ケイケイの映画日記
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2004年10月27日(水) 「シークレット・ウィンドゥ」

オチは絶対に言わないで系サイコ・サスペンスです。って、これだけでオチがわかったあなた!ジョニデのファンなら観ても可です。ジョニー・デップは不思議な俳優です。ハリウッドの主流から少し離れた場で活躍しながら、多くの大物俳優や監督に愛され、いつの間にやら、しっかりハリウッドど真ん中の大物俳優に。それなのに風格さえ感じる今も、インディーズ系の香りと俳優としての鮮度を失っていません。同年代のトム・クルーズやブラビのファンだと言うと、ミーハーに聞こえがちですが、彼のファンだと言うと、ちょっとセンスがいい人風に感じるのは、私の思い違いでしょうか?

妻は他の男に寝盗られ、執筆もスランプ気味な流行作家・モート(ジョにー・デップ)。そんな彼に、自分の作品を盗作しただろうと、言いがかりをつける男(ジョン・タトゥーロ)が現れ、ストーカー化した行動を起こします。やがてモートの周辺では、殺人事件が次々起こります。

と言う内容です。私はこの手の作品で、辻褄がどうのこうのと言うのはあまり気にしない方で、ラストに脱力したり強引に収集をつけても、それまでが魅力的でワクワクしたり、胡散臭さ満点でニヤニヤさせてくれたら、それでいいと思っています。が、この作品はストーリー展開も演出も、本当に平凡です。あちこち張ってある伏線も底が浅く、すぐオチがわかってしまいます。

原作はスティーブン・キング。キングの原作の映画化は、当たりハズレがありますが、これはハズレ組みたいです。監督はデビッド・コープ。知らない名前だと思って調べたら、主に脚本を書く事が多い人らしいです。脚本作は「永遠に美しく」「カリートへの道」、近作では「パニック・ルーム」「スパイダーマン」などのヒット作がありますが、「ロスト・ワールド」では、
栄えある?ラジー賞で脚本賞を取っていました。

じゃダメなのかというと、観た後まぁまぁかなぁという気になるのです。何故かというと、ジョニデ以下、俳優さんたちが上手いから。ジョニデは、寝盗られネチネチ夫をボサボサ頭で演じようが、本当に素敵です。いつまでも少年っぽい部分と、大人の男の色香がない交ぜになった雰囲気が、この作品でも良く出ています。見せ場のない演出も、彼が演じると全部見せ場に見えるのだなぁ。尚且つトム君みたいに、「ボクこんなに頑張ってるのよ」みたいな感じもなく、自然体です。(いや、「こんなに頑張っているトム・クルーズ」は、私は俳優としてとても認めております。誤解なきよう。)

ストーカー男のジョン・タトゥーロも、普通の人の狂気が静かに感じられ、上手く演じていました。妻役のマリア・ベロは、映画よりテレビドラマの「ER」に、ワンシーズンだけ女医役で出ていて、そちらの方が印象深いです。6〜7年前の初々しさから、今回はしっとりした大人の美しさがあり、彼女も良かったです。

残念なのは、間男役・ティモシー・ハットン。彼が悪いと言う訳じゃなく、ジョニデの妻が何が悲しくて、夫より格段に落ちる男と浮気を・・・と言う感じがするのです。容姿が負けていても、誠実さや優しさが感じられれば別ですが、それもなし。どっから見たって、ジョニデの方が遙かに素敵。でも「ノイズ」でも、夫が別人かと疑うシャーリーズ・セロンに、「こんな男前の夫なら、別人でもええやんか。」と思った私ですから、他の方が見れば、妻の気持ちも理解出来るんでしょうか?私は脚本のひねり方不足と感じたんですが。

以上、ジョニデが大好きという方は、何を観たって至福だと思いますので、御満足いただけるかと思います。私のような割と好きと言う人は、気持ちに加速がつくでしょう、と言う作品です。でも作品の出来不出来にかかわらず、常にマックスで魅力的と言うのは、本当にすごいですね、ジョニー・デップ。


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