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夢の図書館新館

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-- 2002年10月03日(木) --

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『ボストン夫人のパッチワーク』

『グリーン・ノウ』シリーズの作家として知られるL・M・ボストン。 英国でもっとも古いといわれる 12世紀の重厚な石づくりの屋敷、 グリーン・ノウのモデル、「マナー・ハウス」に 暮らした女流作家。

その彼女が、パッチワークの達人でもあったとは。 この本をまとめたのは、息子の嫁、ダイアナ・ボストン。 日本語訳は、かのマナー・ハウスに寄宿したという 稀有な日々を持つ林望さんである。

マナーハウスのパッチワークに没頭していたボストン夫人の姿は、 たしかに、いわれれば納得できる。 彼女の本を読んで感じていたが、 何をやるにしても、徹底的にやるタイプのはずだから。

どの一枚をとっても、深く考え、愛情をこまやかに縫いこめた
─使う人への、そして布きれへの─
その結果、ひとつの人格を与えられた布のあつまりである。 1938年に最初の作品を「つなぎあわせて」以来、 1990年に98歳で亡くなるまで、 ときに著作との関わりも感じさせながら縫い上げていった 数々のインスピレーションに満ちた宇宙の「きれ」。

ことに、『グリーン・ノウの魔女』の構想を練りながら 仕上げたという『ハイ・マジック・パッチワーク』は、 グリーン・ノウシリーズのなかでも異質なほどの 影のある魔術的雰囲気を、たっぷり吸い込んでいる。 あるいは、この布のなかから、魔法は忍び出して来たのだろうか。

いうまでもなく、パッチワークには器用さだけでなく 数学の才能が必要で、 それに加えて、取り合わせの「ひらめき」、 貴重な布との出会い運があれば、その作品は、 日常品でありながら芸術品となるのだろう。

この写真集のおかげで、キルトの作品だけでなく、 ボストン夫人の日常や、キルトづくりへの思い、 そして彼女が代々マナーハウスに生まれたのではなく、 あるとき偶然の導きに従って、運命の家と出会ったという事実を 知りえたことにも感謝したい。 (マーズ)


『ボストン夫人のパッチワーク』 著者:ダイアナ・ボストン / 訳:林望 / 出版社:平凡社

2001年10月03日(水) 『星を継ぐもの』
2000年10月03日(火) 『恋愛的瞬間』

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