどじゃないにしても、結構ロングと長回しを多用してるんだよね。根岸吉太郎、井筒和幸、大森一樹、森田芳光。……みんなおもに角川系でアイドル映画撮ってるけどさ、見る者を「萌え」させる映画はただの一本も撮ってない。
 ……映画として出来がどうこう言う以前によ、アイドルを撮らなきゃなんねえんだよ、アイドル映画はさ。
 どんなに内容がクサかろうと、どんなにヒヒオヤジのロリコン趣味が満一していようと、この時期にアイドル映画を撮れていたのは、大林宣彦しかいなかったのだ。『時をかける少女』はむちゃくちゃバカ映画だったが、それでも私は今でも言えるぞ、「原田知世はいい!」と。
 あああ、結婚さえしていなければ、角川三人娘BOX、全部買ってやるものを。

 ……まあ、相米さんは天国で誰も萌えないアイドル映画を○田○○子と一緒にでも作っててください。


 朝、メールボックスを開こうとしたら、えらく重くって全然開かない。
 ……なんと、ウィルス入りのメールが送られてきていたのだ。
 事前に気がついて削除したので、被害には合わずにすんだのだが、それから少しずつ時間を置いて、十何回も送られてくる。
 ちゃんと感染してるか確かめながら送ってるんだろうなあ。
 と言うことは、無作為にばら撒いてるんじゃなくて、私、ないしは劇団をターゲットにしているということだ。
 ……つーか、多分、私だろう。

 上記の相米監督に対する批判もそうだが、私は、自分がこうだと思ったことは、たとえそれが死者を鞭打つようなことであっても平気で書いてしまう。
 相米監督のファンだったら、これを読んで激怒するかもしれない。
 しかし、よく読んでいただければお解りの通り、私は根拠のないことは書いていない。私の根拠の立て方に対して批判することはできても、述べている意見自体について「黙れバカヤロウ」とは言えないはずだ。
 どんなにオチャラケたり、揶揄してはいても、私は「批評」以外のことは書いていないのだ。
 だから、それをまず受け入れることは、言論の自由を標榜する者ならば認めなければならない「義務」なのである。
 その上で文句があるのなら、その根拠を示して反論すればいい。

 日記を移転した時も思ったことだが、「理不尽な妨害」は、私の言動が民主主義の名において正当であることを逆説的に証明してくれていることになる。
 ……いや、そんな大げさなつもりで書いてるわけじゃないんだけどねえ。
 根拠のないプライドだけで生きてるようなクサレ野郎ってさ、「こいつには何を言っても勝てない」と思ったら、まず確実にヒステリーを起こしちゃって、暴力的な行為で報復しようとするものなんだよねえ。

 ああ、つまりウィルスを送ってきた御仁は、戦う前に白旗を振って、私を褒め称えてくださっているのだ。しっかり私の文章を読んで下さっているからこそ、本気で憤ってくださっているのだ。
 こんなステキな読者がまたとあろうか。
 読者へのサービスは公開日記を書いている者の義務である。いったいどうすればこの熱烈なる読者のご期待に答えることができようか。
 そうだ、この人は私が苦しみ、凹み、鼻っ柱を折られてシュンとしている様子が見たいのに違いない。
 わかりました。今から「困ります」。

 ぐすっぐすっ。
 ご、ごめんよう。
 悪気はなかったんだよう。つい手が滑って、ヒドイこと書いちゃったんだよう。
 もうウィルス送るなんてことしないでくれよう。
 パソコンが壊れるかと思ってビクビクしてたんだよう。
 夜も眠れなくて、体調は崩すし、下痢と便秘はいっぺんに来るし、アラン・ドロンかジェラール・フィリップの再来かと言われてた美顔が、モンゴメリー・クリフト並に落ちちゃうし、アタマはもともとオカシイし、あんまり苦しくてバカ食いしたんで体重が1キロ太っちゃったし、今日録画する予定だった『SAMURAI GIRL リアルバウトハイスクール』はうっかり録り損なっちゃって土曜まで待たなきゃいけないし、夢の中に横溝正史が出て来たんで、思わず、「セ、先生、『女の墓を洗え』と『千社札殺人事件』はどんな筋になるんですか!」って聞いたけど、ニヤニヤ笑うばかりで全然返事してくれないし、踏んだり蹴ったり突っ込んだりだったんだよう。
 赦してくれよう、悪かったよう、ごめんなさい、謝ります、赦してえな赦してえな、ごめんちゃい、すまなんだじょ〜、アイアムソーリーヒゲソーリー、ヒラにご容赦、課長に五輪車、初めチョロチョロ中パッパ、オセン泣くともフタ取るな、生麦生米生卵、武具馬具武具馬具三武具馬具、合わせて武具馬具六武具馬具、月が出た出た月が出た、隣りのミヨちゃんのケツに出た、あなたと私の合言葉、愛のコトバはアイラブユウ、ユウラブミイくん、松本零士、汽車はゆくゆく貴社の記者、ちょいとお待ちなそこ行く旦那、旦那寺から兵庫に行って、その兵庫の坊主の屏風にいたしやすと、かようお伝え願います。

 ……ご満足頂けましたでしょうか、モリウチさん。


 一昨日は休日出勤したので、今日は平日だけれど休み。
 でも、外出しようにもしげは爆睡していて起きないし、日記の更新も溜まっているしで、昼過ぎまでパソコンの前でパコパコ書き込みなど。

