びっと日記


びっと日記

		びっと

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■　「責任、とってねっ」

　劇場版の機動警察パトレイバーは、２作とも押井守氏（以下敬称略）がメガホンをとった作品である。そして、その機動警察パトレイバーの登場まで、いやそれ以降も押井守の代表作とされているのが「うる星ヤツら劇場版２～ビューティフル・ドリーマー～」である。

　実は「うる星ヤツら劇場版」は、１も押井守の監督作品である。にもかかわらず、２だけが（他の監督による３や４、完結編や番外編も差しおいて）極めて高い評価を受けている。なぜか？

　「ビューティフル・ドリーマー」を語るとき、よく引き合いに出されるのは（作中でも述べられるが）「胡蝶の夢」である。「私が蝶の夢を見ているのか？　それとも蝶が私の夢を見ているのか？」という、アレだ。虚虚実実、現実と夢が交錯する世界。そして、繰り返される「祭りの１日」。今に至るもジャンルを問わずいろいろな作品に影響を与えたこの作品の主題は「終わらない夢の世界」である。

　ある意味で、フィクションとして作られるあらゆる作品世界が「終わらない夢の世界」である。もちろん程度の差はあるが、作中で時間が流れることのないアニメーションは、その終わらない世界の最たるものである。

　例えば、旧ＯＶＡ版の機動警察パトレイバーがそうだ。

2002年04月06日(土)

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■　「見てみたかったのかも知れんな」「この街の…未来を」

　本題にたどりつくまでの前置きがずいぶんと長くなってしまったが、もうしばらくご辛抱いただきたい。次は劇場版第２作、「ＷＸⅢ」を除くと最も検証の難しい作品を検証しよう。

　まずはっきりしていることは、この作品が機動警察パトレイバーという作品世界の中で、最も未来の時間軸に属していることである。旧第二小隊のメンバーは隊長と山崎の二人を除いて、あの懐かしい埋立地を離れている。整備部の榊班長は引退し、後を継いだシゲさんもなかなかの貫禄だ。つまりこれは「第二小隊の面々のその後」を語る物語なのである。

　第二小隊がそんな有様であるから、６人目の隊員でストーリーの判断をすることもできない。この作品には、香貫花も熊耳も、影も形も登場しない。人で判断することが難しいのなら、ではメカニックはどうだろうか？　しかし、こちらも技術革新、日進月歩の世界。第二小隊に配属されているレイバーはイングラムはおろか、ピースメーカーでもゼロでもない新型機である（ストーリー上さしたる役割を果たさないこのマシンは、作中では機体名さえ明かされない）。

　要するに、検証するための材料が圧倒的に足りない作品なのである。しかし、材料がないわけではない。

　ここで今までのような、ある意味で機械的な検証方法から離れてみよう。作品世界全体を見渡した上で、劇場版第二作がどこに位置しているかを探るのだ。

　パトレイバーという作品世界全体を見渡すと、この映画版第２作が他の作品とは違う位置に立っていることがわかるのではないだろうか。

　今日の科白。

「結局オレには、連中だけか…」

～機動警察パトレイバー　ｔｈｅ　Ｍｏｖｉｅ２より～
　

2002年04月05日(金)

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■　「混乱したときは、まず与えられた情報から疑ってかかるべきよ」

　では最初に、劇場版の第一作から。公開時期から考えると旧ＯＶＡ版かコミック版しかない。では、そのどちらなのか？　恐らく旧ＯＶＡ版と連続する話である。が、コミック版ともリンクするというややこしい話である（笑）。

　まず、特車二課第二小隊の隊員は５人である。香貫花も熊耳も第二小隊にはいない。しかし、物語の後半で後藤隊長が香貫花クランシーをＮＹから呼び寄せるシーンがある。南雲隊長との電話のやりとりのこんなくだりだ。
「そう、そのまさかを呼んだの」
　ここから類推できることが二つ。香貫花は過去に特車二課にいたことがあるということ。そして、現在はいないということである。この段階で、コミック版とは設定が異なる。ＴＶ版も一応検証すると、自衛隊の試作レイバー「Ｘ－１０」が登場するエピソード「暴走レイバーＸ－１０」における設定と、劇場版の設定が食い違う（試作機であるＸ－１０に劇場版のキーであるＨＯＳが搭載されている様子がないこと、Ｘ－１０を食い止めるためのレイバーに空挺レイバー“ヘルダイバー”の姿がないこと）。恐らく、劇場版のＸ－１０が暴走するエピソードをＴＶ用に勘案した話が「暴走レイバーＸ－１０」なのだろう。

