ケイケイの映画日記
目次過去未来


2007年12月11日(火) 「ナンバー23」

えーと、11月30日に観ています。何故こんなに感想が遅れたかというと、十数年ぶりに、映画館で寝てしまったのです。映画館で寝たのは、昨日が22歳の誕生日の次男にせがまれて、息子が小学生の時「爆走兄弟レッツ&ゴー!」というミニ四駆アニメを観て以来。あの時もよく寝ましたが、今回も約90分ちょいの作品で、30分ほど寝てしまいました。あぁ気持ち良かった、って、あかんやろ!

実はその日限りのラインシネマのチケットを、だいぶ前にオークションで落札していたのですね。本当は「てれすこ」を観ようと取って置いたのですが、映画が不発につき上映時間が変更になり、朝と夜しかなくなりました。現在うちの末っ子は中三で、クラブも引退となり、小学生のお子達並に早く帰宅するのですね。受験生の母たるもの、息子にだけ勉強せい!とは言ってはいかんのですよ。母も大好きな映画を我慢しなくちゃ。だから息子が学校へ行っている間に観るのです(結局観るんかい)。先月は実力テストに進路相談、期末テストと、時間のやりくりが非常に厳しく(もちろん私の)、チケットもこうして残ってしまったわけだよ。

その日は仕事が長引き、第一候補の「クローズ」が間に合わずパス。それでラインシネマのカウンター前で最後まで悩み、一番観たくなかったこの作品をチョイス。いやその日ね、息子が塾の日でね、6時には晩ご飯を食べさせなくてはいけないので、「ミッドナイト・イーグル」にすると、終わるのが4時半でね、それからスーパー行ってご飯作ってって、時間が押せ押せでしんどいでしょう?なので家に早く帰りたいという理由で1時10分からのこの作品にしました。それなら観んかったらええがな、という声がしそうですが、そこが哀しい映画好きの性。チケットをどぶに捨てるような真似、残った白ご飯を、ゴミ箱に捨てるようなもんじゃございませんか?、私には出来ません。バチが当たるというもんです。

という感じで、思いっきり消化試合のような気分での鑑賞でした。しかし何で観たくない映画観るかなぁ。自分でもわかりません。

動物管理局に勤めるウォルター(ジム・キャリー)。美しい妻のアガサ(バージニア・マドセン)と一人息子に恵まれ、平穏な日々を送っています。ある日ウォルターの誕生日に見つけた一冊の小説の内容が、あまりに自分の生活と酷似していることに疑念を抱きます。その小説は「ナンバー23」というタイトルで、ウォルターの生活も「23」という数字が充満しているのを発見します。以来ウォルターは、誰かに監視されているという感覚を抱きます。

と、疑念を抱く様子までは観ておったのですね。コメディではない作品のジム・キャリーは、いつもなかなか繊細な感受性を漂わすハンサムで、私は気に入っています。が、この作品ではお友達の一人もいないと妻に言われ、しかし大人しい風でもない、ただのネクラと言う感じで、非常につまらん男にしか観えませんでした。主役に魅力がないので、消化試合でまず先制点を取られた気分に。

それから肝心の「23」にまつわる数々のことなんですが、これがこじつけ以外のなんでもなくて、発見の度に「おぉ!なんてこったい!」と言う感じで、キャリーは大層なリアクションなんですが、観ているこっちは「それが何か?」という気分に。この辺からつまらん、つまらんつまらん、つまらんつまらん、と、不満が充満する中、気を失ってしまいました。

再び目覚めた時は、キャリーは墓場でした。そこからの展開は何があったんや?くらいの気持ちにはさせました。しかし!「ナンバー23」の小説にまつわるオチが、あまりにもすごい。こういうこんな無茶なことしといて、オチはどーする?系の作品は、数年前ではデ・パルマ節炸裂の「ファム・ファタール」の夢オチ、二年くらい前では、ひたすらジョニデ様のカッコ良さを愛でられた「シークレット・ウィンド」の多重人格など多々ありますが、今回ハリウッドは新たな鉱脈を発見!てな訳はなく、思いきり脱力のオチでした。

「ファム・ファタール」なんてね、すごーく面白かったんですよ。サービス満点で。冒頭からあり得んビスチェの盗み方からして、わくわくしながら大爆笑出来る作品でした。当時まだ健在だった千日前スバル座で観たんですが、いっぱい空いてんのに、70前後と思しき男性が私の横に座るのね。それで不思議に思いつつ、まぁ何にもせんやろと思っていたら、おずおずと私の手を触るではありませんが。風体もごくごく普通のおじいちゃんでしたので怖くはなかったんですが、やはりあんまり気分はよろしくなく、思いっきり咳払いをすると、一目散に劇場外へ。アホアホバンちゃん(アントニオ・バンデラス)のフェロモン攻撃に酔い、レベッカ・ローミンのストリップなど、その後の展開もお楽しみ満載で、あのお爺ちゃんに、ちょっと悪い事したかなぁと思っていました。

しかしだね、じっくり考えてみると、きっとあの爺ちゃん、前の上映回の時にレベッカのヌード観て(限りなく全裸に近いセミ。この辺が絶妙だったなぁ)、回春しちゃったんじゃないでしょうか?当時は入れ替え制じゃなかったもん。それで若い娘だと気遅れするので、中年の私の手を出来心で触ってしまったんでしょうね。

この作品には、もちろんそんな付加価値はありませんでした。妻役のマドセンは、名にしおうバンプ女優でしたが、「サイドウェイ」の成功により、すっかりイメチェン。今じゃ清楚で夫を立てる素敵な奥さんが持ち役に。キャリーもつまらんし、事件の鍵を握る女の子も、どうってことなし。もう本当にいいとこなしです。

私は常々辻妻なんか合わなくってもいいと思ってんのね(本当だよ)。面白ければ、映画は大概許されるでしょう?辻妻が気になったり、リアリティがどうのこうのと感じさすというのは、結局は面白くないから、観客にそう考える隙を与えていると思うんです。違うかなぁ?

ラストだけは、清々しくて良かったです。きっと監督のジョエル・シューマカーはいい人だと思います。この人の作品は結構な数を観ていますが、きっとそうです。でも素顔は悪党でもいいから、面白い作品作って下さい、お願いしますよ。


ケイケイ |MAILHomePage