 夕方、そろそろ入院中に貰っていたクスリが切れるころなので、近所のかかりつけの病院に行って、薬を貰う。
 早くに渡さなきゃならなかった成人病センターからの診断書も、今日になってようやく担当医に手渡す。
 ……前はひと月に一度来ればいいと言われていたのに、今度から2週間にいっぺんせよとのことだそうな。そんなに時間が取れるかなあ。
 「あの、ついでにナンですが、ここの『神経内科』って神経のクスリとか貰えるんですか?」
 「どうかしたんですか?」
 「なんだかイライラして眠れないこと多くって。そっちのほうの医者にもかかったほうがいいかなあって思いまして」
 「『神経内科』ってのは脳卒中とかを見るところですよ。おっしゃってるのは『神経科』か『心療内科』ですね」
 「ああ、そうなんですか」
 「前はこの病院にもあったんですが担当の先生が移っちゃいましてね。でも睡眠薬くらいなら内科でも出せますよ?」
 「ああ、それなら結構です」
 単に薬代がかさむから遠慮したのだが、神経科にかかりたいなあと思っているのは本当である。
 正直な話、最近、しげと一緒だと疲れて疲れてかなわないのだが、それが必ずしもしげだけに原因があると思い込むのは危険なのではないかと感じているのだ。

 夫婦である以上、心はお互いに影響しあっている。
 しげのストレスが私に影響し、そうして起きた私のイライラが、またしげを萎縮させ、という悪循環に陥っているように思えるのだ。
 薬などの治療でこの状況が改善できるなら、一度夫婦ともども見てもらえないかと思っていたのだが、どうもしげは気乗りがしていない。
 「……隔離されたらイヤだ」なんて言っている。
 それが既に被害妄想であるし、神経症に対する偏見以外のなにものでもない。
 ココロの病がカラダの病に比べて危険だというのは統計的にも何の根拠もないことだし、悩みを表に出すことを怖がる気持ちは、かえって自分自身を痛めつける結果にならないか。
 ……こういう時に私はちゃんとしげに「一緒にいるから心配は要らないよ」って言ってるんだがなあ。こんな時だけ私のコトバを聞いていないのだ。日頃の悪口だけは執念深く覚えてるくせに。
 平日、しげが一緒にいられるときがまたいつかあるかなあ。
 

 積文館書店を回って、買い損ないのマンガなどを渉猟。
 博多はマトモに新刊書を置いてある本屋が、博多駅、天神あたりまで足を伸ばさないと見つからないので、結構手間がかかる。
 探しているのはあずまきよひこの『あずまんが大王』3巻と、上遠野浩平『ブギーポップ』シリーズの最新刊なのだが、『あずまんが』はあと2冊で売り切れ、というところでかろうじてセーフ。
 でも『ブギー』は影も形もなく、さて、どこまで探しに行けばよいものやら。

 スーパーマルキョウの前のうどん屋で、イカ天掻揚げうどんを食べる。
 しげは肉うどん。「おなか壊しててイタイ」と言ってるくせにどうしてそういうシツコイものを食うか。案の定食ってすぐ、「いてててて」と言い出すが、自業自得なので全く同情する気になれない。
 そのあとスーパーで買い物。
 牛肉、鶏肉、塩サバ、紅シャケ、みな賞味期限ギリギリの値引き品ばかりを買う。だってそろそろ生活が苦しくなってきてるんですもの(^^*)。
 これで占めて千円にもならないが、充分1週間は食いつなげることであろう。


 マンガ、横山光輝『仮面の忍者赤影』2巻(秋田文庫・610円)。
 昔、買ってたサンデーコミックスの単行本は親に捨てられちゃったからなあ。ようやく30年ぶりくらいに忘れものを取り戻した気分。
 ……でも今巻も表紙の絵、アシスタントの代筆だよなあ。赤影が大カタツムリと戦ってるけど、こんなシーンは原作にはないぞ。ドラマの方じゃ、「魔風編」で、「バビラン」って、ちょっと似た怪忍獣が出てくるけど、よくよく見るとだいぶ違ってるし、この怪獣、何なんだろ?
 1巻の「金目教編」に比べると、この「うつぼ忍群」編、構成に難があって完成度の点では一段も二段も落ちる。
 ラストの総力戦なんかあっという間に終わっちゃうし。テレビの放映が終了する前に連載が終わったもののようだけれど、やはり人気が出なかったからじゃないのかなあ。


 マンガ、横山光輝キャラクター原案、斎藤ひろしストーリー監修、加倉井ミサイル作画『RED SHADOW 赤影』(角川書店・567円)。
 こちらのマンガは映画晩の公式ノヴェライズ。
 基本的な筋立ては映画版と概ね同じだけれど、キャラクターの扱い方が微妙に違う。飛鳥がチョイ役でしかも死なないのは、ビックリしたけどちょっと嬉しい。代わりに登場、「薄影」が死ぬことで、青影は抜け忍になる。
 ほかにも映画と違って、根来弦斎と幻妖斎が同一人物であっりたと、細かい改変は多い。……映画よりこっちのほうがよっぽど面白く仕上がってんだよなあ。

2000年09月10日(日) 睡魔と戦いつつこれを書いてます/『星降り山荘の殺人』(倉知淳)



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