　と、ここまでの話では「コミック版と劇場版のどこがリンクしてるの？」とお思いかもしれない。しかし、コミック版のパトレイバーには何とあの帆場が（しかも素顔で！）登場するのだ。しかも古柳教室の同輩というおまけエピソードつき（古柳教室というのは、ＴＶ版とコミック版の敵役レイバー“グリフォン”とその制御システム“ＡＳＵＲＡシステム”を作った、いわばグリフォンの産みの親である）。言われてみれば、なるほど劇場版に登場するＨＯＳ搭載レイバー“零式”とグリフォンはよく似ている。内海課長をして「にせイングラムか、にせグリフォンか」と言わしめるほどに（笑）。

　と、これだけ劇場版の設定を使っていながら、やはりコミック版と劇場版のストーリーは繋がっていないのであるからややこしい（笑）。

　今日の台詞。三連続です。

「課長の許可が出た、ライアットガンも出せ！　…オイ、試作のマグネット弾があったろう、アレにも炸薬を詰めとけ！」
「え？！　だってアレはヤバくて…」
「いいから、やれーっ！」

「戦闘は避けろって言っただろ！」
「だから避けたわよ。…可能な限り」

「こ、これが口止め料？！」
「思ったんですけど、香貫花さんて、実は厄介払いされただけなんじゃ…向こうでも持て余されて…」

～機動警察パトレイバー劇場版＆「特車二課の一番長い一日」より～

2002年04月04日(木)

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■　細かいことだけど

　昨日の続きの話。マルチメディア展開している「機動警察パトレイバー」には大まかに分けて３つのストーリーがあることはお話ししたとおりである。今日は、これに含まれない話を解説しつつ「ＷⅩⅢ」の謎に迫りたい。

　勘の良い方は、昨日の日記を見て気づかれたかもしれない。私は「旧ＯＶＡ版」から第７話「特車隊、北へ！」を除いている。これは、第７話が特殊な位置づけの話だからである。元々機動警察パトレイバーは全６話という予定で作られた。それが好評だったので、後で発表された外伝が第７話なのだ。この時点ではまだＴＶ版は存在しないので、ＴＶ版に繋がる話というセンはないはずだが、コミック版準拠の話であるか旧ＯＶＡ版と連続する話なのかは微妙なところであろう。

　何しろ、この話にはアルフォンスのアの字も（そしてイングラムのイの字も）出てこない。それだけなら旧ＯＶＡ版と連続するストーリーと推察してもいいのだが、この話には旧ＯＶＡ版には登場していない悪役企業“シャフト・エンタープライズ”が（何の説明もなしに！）登場する。

　また、全６話でほとんどなかった（第１話で１回だけ？）レイバー戦闘のシーンがふんだんに盛り込まれたファンサービス色の強い作品でもある。登場レイバーも９８式ＡＶの他に、シャフトの「ブロッケン」「キュマイラ」など、６話合わせたのと遜色ない登場頻度である（笑）。

　かといって、ではコミック版に続く話なのかというとそうでもない。この話には第二小隊のメンバーとして香貫花クランシーが登場する。昨日の日記にあるとおり、コミック版の香貫花クランシーは第二小隊のメンバーではないのだ。

　とすると、設定的に一番近いのはＴＶ版ということになるのだが、この時点でまだＴＶ版は存在しない。また、メカニックの設定など細かいところはＴＶ版とはまったく異なるものになっている。ちなみに、この話に特車二課長は登場しないので、課長名で設定の判断はできないが、なぜか海法警備部長が登場する（笑）。

　結局この話は「基本的な設定は旧ＯＶＡ版に準ずるが、ファンサービスのためコミック版の設定をとりこんだ番外編」という無難なところに落ち着くしかなさそうだ（笑）。

　微妙な位置付けの話はもう一つある。昔パトレイバーのガイドブックに掲載された一話読み切りのコミックである。特車二課第二小隊の仕事とはどういうものかを解説した話なのだが、ちゃんとしたストーリーがある。というより、ＴＶ版をご存知なら「魔の山へ行け！」の元になった話といった方がわかりやすいだろうか？

　この話は逆に、メディアとしてはコミックだが香貫花が第二小隊のメンバーとして登場する話である。このガイドブックはコミックではないので、入手するのは難しいかもしれない。これまた、コミックでありながら旧ＯＶＡ版に繋がる話ということになる。

　さて、前置きが長くなったが（笑）、いよいよ劇場版の謎解きといこう。

　今日の台詞。

「ド、ドロボー！　ドロボー！」
「どうかしたんですか？」
「車、盗まれちまったんですよ、この人。あのトラック」
「えー、本庁どうぞ、こちら…」
「あ、あのー。い、いいです」
「よかないでしょ、車盗まれたんでしょあんた？」
「あのー、そのー、い、いいです、いいです！」
「あっ、こらっ！　待ちなさい！」

～機動警察パトレイバー第７話より～

2002年04月03日(水)

