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夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2002年02月13日(水) --

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『ミッドナイト・ブルー』

主人公のヴァンパイアは、ソーニャ・ブルー。 物語は、彼女が病院を脱走するところから始まる。

もとアメリカの富豪の娘で、吸血鬼にされてから まだ数十年しかたっていないにもかかわらず、 その世界では相当の大物とされる。 吸血鬼の美女が主演のアクションホラー作品 というので、手軽に読めると思っていた。 英国幻想文学賞とブラム・ストーカー賞を受賞する だけのことはあるのだった。 派手さだけではなく、深いものが。 もっとも、ソーニャによれば、

"ストーカーの「ドラキュラ」は ビクトリア朝時代の哀れを誘う性妄想にすぎない"

のだった(本文引用)。

いわゆる耽美系ホラーではないので、 性と暴力と血と骨と排泄物の臭いにまみれながら、 ソーニャのハードな人生(真生?)に 同乗させてもらった。

私の好みは、筋と直接関係なさそうな薀蓄やら、 ものごとに対する作者の見解などが サンドウイッチのように挟み込まれたストーリー。

ソーニャたち怪物や天使、あるいは受信機能が過敏な人間の見る 「真世界」のありようも、2作目でさらに展開してゆくらしい。

それにしても、ソーニャが世界を放浪しながら 日本にもやってきたのには驚く。 そこに描かれた日本という国、まったくもって そらおそろしいところであった。 (マーズ)


『ミッドナイト・ブルー』 著者:ナンシー・A・コリンズ / 訳:幹遙子 / 出版社:ハヤカワ文庫

2001年02月13日(火) 『ファッションデザイナー』その(2)

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