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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2004年02月13日(金) --

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『カリン島見聞記(上)』

あとがきに、こう書いている。

僕の作品は、ずいぶん前から、同じことばかり 言ってきたような気がする。 だからといって、昨日と違うことを言う街に 住みたいとは思わない。 たぶん、それが僕の歩き方なのだ。

たぶん、私たちがますむらひろしに求める ものは、マンネリを越えた永遠に不可侵の世界であり、 夏のプールのあとで耳から出る水みたいに、 じゅっとなるような感覚なのだろう。

右ページにはショートストーリーが、 左ページには一葉の漫画が描かれ、 ペンギンたちの島での体験がつづられる。

ここにはあの大猫は出てこないけれど、 やはり不思議は生え、そして降る。 80年代に描かれたという丸みのあるラインには アタゴオルとは少しちがう時間が流れているようだ。

とはいえ、後半の連続中編、キリコという水晶のペンギンが 登場する話は、どこかヒデヨシの子育てを思い出させる。 ペンギンの島のフランケンシュタインは、 やがて動きをとめるけれど、 最後に何かを約束してくれるようでもある。

降りることを忘れる闇月鉄道に乗ってしまったような ぐるぐるまわりの日々を送りながら、 これからもずっと、 ますむらひろしの本を開く楽しみを。

とりあえずは、下巻も読みたい。 (マーズ)


『カリン島見聞記(上)』 著者・絵:ますむらひろし / 出版社:ポプラ社2003

2003年02月13日(木) 『まいごになったおにんぎょう』
2002年02月13日(水) 『ミッドナイト・ブルー』
2001年02月13日(火) 『ファッションデザイナー』その(2)

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