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2009年12月01日(火) 台湾ゆ〜らりぶ〜らり 2/4



 日本の新幹線のグリーンにあたる台湾新幹線の「商務車」は、座ると手拭き、お菓子、飲み物全部無料でついてくる。日本でグリーン車に乗る機会はまず無いので、どうなっているかは分からないが、台湾では飛行機と似た地位にある。静かに本が読めた。台湾の少数部族とアイヌの違いについて読み始めてしばらく、あっという間に台南高雄の左榮に着いてしまった。わずか二時間の新幹線搭乗だった。が,この短い間の読書で分かった事、台湾の少数部族は、直ちに引っ張ってこられるが、アイヌ人を探して引っ張って来る事は出来ないと言う事である。
二世三世ならいるかも知れないが、純然たるアイヌはいない。大和民族に溶け込んで久しい。一方台湾の昔蕃族、今、原住民ははっきりと存在(アミ族約18万人。泰雅族と湾族約8万人。花蓮県に原住民9万人、台東県7万9千人、屏東県5万6千人)し阿里山付近や高地に住んでいて訪ねて行くと会うことも出来るし独特の言語も現存しているようだ。アイヌには言語の痕跡(カタカナ表記で)は地名他に残るが、文字はなく、アイヌ語を喋る人も勿論いない。

 それはさておき、昔のように何ヶ月もかけて欧州を巡っていた時は有り余る時間があったので日本の古典、方丈記や奥の細道などを読んだ。貧乏旅行だったけれど、あれに勝る旅は無かったと思っている。もう今はそんな贅沢な事やろうと思っても出来ない。

 連日30℃、台南では予定を変更し宿で静養。今回気にかかったのは、留守番している生まれて数ヶ月の三毛猫の事であった。
以前、動物園に勤めている友人の娘さんが、留守の間数日置きに見に来てくれていたが、そうしょっちゅう甘えるわけにはいかない。かといってペットホテルに入れるのは逆に動物にとってストレスになる。
幸いな事に、基本的に猫は犬と違って屋根、排水溝自由自在である。
餌だけしっかり与えておけば大丈夫だと言う事が長年の経験でわかっていたが、やっぱり旅行中は心配だ。

そこで今回は、 SKYPE(スカイプ。ネット上での無料双方向テレビ電話機能)を利用し、猫の寝床となっている風呂場にカメラを取り付けコンピュータとつなぎ、餌は自動給餌器で理論上、一日数回時間設定可で、三ヶ月は生きて行ける餌が出るものと、生の餌が四回出る給餌器を置いた。電池式だったが、それだといつ切れるか分からないので改良してコンセント差し込み式に変えた。

 台北のホテルからインターネットで家のスカイプを呼び出すと、自動的に開くように設定してあったので、あんまり綺麗でもない風呂場が俯瞰するように写しだされる。いるいる、くつろいでいる。こちらから音声で呼びかける事が出来るが、呼ぶと直ちに反応してスピーカのある方に行ってしまい、動きが追えない定点カメラなので、姿が消えてしまうのは失敗だった。

 次の宿に着くと直ちに家のスカイプにつなぎ、常時画像をつけておく。こちらの普通の会話も向こうに聞こえているので一緒にいるのと何ら変わりがない。そのせいか旅を終えて帰った時に、別に猫の方で感極まったという感じはなかった。
 手違いで、猫側の音設定を忘れたために、猫の声は聞く事が出来なかったが、猫は飼い主の声と餌さえあれば、かなりな期間の旅行が出来ると言う事が今回分かった。
問題は排泄物の処理だが、これも家で使っている酵素分解の生ごみ処理機用の土を猫のトイレに転用すれば、少しの糞なら一日二日で完全に土に戻る。処理土は一日数回混ぜなければいけないのだが、幸い猫は用を足す前後、土を頻繁に混ぜ返すからちょうど良い。
世の中便利になったもんだ。

 今は、猫の基本的な調教期間なので放し飼いにはしていない。
長生き(25年くらい)して欲しいので、普通の猫の半分以下の餌、湿気のある場所での基本的寝床。悪い事をすればその日は断食。二年めは、筋肉を付けるためにドッグフードを一年間やる。
最近の研究で若い頃飢餓を経験した人や猫は長生きすると言う結論に近い結果が出ていて、先代の猫は、まさにそれで育てて22年近く生きた。死ぬ直前まで穏やかで一筋の涙を流して息を引き取った。
また、そのように生きて欲しいと思っている。先代の猫は若い間は旅行中は放ったらかしてあったが、ちゃんと風呂場を寝床とし生活していた。帰って来て再会すると半野生化して眼光鋭くなり、何だか太っていた。てんこ盛りにして行った餌を存分に食べたせいに違いなかった。


→続く。


→2001年の今日のたん譚 不覚!


→2003年の今日のたん譚 三味線とストラディバリウス (日本と西欧)










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