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■　時計の針は？

　さて、今日は昨日の予告どおり「劇場版ＷⅩⅢはいったい、いつ、どの話に続いているのか？」を考証してみたいと思う。
　その前に「機動警察パトレイバー」という作品のマルチメディア展開について説明しておく必要がある。おおまかに分けるとパトレイバーは「旧ＯＶＡ」「ＴＶ版」「コミック版」の三つに分かれる。この三つ、相関関係はあるが基本的にパラレルワールドであり、直接ストーリーはつながらない。
　今回は、劇場版の特殊さを考慮し、展開をさらに細かく分類する。発表された順に並べると

「旧ＯＶＡ版第１話～６話（７は除く）」
「コミック版第１巻～最終巻（巻数は形態によって違う）」
「劇場版第１作」
「ＴＶ版第１話～４７話」
「新ＯＶＡ版第１話～１６話」
「劇場版第２作」
そして「ＷⅩⅢ」

となる。このうち、どの作品とどの作品がストーリー的に連続しているのか？
　前提条件として「連続性が確認できるものは基本的に連続しているものとする」としておく。でないと「全部バラバラの作品です」で終わりだから（笑）。

　まず最初に、先ほど挙げた「旧ＯＶＡ」「ＴＶ版」「コミック版」が繋がっていないとする根拠から。これは簡単で、主人公の野明が第二小隊にやってくるところからして違う（笑）。もちろんそれだけではなく、細かい違いは挙げていけばきりがない。思いつくままに列挙してみよう。

主人公機の呼称
　旧ＯＶＡ版「アルフォンス」（泉巡査搭乗の一号機のみ）
　コミック版「イングラム」（９８式ＡＶシリーズの呼称）
　ＴＶ版「アルフォンス＆イングラム」（両方）

第一小隊に配属されているレイバー
　旧ＯＶＡ版「９７式」（恐らく。登場するエピソードはほとんどない）
　コミック版「９７式」（その後「９８式ＡＶ２“ピースメーカー”」らしき機体に変更）
　ＴＶ版「９７式改“パイソン”」（その後「９８式ＡＶ２“ピースメーカー”」に変更される）
　※ただし、コミック版には試作機として「零式（？）ＡＶ－Ｒ」が登場。

特車二課長の名前
　旧ＯＶＡ版「祖父江課長」（その後福島課長に代わったと思われる）
　コミック版「福島課長」（最初から）
　ＴＶ版「福島課長」（ただし、前任者として祖父江課長が登場するエピソードあり）

　だが、ご存知の方も多いであろう最大の違いは、第二小隊６人目のメンバーが誰であるか、ということだろう。

　旧ＯＶＡ版「香貫花クランシー」（熊耳は登場さえしない）
　コミック版「熊耳武緒」（香貫花は第二小隊のメンバーではなく、普通のＮＹ市警の警官として登場）
　ＴＶ版　前半が香貫花クランシーで、後半熊耳に交代する。
　　　　　余談だが、二人が対決する新ＯＶＡ版の「ＶＳ」というエピソードは一見の価値あり！（笑）

　さて、大まかな違いはこのとおりであるが、肝心の「ＷⅩⅢ」については…次回に譲るとしよう（笑）。

　今日の一言。

「オレ映画でこういうの見たことある…ラバウルなんとかとか零戦なんとか一家とか、女の子は一人もいなくて、整備兵はみんなヤクザで酒飲んでバクチやって、飯盒炊爨やって殴り合いで友情する恥ずかしいやつ…」
「そりゃあ軍隊の話だろうが」
「階級があって鉄砲持ってて…どこが違うんだよ？」

～機動警察パトレイバー「第二小隊出動せよ！」より～

2002年04月02日(火)

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■　勝利の方程式

　また長いこと更新が滞ってしまった（笑）。まぁ、私とつき合いの長い方なら、この気まぐれにも慣れているのは思うのだけれど。やっぱり人間、ムリはよくないよネッ！　←自分を正当化、しかも失敗（笑）。

　では気を取り直して…今日の話題は、何と前の続き（笑）。機動警察パトレイバー３「ＷＸⅢ」の話題である。プレミア版を観たのがついこの間のように思えるが（いや実際日記としては前回の日記の話題なのだけれど）、ついに昨日から一般公開が始まった。そこで、先日二回目を観た感想なども交えて、またくだらない話をしてみたいと思う。
　明日は、
「今回のパトレイバー３は、いつの、どの話に繋がるのか？」
を考証してみたい。

　今日の台詞。言わずと知れた石原一佐のセリフ。

「上の方は了解済みさ。あんたは知らされていなかったかもしれないが…」
～機動警察パトレイバー劇場版「ＷＸⅢ」より～

2002年04月01日(月)

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